豊川 英樹 院長の独自取材記事
豊川整形外科
(大阪狭山市/狭山駅)
最終更新日:2023/08/29

南海高野線狭山駅西口から徒歩2分、住宅街に続く駅前通りの道沿いで、2001年から診療を続けている「豊川整形外科」。院長の豊川英樹先生は、整形外科の医師として12年の勤務経験を積んだ後、同院を開業。高齢者の多いこの地域で、骨粗しょう症の早期発見に有用なDEXA(デキサ)法による検査機器を早期から導入し、骨折予防や寝たきり予防に尽力している。適切な運動療法に欠かせない理学療法士は4人在籍。慢性的な腰痛や坐骨神経痛に対する仙骨ブロック注射をはじめ、さまざまな手法で痛みの緩和に努めているという。豊川院長は、自らがデザインした笑顔のロゴマークを「僕に似ているかな?」とにこやかに語る、穏やかな語り口の温かいドクターだ。
(取材日2023年7月25日)
4つの検査で、初期の骨粗しょう症の見逃し防止を
クリニックの特徴をご紹介ください。

当院は、整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科と3つの外来を設置しています。診療上の特徴としては、DEXA法により骨密度を測定する検査機器を設置しており、詳しく検査した上で骨粗しょう症の治療を行っていること。また理学療法士が中心となってリハビリテーションや運動療法に力を入れていることですね。加えて、腰痛の方には仙骨ブロック注射も実施しています。患者さんの特徴としては、高齢の方が多いことでしょうか。主訴としては、腰痛、神経痛による足のしびれ、膝が変形して痛い、五十肩などが中心です。院内に関して言えば、待合室のソファーを対面型で配置しているのが特徴的かもしれません。一般的にはテレビなどが置いてあり、画面に向かって1列2列と並んでいるところが多いと思いますが、常連の患者さん同士がお喋りできるように、あえてこの形にしました。
骨粗しょう症の検査にはさまざまな方法があるそうですね。
骨密度の検査方法には種々の方法があり、DEXA法のほかMD法・超音波法などがあります。MD法では手の骨密度を計測し、超音波法ではかかとの骨で骨密度を計測しますが、これらの方法では大きな誤差が出てしまうことがあると言われています。対して、DEXA法では主に腰椎と大腿骨の骨密度を計測するため、誤差が出にくいと言われております。当院ではDEXA法による骨密度検査のほか背骨のエックス線検査・身長測定・血液検査による骨代謝マーカー検査を行い、これら4つの検査の結果から骨粗しょう症の診断を行って、治療方針を決めたら、飲み薬や注射薬を用いて治療していきます。
こちらで行うリハビリについてもお聞かせください。

リハビリ用の機材に特別なものはありませんが、超音波や電気治療器による治療を希望されて、定期的に通われている方は少なくありません。完治はせずとも、少しでも楽になって喜んでもらえればと思っています。当院としては、腰痛や五十肩については理学療法が最も重要で、高い効果が望めると考えています。そのため理学療法士の役割は大きく、現在は4人の理学療法士が当院で活躍してくれています。それぞれ経験や得意な手技が異なりますが、雰囲気的には和気あいあいとやっているように思います。僕と理学療法士たちは、毎朝ちょっとしたカンファレンスを開き、患者さんの現状を確認したり、治療方針を説明したりと、一人ひとりの患者さんに対してきめ細かい対応ができるようにしています。
優しく親身に、速やかに痛みを和らげることを大切に
仙骨ブロック注射についても、詳しく教えてください。

神経ブロック注射の一つで、注射の際の痛みが少なく、患者さんの負担が少ないのが仙骨ブロック注射です。慢性的で、ひどい腰痛や坐骨神経痛が出ている患者さんに行い、脊柱管狭窄症の場合も適応とすることがあります。昨今は慢性腰痛の患者さんが増えており、仙骨ブロック注射を行うことが多くなりました。通常の痛み止め注射の場合、注射後の経過観察は5分程度ですが、仙骨ブロック注射はより強い効果が期待できる分、注射後20分くらいは院内で休んでもらい、慎重に経過を観察した後、お帰りいただきます。ブロック注射に加えて飲み薬も処方します。期待できる効果は個人差が大きく、痛みが残っている場合は、2週間後に2回目の注射を行うこともあります。数回の注射で痛みの改善が見込めない場合は、手術も視野に入れて病院へ紹介します。
診療の際にはどんなことを心がけていますか。
整形外科には、慢性的な痛みを抱えて不安になっている患者さんが多いものなので、できる範囲で、速やかに痛みを和らげてあげたいという気持ちは勤務医時代からずっとあります。説明についてもなるべく優しく、わかりやすくできたらいいなと思っています。スタッフにも同様に、患者さんにできるだけ優しく親身になって、自分の家族だったらどうしてほしいかを考えて、声かけをし、対応しましょうと伝えています。当院のスタッフはベテランが多いので、僕があえて細かく言わなくても、そのようにしてくれていると思っています。
先生はなぜ医師になったのですか? ご経歴も伺いたいです。

出身は大阪府八尾市です。高校時代には文系より理系が向いていると考えていて、また、いわゆるサラリーマンとは別の道に進みたいとも思っていました。そこで工学部に進んで企業に就職するよりも、医師のほうが向いているのではないかと、大阪市立大学医学部に進学したのです。医学部卒業後は2年間の研修期間を大阪市立大学医学部附属病院で過ごし、その後は阪堺病院で、骨折や外傷を多く学びました。1994年には、今はなくなってしまった大阪府立身体障害者福祉センター附属病院に転勤し、今度は股関節や膝関節変形の患者さんに人工関節を入れたり、膝の内視鏡手術などを行いました。開業直前まで約7年勤めて、膝の内視鏡の症例はずいぶんたくさん経験してきたように思います。
運動療法で健康寿命延伸、寝たきり予防に貢献する
整形外科をご専門に選んだのはなぜですか?

医学部時代はラグビー部に入っていたのですが、ラグビーは動きが激しい上に、僕は体が硬くて 、いろんなところを骨折しました。特に鎖骨を骨折したときは、1回目の手術では骨が癒合せず再手術を要しました。この時通っていた病院で手術をしてくれたのが、ラグビー部のOBである先輩でした。その病院の整形外科にはラグビー部のOBがほかにも何人かいたり、外来担当の看護師さんとも顔見知りになったりと、自然に整形外科に親しみを持つようになったんですね。ラグビー部の先輩後輩からは、今でも公私にわたって声をかけてもらっていますし、つながりを切らさないようにと思っています。
開業の経緯も教えてください。
もとから開業志向だったわけではなく、長い間勤務医として尽くす中で開業という選択肢が自然と出てきました。それでゴルフ仲間でもあった旧知の先生に専門業者を紹介してもらい、良い物件があれば声をかけてくれるようお願いしたんです。八尾の実家周辺や津久野の駅前など、さまざまな物件を案内されたのですが、どこか自分にはしっくりこないなと。後でここを紹介してもらった際に、狭山の街中を歩いてみたら、人気が少なくてのどかな雰囲気なのに、住んでいる人が多いというところが気に入ってしまいました。開業直後は来院される患者さんが少なく不安に思いましたが、徐々に患者さんも増え、地域の患者さんに頼ってもらえるようになりました。今ではここで開業して良かったと思っています。
今後の展望についてお聞かせください。

健康寿命を延ばすために有用な運動療法の大切さを、積極的に広めていきたいと考えています。当院の2階には、医療的管理のもとに運動療法を行うデイケア施設「ロコモ教室さやま」を開設しており、足腰が弱ってきたと感じられる高齢の方は是非ご利用ください。今後も、身体能力の低下であるロコモティブシンドロームの予防、転倒や骨折の予防、ひいては寝たきりの予防に努めていきます。患者さんには「運動をしましょう。バランスの良い食事をしましょう」と指導するのですが、実は僕自身もなかなかできていないところがあります。もともと体を動かすのは好きなので、できればジムなどに通って、僕自身もしっかりと体調管理をしていきたいですね。