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日高俊之 院長の独自取材記事

日高デンタルクリニック

(世田谷区/田園調布駅)

最終更新日:2021/10/14

日高俊之院長 日高デンタルクリニック main

田園調布駅から線路に沿って歩いて3分程。閑静な住宅街に馴染むシックな外観の日高デンタルクリニックは、地元出身の日高俊之院長が地域密着型の診療を行うクリニックだ。取材にお伺いすると、「暑いね〜」と汗をぬぐいながら往診から戻ってきた日高先生。長年地域に根ざした活動を行ってきた日高先生が今最も力を注いでいるのが介護現場での口腔ケアと、子どもたちの歯科診療だ。気さくで優しいお人柄の日高先生に、これからの歯科に求められる地域医療について話を伺った。

(取材日2010年3月16日)

自身が経験した歯科治療の辛さ 患者さんの痛みがよくわかる

先生が歯科医を目指したきっかけは。

日高俊之院長 日高デンタルクリニック1

昔は図面を書いたりするのが好きで、設計技師になりたいと思った頃もあったけど、手に職を持ちたいという気持ちがあって歯科医師の道に進みました。それと、子どもの頃から私はとても歯が悪くて虫歯が多かった。治療していない歯はないくらい悪かったので、入れ歯以外の苦しみは全部分かっています。自分の歯で大変な思いをしたから、歯科医師になったのかもしれませんね。辛い思いを自分自身がいっぱいしたから、患者さんの気持ちはとてもよくわかります。

クリニックはバリアフリーになっていて新しいですね。

日高俊之院長 日高デンタルクリニック2

今の場所に移転してきたのは8年前になります。車いすでもスムーズに診療室に入れるように設計しました。実際、段差がなくて楽だと喜んでいただけています。どなたにもやさしいクリニックを目指しています。以前は今の場所から線路を挟んでちょうど向かい側にクリニックがあって、そちらで15年ほどやっていました。もともと出身がこの場所ですから、ここは地元。長く通ってくださる患者さんが多いことはうれしいことですし、お引越されても遠くから通って下さる患者さんもいて、ありがたいです。

地域医療で守る いくつになっても食べる喜びを

ちょうど今、往診から戻られたところ。地域医療に力を入れているのですか。

日高俊之院長 日高デンタルクリニック3

地域に根ざした活動はいろいろと昔から取り組んでいます。歯科医師だけでなく、このエリアの医科の先生達とのネットワークもあって、在宅ケアを語る会や若手医師の会などのグループを作って活動しています。今日はちょうど病院に往診に行きましたが、高齢者の特に寝たきりの人の介護の現場では食べることや嚥下(えんげ)の問題についての意識が高まってきています。看護師さんに注意して歯磨きしてほしい場所や歯茎のマッサージについて伝えてきました。寝たきりの人達は唾液が出にくくなってしまうし、口をあまり使っていない人が多い。看護師さんには、患者さんはこれから退院する可能性があるのだから、退院した時に食べられないのはかわいそうだからマッサージをやってあげてねといつも言っています。それと地域医療ということで言えば、玉川歯科医師会の仕事にも力を入れています。23区内でも会員数は多くはなくて少数精鋭の会ですが、地域のための活発な活動を行っています。そのひとつが6年ほど前から始めている口腔がん検診です。玉川方式と言って口腔外科のある大きな病院でやるのではなくて、各診療所でがん検診を行うというのは全国でも我々が最初です。口腔がんはがん全体の発症率の中で年間7、8%と今後も増えていく傾向にあって、早期発見が必要。検診は、頬や舌をブラシでこすって、それを顕微鏡でチェックするだけの簡単なもので皆さんも簡単にできることですから、少しでも早期発見につなげたいと思って取り組んでいます。がんになって麻痺してしまうと食べられなくなりますし、転移も怖い。年齢に関係なく発症し、原因は喫煙や被せ物で歯茎に傷ができてそこからがんになるということもある。どんな人にも可能性があるがんです。食べられるというのはとても大事なことで、食べたいという欲は年を取っても失わない一番の欲だと思います。食べる喜びを失わないことはとても幸せな事ですし、健康でいられる源のようなもの。患者さんの中で高齢の方では、94歳の方がバスに乗って診療を受けにクリニックにいらっしゃいます。その方からちゃんと食べられていますよと聞くのが一番うれしいですし、ほっとしますね。

校医として子どもたちの口の中を診てきて、最近気になっていることはありますか。

日高俊之院長 日高デンタルクリニック4

昔は虫歯のお子さんが多くて歯が真っ黒の子も結構いましたが、今は虫歯を見つけるのが難しいくらい。しかし最近気になっているのは、小学校高学年くらいで歯に歯石がびっしりついて歯茎が腫れている子が多いこと。歯周病の低年齢化が進んでいます。以前は若いころの歯周病は特別なものだったけど、今は珍しくありません。これは子どもたちが塾などに通って、夕食が遅く不規則になりがちであることと、家庭での食事が取れなくて、お腹が空いているので食べやすいものをさっと食べてしまうことが原因のひとつだと言えます。手軽なハンバーガーとかおにぎりやパン食は、どれも柔らかくて食べやすい物ばかりで、歯と歯茎がどんどん弱ってしまっています。噛むという意識が少なくて、飲み込むような食べ方では子どもの歯は弱くなる一方。とても残念なことです。なかなか難しいことですが、普段の食生活の中で硬い食材を食べて、噛むトレーニングをしなければなりません。そうすれば唾液も出て口の中の環境が良くなる。これは子どもだけでなく大人にも当てはまる話です。

これからは地域密着型診療 介護の現場にやるべきことがある

クリニックでの診察、地域での活動と多忙ですね。

日高俊之院長 日高デンタルクリニック5

それで体を三年前に壊してしまいました。診察の後の歯科医師会の会議などで睡眠不足が続いて、体がついていかなくなってしまいました。今は私のほかに、勤務医の先生に手伝ってもらっています。一般診療と歯周病の専門の先生に来てもらっているのですが、一人が全部やるのではなく、それぞれの分野の専門の先生達と分担して、チーム医療ができればと昔から思っていましたので、逆に今は理想の体制に近づきました。患者さんとも、歯のことばかりではなく、健康についてや他の病気のことについて、いろいろと話をする機会も増えました。ホームドクターの一人として、患者さんの健康を見守っていきたいと思っています。

今後取り組んでいきたい事は何ですか。

日高俊之院長 日高デンタルクリニック6

これからは地域にもっと密着した医療が必要になってくると思います。医者や看護師、ケアマネージャーなどがもっとコンタクトをとってみんなで一緒に話し合える場が必要です。在宅ケアの場では昔は体を洗って、食べさせることが重視されていましたが、今は口の中もきれいにするという意識が出てきています。特に最近言われていることのひとつに誤嚥性肺炎の予防です。口の中には様々な細菌があって、病気や加齢などで飲み込む機能や咳をする力が弱くなると、口腔の細菌や逆流した胃液が誤って気管に入りやすくなります。その結果、発症するのが誤嚥性肺炎です。寝ている間に発症することも多く、高齢者では命にかかわるケースも少なくない病気です。これは口の中を清潔に保つことで予防することができます。ただ食べさせればいいということではなく、口の中の環境から胃できちんと消化されるまでの嚥下の問題が大事ということをみなさんわかってきました。今だからこそ地域医療を支えるメンバーがまとまる時だと思います。患者さんに対してオーダーメードの医療ができるように、地域に密着した各先生と連携してケアしていけたらいいなと思っています。この患者さんが食べるにはどうしたらいいか、家族の人には口のマッサージどうしたらいいかとか、それぞれの患者さんに合わせたプランを立ててケアできるようにするのが理想。まだまだこれから歯科のやるべきことが介護の分野にはあります。クリニックの診療と合わせて、もっと地域に出て行って、在宅ケアが必要な人達の生活の質を向上させるために我々ができる歯科の役割を果たしていきたいと思っています。

※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

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