鮫島 基泰 院長の独自取材記事
さめしま眼科
(鹿児島市/いづろ通駅)
最終更新日:2021/10/12

いづろ通電停前のブラザービル5階に医院を構える「さめしま眼科」。交通の便も良く、通いやすい立地が特徴だ。鮫島基泰院長は、防衛医科大学校を卒業後、防衛医科大学校病院や自衛隊中央病院などに勤務してきた経験を持つ。1999年11月の開業以来、白内障をはじめ、緑内障やドライアイ、加齢黄斑変性、眼瞼下垂など、目に関する幅広い悩みに応えてきた。中でも、力を入れているのが白内障の手術で「遠くが見えるようになりたい」「手元がはっきりと見えるようになりたい」など、患者がどういった「見え方」を希望しているかを丁寧に聞き出し、一人ひとりの希望に応えられるよう努めている。そんな鮫島院長に、日頃の診療にかける想いを聞いた。
(取材日2020年7月30日)
幅広い経験を積んだ後に、眼科の医院を開業
防衛医科大学校の1期生と伺いました。経緯を教えてください。

高校卒業後は、「鹿児島から出てみたい」「違う土地で勉強したい」という思いがありました。そんなときに、航空自衛隊に勤務していた叔父から「今度、新しく大学ができるぞ」という話を聞いて、「これだ!」と思い志願しました。「衣食住がついて、学びながら給料が出る」というのはありがたかったですね。1期生の仲間は全部で40人。当時は埼玉県にある航空自衛隊入間基地内の仮校舎で医学科学生の教育を行っていました。普通の医学部と違うのは、やはり訓練があることでしょうか。号令や歩行訓練などの集団行動を通して、忍耐や礼儀、信頼関係を築いていきました。1年生の間は基地内の宿舎で寝泊まりし、食事も基地内の食堂へ。航空祭の日、頭の上をブルーインパルスが、下腹がはっきり見える高さで飛び、度肝を抜かれた事がありました。2年の中頃には、現在の校舎がある所沢の本校舎へ移転、濃厚な6年間を過ごしました。
いつから眼科の医師をめざそうと思ったのでしょうか?
卒業してからです。防衛医科大学校は、総合的な診療能力と対応能力のある医師を育成するためにつくられた学校。そのため、学生の頃はもちろんですが、卒業後の2年間でもさまざまな科を回りました。その間に、外科や内科、泌尿器科、産婦人科などでも診療や手術を経験しました。出産を手伝い、赤ちゃんを取り上げたこともあるんですよ。そして、最後の6ヵ月間は希望の眼科に配属されました。いろんな科を経験して気づいたのが「手術が好き」ということ。手術はその医師にとって「精魂込めた一つずつの作品」だと思います。施術する医師が違えば、その出来栄えもそれぞれ。「出来栄えが良いということは、患者の満足度も高い」ということだと考えています。その中でも、眼科の医師は大概一人で手術ができ、一人ひとりの患者さんとも長く付き合っていける点が魅力的でしたね。
開業するまでのことを教えてください。

「いずれは眼科の医師に」という思いはありましたが、防衛医科大学校病院に4年間、自衛隊大湊病院に4年間、さらに鹿児島の鹿屋航空基地隊に2年間勤務しました。その間には、遠洋航海で5ヵ月の間、アジア・オセアニア地域を回っていたことも。主に、隊員の体調や衛生面の管理が仕事でした。自衛隊の病院に勤務中も、週に2回は他の病院へと学びに行くことができたため、青森県のむつ総合病院へ。そのときは、弘前大学から来られる先生と一緒に夕方まで診療を行い、その後白内障を主とした数件の手術を、夜まで行いました。この先生の手術は見事で、それをマンツーマンで学べたのは貴重な経験でした。1990年に離職した後は、鹿児島市内の眼科医院で9年ほど勤務し、1999年に「さめしま眼科」を開業しました。
手術では患者の希望を一番に「見え方」にこだわる
医院の特徴を教えてください。

当院は、いづろ通電停前のブラザー鹿児島ビル5階にあります。外来での診療や日帰り手術を原則としているため、「公共交通機関で来られる」「交通の便が良い」というのは、患者さんにとっての通いやすさにつながっています。現在、手術は月曜と水曜の午後に行っています。近くのいづろ今村病院と連携をとっているため、「眼帯をすると、周囲が見えづらくて不安」「日常生活に支障がある」といった患者さんは入院することも可能です。送迎もあるので、安心して手術に臨めると思いますよ。
診療指針として掲げている「恕(じょ)」について教えてください。

医院の真ん中の柱に掲げているのが、「恕」の書です。これは、防衛医科大学校時代の恩師がご自身の座右の銘とされており、開院した時に頂きました。「恕」とは孔子の言葉で、「他人の立場や心情を察すること、またその気持ち」という意味。自分のことと同じように人のことを考える、つまりは「思いやり」や「思いを受け止める」ということです。この言葉を胸に、「目の疾患で悩まれる方を思いやり、満足のいく医療を提供し、社会や福祉に貢献する」をモットーに掲げながら、診療を続けています。
白内障の手術に注力していると伺いました。
白内障は水晶体が濁る病気。「最近、目がかすむ」「見えづらい」「眩しい」などの症状があり、生活に支障がある場合にはご相談を。白内障手術で用いる眼内レンズについて少しお話しします。まず、特定の距離にピントを合わせる「単焦点眼内レンズ」があり、通常の手術では主としてこれが用いられます。また、最近は遠近両方にピントを合わせられる「多焦点眼内レンズ」が注目を浴びてきつつあります。眼鏡なしの生活が期待できます。多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、これまで先進医療に認定されていましたが、2020年4月1日から選定医療として扱われるように。手術そのものは保険診療で賄われますが、眼内レンズの差額代を自費で支払った上で手術が行われます。差額代は診察時にお話しします。多焦点眼内レンズも最近では種類が増え、それぞれに特徴があります。患者さんの目の状態やライフスタイルに合わせ、十分に話し合いながら選択しています。
新しい技術や機器を取り入れながら、常に前進
診療や手術をする上で大切にしていることを教えてください。

目の疾患は、ライフスタイルにも大きく関わってきます。そのため重要なのは、患者さんが「どのような生活を送っているのか」「どう見えるようになりたいか」だと考えています。そのためにも、「遠くがはっきり見えるようになりたい」「手元の新聞や本が読めるようになりたい」「遠くも近くも両方見えるようになりたい」など、患者さんの希望を聞き出していきます。そして、提案とともに「今後はこういった生活になりますよ」といった説明を丁寧に行っています。また、当院では先進の検査機器や手術器械も積極的に導入。例えば、正しい角度で固定する必要のある乱視矯正眼内レンズを扱う手術が、短時間で精度良くできるようになりました。また、成熟白内障や散瞳不良例など、難症例も工夫しながら手術しています。
講習などにも積極的に参加し、新しい技術や機器を取り入れていると伺いました。
「停滞することは後退と同じ」だと考え、講習などがある場合は、積極的に参加するようにしています。やはり、尊敬する先生方の手術やさまざまな症例を見るのは勉強になります。国内は10施設以上見学しました。国外は1回のみですが、数年前にシンガポールへ出かけたことがあります。その時は、「技術はまだ日本が上かな」と感じましたが、施設や機材の素晴らしさには目を見張りましたね。「うかうかしてはいられない」と気が引き締まる思いでした。良いものは取り入れながら、常に研鑽を積んでいきたいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

もちろん、すべての患者さんに満足いただけるわけではないと考えていますが、帰る時に「ここに来てよかった」と思っていただけるような医院でありたいですね。「何だか最近、見え方がおかしい」など、違和感を感じたら、早めにご相談ください。さまざまな検査を行いながら原因を探っていきます。そして、今後の治療方法を一緒に考えていきましょう。一人ひとりの悩みや不安に寄り添いながら、目に関するあらゆる悩みに応えていけるよう、これからも努めていきます。