島垣 和花 院長、島垣 朔歩 副院長の独自取材記事
整形外科・皮膚科しまがきクリニック
(新潟市西蒲区/巻駅)
最終更新日:2025/06/19

JR越後線巻駅より徒歩10分の場所にある「整形外科・皮膚科しまがきクリニック」は、1998年の開業以来、地域住民のかかりつけ医としてこの地に根差している。開業当初は、前院長の島垣斎先生が整形外科・リウマチ科・リハビリテーション科を担当し、妻である島垣和花先生が皮膚科を担当していた。しかし前院長が2024年6月に急逝。一時は閉院も考えたが、地域住民や患者からの懇願に応える形で同年8月に和花先生が院長に就任した。さらに2025年4月からは、夫婦の次男である島垣朔歩先生が副院長に就任。現在は母子2人による新体制で運営している。今も変わらず多くの患者に愛され、頼りにされているクリニックを支える院長と副院長に、現在の心境や診療・治療について詳しい話を聞いた。
(取材日2025年4月30日)
前院長急逝後、母子2人の新体制でクリニックを経営
クリニック開業の経緯を教えてください。

【和花院長】当院は1998年にこの地で開業しました。当時から、私の夫で前院長だった島垣斎が整形外科・リハビリテーションとリウマチ科を、私が皮膚科を担当していたのですが、別々に働くよりも一緒の時間が確保されると思い、夫婦で開業したんです。また、皮膚科と整形外科には意外に共通項が多いというのも理由の一つでした。例えば足が化膿した場合、浅い箇所ですと皮膚科の範囲ですが、深い箇所なら整形外科の範囲になりますし、膠原病の場合は皮膚科と整形外科と両方の受診が必要になることもあります。また皮膚科で診断して整形外科で手術をするという場合もあるため、一つの院内で行き来できるほうが私たちにとっても患者さんにとっても良いだろうと考えました。
和花先生が院長に、朔歩先生が副院長に就任された経緯は?
【和花院長】前院長が昨年6月に急逝したことがきっかけです。当初は閉院しようと考えていましたが、患者さんや周囲の方々から「続けてほしい」という熱い要望をいただいたことで、初めて自分やこのクリニックの立ち位置を意識しました。その思いに応えなければと昨年8月に院長職を継承しました。平坦な道のりではありませんでしたが、この4月から次男の朔歩が副院長に就任して手術も再開され、ひと段落ついた感じです。
【朔歩副院長】父の急逝当時、私は済生会新潟病院に務めており、将来的には海外留学などさまざまな展望を持っていたので、最初は正直戸惑っていました。しかしもともと外来も好きでしたし、患者さんとの距離が近い診療を理想としていたので、今は継承して良かったと思っています。現在は月・水・金・土曜と週4日勤務しています。
どんな患者さんがいらっしゃいますか?

【和花院長】近隣の方々はもちろん、県内の広範囲からいらっしゃいます。親子3代で来院してくださる患者さんもいらっしゃって、とてもうれしく思っています。皮膚科の患者さんはお子さんから高齢者まで幅広いですね。診療日を週4日から5日にしてからはアトピー性皮膚炎など深刻な皮膚病や美容面での相談も多くなりました。
【朔歩副院長】私が担当している整形外科には、高齢者の方や部活に励む学生さんが多くいらっしゃいます。症状としては、田植えの季節が始まると圧倒的に腰痛の方が多いですね。リハビリテーションは理学療法士と連携を取りつつ指導しています。リウマチと骨粗しょう症については父が診察を担当していたので、私も現在勉強している最中です。開業医としてはまだ1年目なので、父のように患者さんに全幅の信頼を置いていただけるよう頑張っているところです。
幅広くこまやかな診療で患者と向き合う
主にどんな症状の方が診療対象なのでしょう?

【和花院長】皮膚科では手荒れや肌荒れ、アトピー性皮膚炎から、やけど、ニキビ、帯状疱疹などさまざまな皮膚疾患に対応しています。また予防の観点から、帯状疱疹ワクチンやインフルエンザワクチンの接種なども行っています。またリウマチ科では、関節リウマチの診断から治療まで行っています。
【朔歩副院長】整形外科では骨折や捻挫、打撲や靱帯損傷などの外傷のほか、腰痛、肩凝り、神経痛など生活の中でよく起こる痛みや違和感などの診察も行っています。またリハビリテーション科には5人の理学療法士が在籍し、運動療法などの理学療法を行って症状の緩和と再発防止に努めています。
こちらのクリニックでの診療のポイントなどはありますか?
【和花院長】私も日本専門医機構皮膚科専門医の資格を有しています。診療や治療では特にその資格が関係するということはありませんが、予防という観点ではワクチン接種の時期などを適切に指導することができると考えております。
【朔歩副院長】私は日本専門医機構整形外科専門医の資格を2年前に取得しました。専門は膝と肩です。この周辺には整形外科が少ないので、この資格を生かしてなるべく広範囲を診察できるよう心がけています。中でも骨密度の測定に関しては健康診断レベルではなく、大きな病院と同等の精密な検査をめざしています。
医師として大切にしている信条を教えてください。

【和花院長】医師として患者さんに指導する立場というよりは、わかりやすく病気の説明をしたり、治療法の選択肢を提案して、しっかりと相談しながら一緒に選んでいくという医療を心がけています。
【朔歩副院長】治療するのは患者さん自身であり、医師はそのお手伝いをする存在であると考えています。ですから「年齢のせい」と片づけず、限られた診療時間の中でも可能な限りしっかりとお話を伺い、アドバイスをして、最大限寄り添いたいと考えています。実は研修時代、95歳の患者さんの治療をしていた際、2ヵ月の入院後に亡くなってしまったことから医師として何をすべきだったのかと深く考える機会がありました。その経験は忘れられないものとなり、現在でも心にとめて患者さんと向き合っています。
地域住民のためにさらなる進化をめざす
なぜ医師をめざされたのですか?

【和花院長】私は福島県出身ですが、父が帰宅すると毎日患者さんとのエピソードを楽しそうに話していたことから医師という職業に興味を持ち、聖マリアンナ医科大学に進学し、その後に福島県立大学の麻酔科に入局しました。そこで前院長と知り合って新潟県に移住し、1998年にこの地で開業しました。
【朔歩副院長】実は両親の医師としての姿というのはあまり記憶にないんです。しかし母方の祖父や父の出身校である新潟大学に進学したいという思いだけは強かったので、医学部をめざしたという感じですね。整形外科を選択したのは、済生会新潟第二病院での研修医時代に父が手術の手伝いに来ていた姿を見ていたのと、全般的に性格が明るい先生が多かったのが動機になりました。
休日はどのように過ごされていますか?
【和花院長】以前は前院長が仕事に打ち込み、私は皮膚科医をしながらも4人の子どもたちの教育に打ち込むと分担していましたが、現在はそれもなくなりましたね。プライベートでは、外出も人と話すのも苦手なので……(笑)。自宅で過ごすことが多いでしょうか。
【朔歩副院長】私は小学生の頃からずっとテニスを続けています。現在も時間があれば運動をしていますが、中でもテニスは寿命の延伸にも役立つスポーツであることが世界的な研究で証明されているので、これからも続けていきたいなと思っています。
今後の展望をお聞かせください。

【和花院長】まずは院長として、スタッフが仕事を通して満足できるような風通しの良いクリニックにしたいと思っています。また前院長の逝去後にはホームページを作成し、フリー無線LANも導入しましたが、今後はDX化にも取り組み、より多くの患者さんの人生と向き合っていきたいと考えています。
【朔歩副院長】医師のように、患者さんに痛いことをしているのに感謝される職業はあまりないと痛感しています。それほどやりがいがあり、尊い仕事ですから、今後はさらに新しいことに取り組んで患者さんが良い治療を受けられるクリニックにしていきたいですね。具体的にはMRIの導入やリハビリテーション機器の充実などを考えています。