浦田 正彦 院長の独自取材記事
うらた整形外科クリニック
(福岡市南区/高宮駅)
最終更新日:2021/10/19

西鉄バスの若久停留所より徒歩2分の場所にある「うらた整形外科クリニック」。1999年の開業以来、長きにわたって患者に寄り添う医療を実践し、地域の健康に貢献してきた。院長の浦田正彦先生は、脊椎、肩関節、膝関節をはじめとする変性疾患を専門に数多くの治療・手術を手がけてきたベテランドクター。理学療法士によるリハビリテーションに力を入れ、運動機能の回復・維持をめざす。院内には、院長が撮影した写真や季節の花が飾られ、訪れる人々の心を癒す。穏やかな笑顔と語り口が印象的な浦田院長に、クリニックの特徴や診療にかける想いなどについて語ってもらった。
(取材日2021年3月24日)
手術に至る前の段階から患者の健康を守りたい
まず、開業の経緯について教えていただけますか?

大学を卒業後、九州大学病院や福岡逓信病院、国立小倉病院で、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの脊椎疾患を中心に治療、手術に携わってきました。こうした臨床経験を積む中で、医師としてもっと早い段階から患者さんに関わりたい、地域に根差した医療を提供することで皆さんの健康を守るお手伝いをしたいという想いから開業を決意しました。それまで全然ご縁がなかった地域ですが、気の良い方が多くて、この場所で開業して良かったなと思います。ご高齢の方が多い地域ですけれど、皆さんお元気ですね。地域のかかりつけ医として、一人ひとりの心に寄り添った医療を提供していきたいです。治療に際しては、外科的手術に至る前の段階で患者さんに関わり、できるだけ保存的な治療で改善を図ることを心がけています。
どのような主訴で受診される患者さんが多いですか?
ご高齢の方がメインなので、やはり腰が痛い、膝が痛いと言って来院される患者さんが多いです。近くに小学校や中学校があるので、スポーツでケガや骨折をした学生さんも来られます。あとは、リウマチ性疾患の症状で悩んでいる患者さんもいらっしゃいますね。最近気がかりなのが、骨粗しょう症の患者さんが増えていることです。長引くコロナ禍の影響で皆さん運動不足になりがちで、筋肉や骨量が落ちて、骨折する人が増えています。骨粗しょう症というと女性に多いイメージですが、男性でも骨量が減っているケースは少なくありません。また、腰痛の原因に骨粗しょう症が隠れているケースもあります。60歳を過ぎたら一度骨密度検査を受け、ご自身の状態を把握していただくことをお勧めします。
ご高齢の方だと内科的疾患も気になりますよね。

中高年になると、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を患う人が増えてきます。もともと内科のかかりつけをお持ちの方はそちらでフォローされているのでしょうが、整形外科的な疾患で来院された患者さんが血圧測定や血液検査を通して内科疾患があることがわかることも多いです。足のしびれ感や痛みがある場合、足の動脈硬化が認められる場合もあります。そのため、1~2週に1回は内科の先生に来ていただいて、内科診療を行っています。生活習慣病の予防や改善には適度な運動が不可欠ですが、当院ではお薬でのコントロールに加えて、運動指導を取り入れて生活習慣の改善をサポートしています。血管年齢を測定する検査も行っていますので、気になる方は受けてみてはいかがでしょうか。
リハビリテーションに注力し、社会復帰までサポート
デイケア施設も併設されていますが、どのような背景で始められたのでしょう。

年齢を重ねるにつれ、どうしても膝の痛みや腰の痛みを訴える方が増えてきます。そういった疾患を中心にしっかり治療をして、元気になっていただくということを常に考えて医療を提供してきました。身体機能の維持・向上のためにはやはり運動が欠かせません。そこで、開業から数年後に院内のリハビリ室を拡張し、デイケア施設を併設しました。また、ここから少し歩いたところに、リハビリ特化型のデイサービス施設もあります。そちらの2階にはフィットネススタジオも設けています。クリニックでは医療的なリハビリテーションで機能回復に向けたトレーニングを行い、さらにデイケア施設で社会復帰をめざしていただく。そして、お元気な方はスタジオで健康維持を図っていただきたいと考えています。地域の皆さんの憩いの場としてもご利用いただきたいですね。
こちらで実施されているリハビリテーションの特徴を教えてください。
院内に広いリハビリ室を設け、さまざまなマシンや設備を充実させるとともに、理学療法士によるリハビリテーションに力を入れています。クリニックの理学療法士は全部で6人です。それぞれ得意分野があり、お一人お一人に適したリハビリテーションを実施しています。マシンを使ったトレーニングでは、専門のスタッフがマンツーマンでついて指導にあたっています。皆さん和気あいあいと楽しく運動されているようですよ。知らない人から施術を受けるのは不安なものですが、患者さんに少しでもリラックスしていただけるよう、待合室にはスタッフの自己紹介を書いた掲示板を置いています。
足腰のトラブル予防について、何かアドバイスをいただけますか?

日常生活に運動を取り入れ、それをいかに継続していくかが鍵になります。まずは1日30分のウォーキングを行うことをお勧めします。運動を長く続けるには、目標を定めてモチベーションを維持することが大切です。最近ですと、歩くとポイントがたまるスマホ用の歩数計アプリなどもありますので、利用されてみてはいかがでしょうか。運動したいけど、一人ではなかなか続かないという方は、フィットネススタジオなどのレッスンに参加するのも一つの手です。楽しみながら体を動かす習慣をつけていただけるといいですね。
楽しみながら運動を続けられる環境づくりに尽力
先生が診療時に大切にしていることは何ですか?

患者さんとの会話です。ご高齢の患者さんは話し好きな方が多いので、相手に話にできるだけ耳を傾けて、喜んで帰ってもらえるようなコミュニケーションを心がけています。時には趣味の話で盛り上がることもありますね。ただ、話が脱線するとほかの患者さんをお待たせしてしまうので、待ち時間との兼ね合いを図りながら診察しています。患者さんに説明する際は、「簡潔に、わかりやすく」がモットーです。パンフレットや模型を使いながら、目で見てわかっていただけるよう心がけています。イベントも大事にしていて、以前はクリスマスコンサートや敬老会イベントなども実施していました。今は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開催を中止していますが、状況が落ち着いたら皆で集まって楽しい思い出をつくりたいですね。
お忙しい毎日だと思いますが、先生のリフレッシュ法を教えてください。
自分自身の健康維持ができてこそ、ほかの人を診ることができると考えているので、できるだけ体を動かすようにしています。今はもっぱらゴルフです。自然の中で体を動かすのはストレス発散になります。もう一つの趣味が、写真を撮ることです。子どもの頃から自己流で続けてきました。ゴルフ場に行く途中に合間を見て、花や風景を撮影しています。私の息子も写真が好きで、一緒に撮影に出かけることもありますよ。実を言うと、待合室に飾っている写真は私の作品なんです。月に1回、季節感のある写真に変えるようにしています。ちなみに、院内の花は生花を置くことにこだわっています。患者さんが写真や花を見て「ここに来たらホッとできる」と感じていただけたらうれしいですね。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

病気になる前のできるだけ早い段階からの関わりを強化したいと考えています。健康づくりの柱の一つが運動です。新型コロナウイルス感染症はいまだ収束していませんが、きちんと感染予防をしながら皆さんが気軽に運動できる環境を提供していきたいです。そして、医療と介護の連携体制をしっかり確立し、地域の方々の気持ちに寄り添えるクリニックをめざしたいと思います。腰の痛みや肩の痛みが「あって当たり前」になっている方も多いかもしれませんが、放っておくと将来的に重症化する可能性もあるので、一度受診して現状を調べてみることをお勧めします。また、将来的には整形外科だけでなく、脳神経外科も併設してアルツハイマーや脳梗塞などの脳疾患患者さんも診れればなと思ってます。長男である私の息子が戻るまでには、今以上に幅広い領域で高齢者のアフターケアを行っていきたいと思います。