久保 映子 院長の独自取材記事
久保皮膚科クリニック
(今治市/今治駅)
最終更新日:2021/10/12

今年6月に開院20周年を迎える「久保皮膚科クリニック」。今治市出身の久保映子院長が地元で開院し、副院長で夫の久保勝彦先生とともに地域の人々の健康を支えている。高校時代から10年近く皮膚トラブルで悩んだ経験を持つ久保院長。「お肌の調子が悪いと、気分も落ち込んでしまう。つらい思いをされている皆さんの、少しでもお役に立てたら」と、患者の気持ちに寄り添いながら診療に取り組む。穏やかでゆったりと落ち着いた印象だが、治療に対しては熱い思いにあふれ、新しい治療法を積極的に取り入れるなど知識と技術の習得にも余念がない。クリニック一丸となって肌の悩みに応える久保院長に、診療方針や力を入れている治療、皮膚トラブルを抱える患者への思いなどについて聞かせてもらった。
(取材日2021年1月13日)
自身の皮膚トラブルをきっかけに皮膚科の道へ
医師を志したきっかけと皮膚科に進んだ理由をお聞かせいただけますか?

父が肛門科医師で今治市内で開業していました。医師をめざしたのは、患者さんを治すために懸命に治療にあたる父の背中を見て育ったことが大きいですね。皮膚科に進んだのは、私自身が高校時代に虫刺されをこじらせて、その後10年くらい全身の皮膚のトラブルに悩まされたことが理由です。お化粧をしたくても肌がひりひりする、スカートをはきたくても足に湿疹ができていてはけない、足や背中の色素沈着が気になるなど、ずっとコンプレックスを抱えていました。大学を卒業した時、父の後を継ぐか皮膚科に進むか迷ったのですが、皮膚科学をもっと学んで、自分の皮膚を治したいと考えました。さらには、自分と同じような悩みで困っている患者さんの力になれたらと思い皮膚科を選びました。
どのような経緯で開院に至ったのでしょうか。
大学卒業後、愛媛大学医学部附属病院皮膚科に入局し、結婚を機に、石川県の病院に勤めました。主人も皮膚科医師で、当時、金沢大学の医局にいましたので、主人について行ったのです。その後、愛媛に戻り、今治市の父の病院に皮膚科を併設することになりました。昔から父と一緒に働きたいという夢を持っていたので、願いがかなったのですが、その後、弟夫婦も父の病院に戻ってきてくれたので、私は主人と新たに開院することになり、2001年に久保皮膚科クリニックを開業致しました。開院場所は主人が決めてくれました。今治は地元ですし、患者さんの中には、両親とお付き合いのあった方や、私が子どもの頃にお世話になった方などもいらっしゃって、地域の皆さまが支えてくださっていることに感謝しています。
診療内容と患者層について教えてください。

診療内容は、一般的な皮膚疾患としては、ニキビ、アトピー性皮膚炎、じんましん、イボ、帯状疱疹、水虫などですが、陥入爪や巻き爪など足のトラブルで受診される方も多いです。保険診療が中心ですが、医学的根拠に基づいた美容領域の自由診療も行っています。しみやイボのお悩みに対して、レーザーや光治療器を用いたケアを行ったり、ニキビに対するケミカルピーリング、医療脱毛なども取り入れています。患者さんは、若い世代からお年寄りまで幅広いですね。男性の方も多く、ニキビが気になるという学生さんやひげの脱毛をしたいというビジネスマンもいらっしゃいます。開院してもうすぐ20年になりますので、赤ちゃんだった方が成人されたり、子どもの頃から来られていた方がお母さんになられたり、成長過程も見させていただいて、長く続けてきて良かったなと思いますね。
薬に頼らず、体の内側からアプローチすることにも着目
診療方針について教えていただけますか?

先ず、患者さんのお話を良く聞くこと、それからできるだけ患者さんの不安を取り除いて、安心していただくことを心がけています。体に優しいストレスにならない治療が理想です。患者さんに「来て良かった」と思って頂けたらうれしいです。皮膚のトラブルに対しては、薬に頼りすぎるのではなく、食生活などの栄養面を整えて、体の中から健康になっていただくことをめざした指導も重視しています。体の栄養状態とお肌の状態は密接に関係していると考えているんです。お肌にトラブルがある方は、食事の栄養バランスが乱れているなどの問題があることも少なくありません。
栄養バランスが肌トラブルに影響していることもあるとお考えなのですか?
例えば、鉄不足や亜鉛不足があったり、腸内環境が悪かったりすることが原因で、肌にトラブルが起きることもあると考えています。これは「分子整合栄養医学」という栄養学に基づいた考えなのですが、適切な栄養素の補給によって体を健康な状態へ導いていこうという考え方です。栄養素の乱れについては、問診や採血結果から考えていきます。食生活や栄養素を整えるアドバイスをし、体の内と外から、トラブルを起こしにくい丈夫な肌づくりに寄与していければと考えています。
診療していてやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

つらい症状でお困りだった患者さんの表情がだんだん明るくなって、気持ちも元気になられていく、そんな様子が見られた時でしょうか。患者さんに喜んでいただけると、私も自分のことのようにうれしいですし、皮膚科の医師になって良かったなと、やりがいを感じますね。
肌はもちろん気分も明るくなる治療をめざして
先生の診療には、ご自身の経験がさまざまな面で生かされているように感じられます。

そうですね。同じ皮膚トラブルで悩んだことのある一人として、患者さんのお気持ちは本当に良くわかるんですよ。でも、例えば、気になるところを隠そうとしてファンデーションを上塗りすればするほど、お肌の状態は悪くなっていってしまいます。ですから、体の内側から健康になって、女性なら日焼け止めとパウダーくらいで済むようなお肌をめざしていけたらと思うんです。「お肌がきれいになって気分も明るくなる」というのが私の理想です。
副院長であるご主人とお二人で診療されていますが、担当はどのように決められているのですか?
主人も大学卒業後、各地の病院で経験を積んで、一般的な治療はもちろん美容的な診療も手がけていますので、診療上の違いはありません。ただ、主人はお子さんやお母さんたちとも楽しくお話ししながら診療を進めるフレンドリーなタイプで、片や私は必要があればじっくり時間をかけて診ていくタイプなんですよ。ですから、患者さんのご希望に合わせて決めていただいています。患部や症状によっては「同性のほうが相談しやすい」というようなこともあるかと思いますので、お話ししやすいほう、通いやすいほうを選んでいただければと思いますね。そんな主人とともに私を支えてくえているのはスタッフです。開院以来20年勤めてくれている人もいて、今まで続けてこられたのはスタッフの力も大きいですね。これからもチームで皆さんの健康をサポートしていきたいと思います。
お忙しい毎日だと思いますが、どのようにリフレッシュしていますか?

料理と部屋の片付け、本を読むことでしょうか。すっきりしたい場所で過ごしたいのと、放っておくとどんどん物がたまっていってしまうので、常に片付けようと心がけてはいます。料理は主人も上手で、作ってもらうときもあるんです。それから、松山にある社交ダンスの教室に5年ほど通っています。踊ることで心も体もリフレッシュできます。ダンスの腕はなかなか上達しないんですけどね(笑)。実は自宅は松山市内にあって、もう20年以上、松山から今治に通勤する生活を続けています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
皮膚は内臓の鏡と言われるように、丈夫で健康な皮膚になるためには、胃腸を整えたり、糖質の取り方などに注意をし、皮膚を作る材料である栄養を整えることも大切です。適切な外用薬や内服療法と併せて治療に取り組めば、長年悩んできた皮膚トラブルだけでなく、健康な体にしていくことも期待できるのではないかと思います。私自身の経験からも患者さんの気持ちが良くわかります。患者さんの目線に立ち、そのお気持ちにしっかり寄り添って、自分のできる精いっぱいのことをさせていただきます。皮膚についてお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみ・イボのケア/5500円~、医療脱毛/両わき1万1000円、ケミカルピーリング/4400円~