島田 辰彦 院長の独自取材記事
島田ひふ科
(鹿児島市/脇田駅)
最終更新日:2023/12/11

「島田ひふ科」は、JR指宿枕崎線・宇宿駅から徒歩約6分の場所にある。院長を務める島田辰彦先生は、日本臨床皮膚科医会の理事も務める皮膚科医師。皮膚科の領域について専門的に研究してきた知識を、広く患者に伝えたいと、開業を決意。同院は、皮膚科全般を診療しているが、皮膚疾患は他人の目が気になったり、かゆみに悩んだりすることでQOLも低下しがち。そのため、島田院長は適切な治療を行うことで改善を図り、患者の人生そのものも明るくしたいと考えているという。そんな島田院長に、診療方針、医師としての活動などについて、話を聞いた。
(取材日2023年11月22日)
ニキビやアトピー性皮膚炎など、幅広く診療
医師を志したきっかけ、開業に至った経緯について、お聞かせください。

わが家は代々医師の家系で、私で4代目なんです。私の曽祖父が内科を開業したのが初代で、以来、祖父、父と医師の仕事をしてきました。そのため、子どもの頃から自分も医師になるのが当たり前という環境で育ち、自然と医師の仕事を志していた、という感じです。父が皮膚泌尿器科をやっていて、自分はどちらにしようか考えたのですが、皮膚科の対象は悪性腫瘍もあればアレルギー、代謝性疾患など研究分野が非常に幅広いことから、面白そうだと思い選択しました。1つの研究していることよりも、患者さんを治療して良くなっていく姿を診られたら、自分自身やりがいを感じると思い、開業を決めました。
主にどのような治療でいらっしゃる患者さんが多いでしょうか。
皮膚科全般を診療していますが、多いのはニキビやアトピー性皮膚炎のお悩みなどでいらっしゃる患者さんですね。特に思春期のニキビに関しては、自分も悩んだこともあり、開業してからも研究会に参加し、依頼されて講演をしたり、診療以外にも専門的な幅広い活動をしてきました。患者さんの年齢層としては、老若男女幅広い方が来院されますが、平均年齢でいくと40から50歳ぐらいになると思います。以前は平均年齢が30歳ぐらいだったのですが、最近は大人の方も肌トラブルが多くなってきていることから、来院されることも増え、徐々に平均年齢が上がってきていますね。
治療で心がけていることや、診療方針などはありますか?

患者さんがしっかりと治療に向き合えるように、わかりやすい、ご納得いただける説明を心がけています。皮膚疾患は、クリニックでの治療だけではなく、自宅でお薬を塗っていただくなど、患者さん自身のケアが非常に重要なんです。そのため、わかりやすい丁寧な説明はもちろんのこと、患者さんがきちんと自宅でケアをしようという気持ちになっていただくために、いろいろと説明の仕方を工夫しています。例えば、皮膚の状態とお薬の関係を何か他のものに例えるなどして、「なぜそれが必要か」をしっかりと理解し納得いただけることが大切だと思っています。説明一つで、患者さんの理解を促すだけではなく、治療の効果も高められるよう努めています。
用法を守ったケアの大切さを伝えるため、説明にも工夫
具体的には、患者さんにどのように説明を行っているのでしょうか。

例えばアトピー性皮膚炎の患者さんの場合、皮膚の状態と薬を塗ることを「火事と消火活動」に例えて説明します。アトピー性皮膚炎の症状を火事とすると、薬を使ってその火事を消そうとしているわけです。たまに、もう大丈夫と思って、ご自身の判断で薬を塗るのをやめてしまう方がいるのですが、それは火事でいうと「完全に火を消しきっていないのに消火を終えてしまう」という状況です。表面上は火がなくなっていたと感じても、火種が奥のほうに残っていれば、消防車が帰った後に再び発火してしまいますよね。「途中で塗るのをやめるというのは、それと同じですよ。目で見て大丈夫と思っても、完全に治ってはいないんです」と説明するなど、なるほどと思ってきちんと決められた期間塗り続けてくれるような説明を心がけています。
治療効果を高めるための説明、というのはそういう背景があるんですね。
よく「どこに行ってもどんな治療をしても改善しない」、「治ったと思ったらすぐにまたぶり返す」というお話を耳にしますが、そういった場合、お薬の塗り方が用法どおりにしっかりとできていない可能性があると思っています。当院では、アトピー性皮膚炎の場合、プロアクティブ療法という治療方法を行います。この治療法は、お薬の量、塗る期間などをしっかりと守ると、しっかりと効果が期待できるものです。患者さんによっては、過去に治療を受けた際、必要な用法が頭に入っておらず、なぜそのやり方を守らないといけないのかを理解していなかったという方もいらっしゃると思います。患者さんにご納得いただいて、ご自宅でしっかりケアをしていただくためにも、いろいろな説明方法を試みています。
ニキビでは、どのような治療を行っていますか?

ニキビ治療でも、診療ガイドラインをしっかりと遵守した治療を心がけています。主に外用薬による治療ですね。毛穴に脂が詰まってしまうことがニキビの始まりなので、毛穴の出口を広げるための薬を使います。世界的にニキビの治療ではBPOという成分を使うことが第一選択肢です。海外では市販薬にその成分が含まれているのに対して、日本では医師によって処方された薬にしか入っていないんです。ですから、ニキビを治そうと思うと、できるだけ早く医療機関に相談に行くことが大切です。ニキビは医療機関で治療するという情報をお子さんや親御さんに届けて、啓発していくことも重要ですね。
適切な治療で、患者に楽しく明るい人生を
啓発という観点で、何か取り組んでいらっしゃることはありますか。

クリニックでの診療以外に、日本臨床皮膚科医会の理事、講演活動など幅広く活動しています。特に日本臨床皮膚科医会では、全国の学校現場における皮膚科的健康教育、健康管理に力を入れてきました。例えば、学校でのプール授業で、子どもに日焼け止めクリームの使用を認めるかどうか、一時期全国で話題になりました。その際には、紫外線対策等の観点から、学校に参考にしていただくための指針作りに中心となって携わりました。ほかにも、新型コロナウイルス感染症の流行でしばらく行っていませんが、学校に行き子どもたちに直接語りかける出前授業も以前はよく行っていました。ニキビをはじめ皮膚疾患については子どもたちも関心が高く、特に小学校高学年くらいの子どもたちは熱心に耳を傾けてくれましたね。
休日の楽しみや、趣味はありますか。
執筆、読書、映画、カクテル・ウイスキーを飲むこと、自転車に乗ることなど、趣味はたくさんあります。読書は小説から新書まで何でも読むのですが、今はコンパクトに持ち歩ける電子書籍があるので、便利ですね。物にもいろいろとこだわりがあって、身の回りに気に入ったものを取りそろえるのが好きなんです。休日に、好きな音楽を流して、お気に入りの椅子に座って、読書をするのが至福の時間です。それから、あるSF映画も大好きです。クリニックの中にもいろいろとその映画のグッズを飾って、楽しんでいます。
最後に、患者さんに向けたメッセージをお願いいたします。

私の好きな言葉は、「日日是好日」。医師としての仕事も人生も楽しくありたいと考えていて、ご縁があって来院してくださった患者さんが、楽しい人生を送る手助けができたらと思っています。皮膚の疾患は、他人の目が気になってしまったり、かゆみの症状が出たりして、QOLが低下してしまいがちです。しかし、適切な治療をすることで症状の改善が見込めます。治療を通じて、病気に支配されない楽しめる人生を患者さんにお届けしたいと考えています。皮膚のことでお困りの方は、一人で悩まず、早めに相談に来ていただけたらうれしいですね。