平野 雅弘 院長の独自取材記事
平野消化器科
(延岡市/延岡駅)
最終更新日:2026/03/25
延岡市大貫町にて四半世紀にわたり地域住民を見守り続ける、アーチ型の外観が個性的な「平野消化器科」。院長の平野雅弘先生は内視鏡のスペシャリストであり、早期がんの発見をミッションに掲げ、ベテランでありながら常に研鑽に励んでいる。熟練の技術と先端医療を融合した同院の胃・大腸内視鏡検査は、数ヵ月先まで予約がぎっしりだ。「万が一がんが見つかっても『早期発見できて良かったね』と言えるように、という気持ちで診療しています」と平野院長。内視鏡検査の近年の傾向や同院の工夫、地域医療への思いに至るまで幅広く話を聞いた。
(取材日2026年2月4日)
現役世代を中心とする内視鏡検査の高いニーズに対応
ワンフロアに診察室や内視鏡室、リカバリースペースなどが一続きになっており、広々としていますね。

内視鏡検査の患者さんが多いので、お一人お一人に僕の目と声が行き届くようにしているんですよ。結構珍しいレイアウトかもしれませんね。当院は内科も診療していますが、消化器疾患の患者さんが圧倒的に多く、延岡だけではなく他の地域からお見えになる方もいらっしゃいます。内視鏡検査総数は増加の一途をたどっており、それに伴って大腸ポリープ切除数なども増加しています。スムーズな検査ができるよう、検査体制の整備に力を入れています。
内視鏡検査の数がそれほど多い理由をどのようにお考えですか。
特に大腸の場合は、健診で指摘されて相談に来られ、診察を経て内視鏡検査を受けることになる方が多いからではないでしょうか。ですから、健診を受ける機会のある現役世代の患者さんが、男女を問わずかなりの割合を占めています。また、最初から検査目的で来院される方も少なくありません。内視鏡検査への抵抗感が昔よりは減っているのか、今は皆さんの意識が随分と変わったように感じます。検査を受けてくださる患者さんが増え、当院では進行がんの患者さんが、25年前の開業時に比べるとかなり減っています。逆に、早期がんの発見割合が非常に高くなりました。
働き盛りの世代を中心に、がんの早期発見への意識が高まっていると。

そう思いますね。予約をされる方はもちろん、予約をしていなくても忘れずに再受診してくださるリピーターの患者さんが非常に多いです。また、若い世代の方がピロリ菌に感染してしまうと、胃がんのリスクがより高くなることもあり、除菌を希望される患者さんが非常に増えています。ただ、今は昔に比べて衛生環境が格段に改善されているので、若い患者さんの感染リスクは減っていて、胃がんの罹患率も低い傾向にあるんです。ピロリ菌については、年齢が上がるほど感染率が高いのが実情です。
内視鏡検査でがんを早期のうちに発見するのが使命
御院の内視鏡検査の強みを教えてください。

先ほどお話しいたしましたように患者さんが多いので、現在は大学病院をはじめとする外部の医師にも交代で応援に来てもらっています。僕をはじめとして全員が日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医で、経験豊富な先生方ばかりです。応援があるときには2人体制ですので僕が外来診療を行っているときにも検査は進行しておりますし、時には2人同時に検査に入ることもあります。また、技術と同様に医療機器は日進月歩で進化しているので、積極的に導入しています。例えば、当院の内視鏡画像診断支援システムはポリープをAIが細かく鑑別してくれるんです。メインの判断は僕ら医師が行いますが、精巧な見極めができる点は心強いですね。診察においても、ちょっとした会話の中に診療の糸口がないかを意識するようにしています。患者さんが発する言葉の端々に、キーワードのようなものが見つかることは結構ありますからね。
内視鏡検査に対し、熱い思いをお持ちなのですね。
内視鏡検査で早期のうちにがんを発見したい。それが僕、そして当院の使命であり、スタッフにも常々早期発見の重要性を認識してもらっています。がんがある程度進行してしまった状態で見つかるのと早期発見では、その後の状況がまったく異なるんです。臓器の機能をできるだけ損なわないように、可能な限り内視鏡的切除で対応したいというのが、これまでの経験を踏まえての僕の考えです。また、内視鏡はがんだけでなく、逆流性食道炎や機能性ディスペプシア(FD)、大腸ポリープ、大腸炎などの診断にも有用なので、以前よりも診療における必要性がかなり高くなりました。検査を数多く提供するだけではなく、とにかく精度を上げていくことが重要だと思っています。
検査に対する意識が高まっているとのことですが、呼びかけなどの啓発をされているのですか。

患者さんよりは、医師に向けて、といったところでしょうか。当院は検査数が多くデータが蓄積されているので、統計や分析結果などを講演で発表することもあります。一つの医療機関、しかも町のクリニックのデータを集めて分析する機会はそう多くはないので、他院の先生方にも参考にしていただけているはずです。また、医師になってからは多くの出会いに恵まれました。専門性の高い技術を持つ先輩方に憧れて、当時は大分大学の医局にいましたから、「大分県で一番内視鏡検査の件数が多い医師になりたい」なんてよく言っていたものです。そんな経験もあって、後進の育成にも携わってきましたし、開業後も若手の先生や近所で開業される先生のサポートもしています。若い先生たちと一緒に勉強でき、僕にとっても貴重な時間になっています。
内視鏡の診療を通して地域医療の発展に尽力
後進の育成を通して地域に貢献されているのですね。先生も延岡のご出身と伺いました。

はい。父が医師でしたので「親の背中を見て」という感じで自然と医師を志すようになりました。高校・大学と県外で学び、30年ぶりに延岡に戻って開業したんです。弟も医師ですが同じ日に隣同士で開業しました。弟は整形外科で専門科がまったく異なります。患者数や患者さんの層も異なりますのでまったく別の医療機関として診療しています。お互いに隣は何をしているのかも知りませんし、共有しているのは駐車場くらいのもんです(笑)。
お忙しい中、どのようにリフレッシュされているのですか。
音楽の中でも特にジャズが好きで、一時期サックスをたしなんでいました。家族は皆ピアノを弾きますよ。あとは、週1回ジムに通って体力づくりをしています。趣味は野球観戦。応援しているチームの試合はすべて録画して、帰宅後に早送りで観戦しています(笑)。
最後に今後の展望をお聞かせください。

20年間、延岡市医師会で地域医療の諸問題と対峙してきました。現在は副会長として地域医療提供体制のさらなる強化に励んでいるところです。当院としても今まで同様内視鏡を駆使した診療を通じて地域に貢献していくつもりです。

