山内 忠男 院長の独自取材記事
やまうちクリニック
(世田谷区/経堂駅)
最終更新日:2024/09/13
小田急線・経堂駅から徒歩1分。内科・小児科を掲げる「やまうちクリニック」は開業して20年の地域に根差したクリニックだ。院長の山内忠男先生は、待ち時間を最小限に抑えかつ院内感染を予防するために完全予約制を導入、薬局へ足を運ばずに済む院内処方を実施するなど、常に患者の立場に立って、さまざまなシステムを整えてきた。新型コロナウイルスの流行を契機に、さらに新しい分野の診療にも挑戦したいと、男女の更年期症状の診療も始めている。こちらも、今までどこへ相談したらいいのかわからないと悩んでいた中高年男性を中心に、女性まで患者が広がっているという。日曜祝日を含め、原則休診日なしで日々診療に臨んでいる先生に、現在の思いを聞いた。
(取材日2024年7月26日)
内科・小児科とともに専門性に特化した診療も
開業して20年になります。
開業以前の勤務医時代を入れると、内科小児科で30年、一通りのことは診てきました。2023年には、おかげさまで以前の診療所と通りを挟んだ向かい側に自社ビルを建てて移転しました。2005年の2月に開業し、現在2024年の7月までで患者さんのカルテ番号は3万番台に達しています。そういった今まで診てきた患者さん、慢性の疾患の方やかつて小さいお子さんだった方たち、今はもう中高生、あるいは成人となっていますが、そういうかかりつけの患者さんに対しては主治医として、責任を持って診療をしながら、新しいことにも挑戦したいと思うようになりました。
それが男性更年期症状などの診療ですね。
きっかけは新型コロナウイルスの感染拡大でした。受診を控える患者さんが多く、まさか病気の流行で受診が減るという事態になるとは思ってもいなかったので、今後どうなるかという精神的なダメージを負い、私自身が男性更年期のような症状になったんですね。世の中を見渡しても、在宅ワークになって他者との対面での接触が少なくなる一方で、家庭で過ごす時間が増え、家族との関わりを見直す状況にもなり、ストレスを抱えている中高年の男性は多いのではないかと思いました。そういったことから、男性更年期の診療に関心を持つようになって、新たに勉強を重ねました。最初は男性更年期症状だけを診るつもりだったのですが、その症状の一つである薄毛や睡眠時無呼吸症候群からくるいびき、運動不足による肥満などは女性の方にも共通しているということで、そこから女性の更年期障害も診ることになり、といつの間にかさまざまな症状を診るようになりました。
どのような思いで診療にあたられているのですか?
私はあくまで内科医ですから、加齢に伴う体全体の不調をなんとかして差し上げたいと思っています。疲れやすい、免疫力が落ちた、夜眠れない、といった悩みをメインに診ており、年を重ねても普通に歩いて外出ができ、風邪もひきにくい、そういった体づくりをめざしています。手探りで始めたことですが、男性更年期を診るクリニックはなかなかないこともあり、今はホームページをご覧になって遠方からもおいでになる方も増えています。中高年男性の悩みはなかなか理解してもらえないところがあり、わらをもつかむ気持ちで、当院を訪ねてくださっているので、何とか役に立ちたいという思いが、新たなやりがいにつながっています。
完全予約制、院内処方と患者のための体制を整えて
診療は完全予約制なのですね。
完全予約制は移転以前からです。どうしても患者さんの待ち時間が長くなりがちで、それが気になっていました。もう一つ、新型コロナウイルスが流行する前からのことですが、風邪やインフルエンザの患者さんが待合室に長い間いらっしゃると、院内感染につながりかねません。それで、患者さんは診察室に1人、待合室に1人、という体制をつくりました。これなら院内感染の防止が期待できますし、患者さんをお待たせすることもほとんどありません。更年期に関するご相談も、初診の方は20分、再診の方は10分の枠で予約を取っていて、お待たせしても15分程度です。予約さえ取れれば、気軽に受診していただけるシステムになっています。
休診日なしに日曜も診療、さらに院内処方も今は珍しいのでは?
日曜の診療は以前から行っていたのですが、スタッフを確保するのがなかなか難しく、休診日を設けていた時期もありました。私自身は子どもが留学したので、仕事にかまけられるのですが(笑)、ようやくスタッフもそろったので、現在は毎日診療しています。平日に受診できない方のお役に立っているようですから、続けてきて良かったと思いますね。院内処方に関しても、例えばインフルエンザの患者さんがやっと受診して、処方箋をもらって、薬局に行き、さらにまたそこで待つというのは大きな負担になります。ですから、当院では診療が終わってから原則5分以内に窓口でお薬をお渡しするようになっています。常に患者さんの立場に立って、より良い診療をと考えています。
先生が診療に際して大事にしていらっしゃるのはどういったことでしょうか。
ちょっとしたことでも気軽に相談できる雰囲気をつくるように心がけています。最近はオンラインでの診療や処方も増え、若い方の中には、対面は苦手だという方がいらっしゃるのも感じるようになりました。それはそれで、若いドクターのほうが気が合うのかなとも思ったりしています。ただ、私たちの年代は、やはり対面での診療を必要とされている患者さんが多いと感じています。そういった患者さんと向き合って、インターネットで調べただけではわからない余白の部分の診療、その方に向けた独自のアドバイスなど、丁寧に行っていきたいと思っています。
患者とコミュニケーションを取りながら
ところで、先生はなぜ医師の道を選ばれたのですか?
子どもの頃は食欲旺盛で、運動も人並みにできて、はた目には丈夫に見えましたが、ひどい乗り物酔いや頭痛、鼻水に年中悩まされ、不快感を感じていました。この原因は何かを知りたいという漠然とした欲求をいつも持っていたのが、医師をめざした最初の動機だと思います。結局乗り物酔いや頭痛は片頭痛や肩こり、鼻水は花粉症であることが判明したのは医師になってからで、それまで受診した医療機関では診断してもらえませんでした。同じように診断がつかずに悩んでいる患者さんがとても多くいらっしゃると思いますが、そういった患者さんの窓口となって、診断を下し、場合によってはより専門の医療機関への橋渡し役を担うことも地域のドクターの重要な役割だと思っています。
お忙しい中、リラックスするのはどんな時間ですか?
車に乗るのが好きなんですが、今はなかなかその時間が取れないのが悩みです。70歳まではがむしゃらに働いて、その後は自分の好きなことを思う存分、と漠然と考えていたんですが、先日ある年配の患者さんに言われたんですよ。「先生、車に乗りたいなら、早めに乗っておいたほうがいいわよ」と。なぜかと聞いたら、「70歳を超えたら、認知機能の検査や運転技能の実地検査があって、免許の更新が大変よ。私は返上しちゃった」とおっしゃるんです。そうなのかと思って。愛車が車庫で待っているのですが、引退を少し早めたほうがいいかもしれませんね(笑)。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
経堂で20年間診療させていただいています。今まで診させていただいた患者さんにとってはこれまで同様の「やまうちクリニック」ですが、新しい患者さんは、完全予約制だったり、更年期症状の診療を始めたり、何をしているクリニックなのかなと思われるかもしれません。普通に内科・小児科のクリニックです。興味を持たれましたら、完全予約制ですので、予約さえ取れれば待ち時間が少なくて済む診療体制を整えています。還暦近い、患者さんとコミュニケーションを取るのが好きな医師が、従来型のスタイルで診療しています。診断や治療については、経験を生かし、それなりに自信を持ってやっているつもりですので、何かありましたら、いつでも気軽にご相談・ご来院ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは男性更年期障害の診療(検査代含む):初回 1万4100円 2回目以降5950円
AGA治療:1ヵ月4780円/別途初診料(3300円)・再診料(1100円)
※詳しくはホームページをご確認ください