前川 直志 院長の独自取材記事
前川内科
(津市/南が丘駅)
最終更新日:2024/09/26

南が丘駅から車で5分ほど、れんが調の建屋と円状に張り出した大きな窓が目を引くのが「前川内科」だ。1998年に前院長・前川彰先生が開業し、2021年1月に息子の前川直志(まえがわ・ただし)院長が継承した。2020年から内視鏡検査と大腸内視鏡を使った治療も導入し、さらに地域社会に貢献できる医療を提供するように努めている。前川院長は、日本内科学会総合内科専門医で、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本肝臓学会肝臓専門医などの資格を持つドクター。同院はバリアフリー仕様となっており、発熱患者用の待合室もあるゆったりとした造り。質問一つ一つに丁寧に答える前川院長に、継承後の想いや内視鏡治療について詳しく聞いた。
(取材日2021年3月1日/情報更新日2024年9月1日)
父の意志を継いで、地元に貢献できる医療を
医師をめざしたきっかけを教えてください。

小さい頃から、近所の方など周囲から「将来はお医者さんだね」と言われることが多く、自然と意識するようになったのがきっかけです。前院長である父からは医師になれと言われたわけでも、働く父の姿を見ていたわけでもありません(笑)。幼い頃は「病院」というと怖いイメージが強かったんですが、小学生の頃に髄膜炎になって入院した時にそれが変わりました。痛みや怖さで不安がいっぱいだったのですが、医師や看護師の方がたくさん来てくれて、優しく対応してもらったんです。それがすごくありがたく感じたことからも大きな影響を受け、高校生の時には医師をめざそうと決めました。
どんな想いを持って継承されたのかお聞かせください。
私の地元であるこの地域の方々に貢献したいという気持ちです。父も地域に根差した診療を行ってきましたので、そういった方針に変更はありません。私にできることで地域の方々に貢献したいとも考えていますので、患者さんの状態をしっかり把握して、当院でできることはきちんと対応し、症状が重ければ連携している三重中央医療センターなどへ迅速に紹介していきます。医院を継承したのは2021年2月ですが、数年前から前川内科を継承しようという気持ちがありました。どこに行っても患者さんは患者さんですが、自分を育ててもらった近隣の方へ少しでも恩返しをしていきたいと思っています。
どんな医師でありたいですか。

患者さん一人ひとりを大切にできる医師ですね。大きな病院とは違い、こういった診療所ではずっと同じ患者さんを診ることができるので、患者さん一人ひとりに寄り添い長い目で見た診療を提供していきたいと考えています。大きな病気を予防していくのが診療所の役割ですので、高血圧やコレステロール異常など心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高い方に対し、食事や運動などの生活指導も行っていきます。そのためにも、患者さんの背景を知ることが大切なので、患者さんの話はよく聞くようにしています。そして、患者さんにもご自身の状態や対策をわかっていただくために、できるだけわかりやすい説明をするように心がけています。ときには専門的なことや医療の難しいことをお話ししなくてはいけないこともありますが、そういうときは専門家としてこういうことが勧められるという話をさせてもらいます。
豊富な経験と先進機器で病気の早期発見をめざす
患者さんについて教えてください。

患者さんは近隣から車で通っている方が多いです。近くに大型ショッピングセンターができたこともあり、新興住宅地ができたり、人口も増えてきているので、現在は高齢者を中心に10代~90代の幅広い年齢層の方が来院されています。私が勤務し始めた昨年から、内視鏡を導入し、ホームページもリニューアルしたので、少し遠方からもおなかが痛い、下痢などのおなかの症状の原因を調べるために来院してくださることもあります。あと、健康診断で再検査や精密検査となった方もいらっしゃいますね。
先生が得意とされている治療は何でしょうか。
勤務医時代にも、数多くの症例で研鑽を積んできた内視鏡です。市立四日市病院に勤務し始めた頃は、消化器を専門としている医師が少なかった上に、患者さんが集まる病院だったため、たくさん経験を積むことができました。退職前の数年間は後輩の指導も行っていました。内視鏡は多くの経験を積むことで得られる技術や感覚がありますので、自信を持っています。例えば、喉のところの通し方、胃への空気の入れ方、微妙な力の入れ方など経験を生かした細かな操作には経験と技術が必要です。大腸カメラも入れ方によって痛みを感じさせてしまいますが、経験にもとづいてさまざまな工夫をしています。人によって腸の長さは違いますので、頭の中で大腸を描きながらできるだけ痛みを感じないように動かしていきます。診療所でも一例一例集中して丁寧に検査をしていくことで、その技術はさらに向上し経観もさらに培われてきていると思います。
こちらを継承されるまでの経歴を教えてください。

三重大学の医学部を卒業した後は、市立四日市病院で研修をしました。研修期間中とその後の3年間は救急医療にも深く携わり、急性心筋梗塞から脳卒中、外傷や交通事故に遭った方も多く診てきました。救急は運ばれてきた方は老若男女問わずすべて診るので、実にさまざまな症例を経験しました。当院には、緊急事態の方が運ばれてくることはありませんが、自覚症状があまり強くない方でも診察している時に思わぬ病気を発見する場合もありますので、救急で養った判断力を役立てています。その後、同じ市立四日市病院の消化器内科に11年在籍し、並行して総合内科の外来診療も3年間行っていました。合計13年ほど勤務した後、当院で常勤医として勤務を始めました。市立四日市病院では、食道から胃、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓までのさまざまな消化器系の急性疾患、慢性疾患、がんの治療、そして緩和ケアや、終末期の医療も経験しました。
新しい医療技術を取り入れ検査の重要性を広める
内科のどんなところが興味深いと感じていらっしゃいますか。

内科の醍醐味(だいごみ)は、診ることから始まり、判断し治療するところまですべて行うというところだと思います。治療でいえば私が興味深いと思ったのは、やはり内視鏡ですね。内視鏡を用いた検査や治療は、専門性が必要なものだと考えています。しかも、内視鏡システムはどんどん進歩していて、最初はブラウン管のテレビ画面に映し出していたのに、映し出す画像も、カメラの性能も上がっていますので、内視鏡でできることがどんどん増えていっています。昔は開腹しないと行えなかった手術を内視鏡下で行うことも可能となり、術後の痛みや回復期間など、患者さんへの負担も少なくしていけるようになってきています。
今後の展望をお聞かせください。
きっと30年くらいは、当院を続けていくと思いますので、時代の進歩に合わせて、一つ一つ新しい技術を取り入れていきながら診療をしていきたいと思います。内視鏡に関しても、苦しい、怖いというイメージから敬遠する方は多いです。そのため、検査の必要性を広めていきたいと思っています。また、継承後に待合室や患者さま用トイレを改装し、入口の看板、外装塗装、外構を新しく変えてきました。当初からバリアフリーになっていることや、点滴室が広いこと、導線がしっかりしていることなど、今までの設備を生かしつつ、これからもより快適な医院になるように少しずつ改装等もしていきます。
最後に、読者メッセージをお願いします。

「内視鏡」というと、どうしても皆さんから敬遠されがちな印象がありますが、以前に比べるとかなり検査時の苦痛が減らせるようになっています。当院の内視鏡は、新しい機器を導入していまして、以前のものより細くやわらかく、かつしなやかなため曲がりやすく、画像パターンも変更可能で、拡大観察もできる特徴があります。不安が強い方には鎮静剤を用いて検査をすることもできます。病気を早期発見するためには、とにかく検査が大切です。特に胃が痛い、気持ち悪いなどの症状が長引いている方、健康診断で異常が見つかった方は放置せずに、きちんと検査を受けてほしいです。当院では内視鏡検査は予約が必要ですが、営業時間内の電話受付に加え、インターネットでも24時間受けつけていますので、お仕事で日中忙しい方はぜひご利用ください。何でも気軽にご相談いただければと思います。