西 正行 院長の独自取材記事
ひふ科形成外科西クリニック
(姶良市/帖佐駅)
最終更新日:2025/06/09

1999年姶良市西餅田にて開業した「ひふ科形成外科西クリニック」は、一般皮膚科、美容皮膚科、形成外科、アレルギー科など、幅広い皮膚の悩みにきめ細かな対応をしてきた地域のかかりつけ医だ。同院を率いる西正行院長は日本皮膚科学会認定皮膚科専門医であり、鹿児島大学や川崎医科大学をはじめ、病院で多数の皮膚外科手術を担ってきたほか、皮膚がんの研究にも携わるなど豊富な経験を持つエキスパート。自身がアトピー性皮膚炎に悩んだ経験から、スキンケアのアドバイスや啓発など情報発信にも力を入れている。患者の思いに寄り添った診療を心がける西院長の、相談したくなるような朗らかな人柄も大きな魅力だ。今回はクリニックの特徴や診療への思いを聞かせてもらった。
(取材日2025年3月26日)
「関わったすべての人を笑顔に」と診療を続け26年目
医師を志されたきっかけやご経歴を伺います。

私は奄美大島で生まれ育ちました。父は事業を営んでおり、将来は兄が後を継ぎ、次男の私は医者になれと言われていたことが医学部に進んだきっかけです。私はアトピー性皮膚炎で子どもの頃から皮膚科にかかっていました。自分が最初に認識した診療科であり、親近感のあった皮膚科の医師となる道を選び、鹿児島大学卒業後は大学院へ。皮膚がんの一つである乳房外パジェット病の腫瘍細胞に関する研究に携わり、論文がアメリカ国立がん研究所の雑誌に掲載されて博士号を取得。大学病院では皮膚外科の手術を得意としていました。31歳の時に医局長に選ばれ2年間務めた後、川崎医科大学の形成外科へ国内留学。その後は宮崎県の総合病院で勤務したほか、1998年から10年間は鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の非常勤講師も担っていました。
その後、姶良市で1999年に開業されたのですね。
鹿児島市に構えた自宅から通勤圏内の郊外で開業を考えており、調剤薬局さんからのお声がけもあって開業しました。姶良地区には私の地元である奄美出身の方が多く住んでいらっしゃるので、同郷の方と接することができてうれしいですし、これも何かのご縁だったのかもしれませんね。2010年代初期には、美容に関する自由診療を行うエリアを増設し医療脱毛などを行っています。病気を治療しに来られる保険診療と、もっときれいになりたいという方が来られる自由診療では、足を運ばれる際の心持ちも違いますよね。環境を分けることで患者さんがより過ごしやすい空間となるよう意識しました。
クリニックの理念を終えてください。

「当院に関わったすべての人を笑顔に」という基本理念のもと、「ここに来て良かった、また来たい」と思っていただけるクリニックをめざしています。そのために、まずは私たち医療提供側が笑顔でいられるよう、職員が働きやすい環境を整えることも重視しています。当たり前のことではありますが職員の有休消化率は長年100%を保っています。また、福利厚生にも力を入れています。患者さんの待ち時間短縮はもちろん、職員の会計業務の負担を軽減し帰宅時間を早めるために自動精算機も導入しました。職員の笑顔を生み出すことが、結果的に患者さんの笑顔にもつながると考えています。
患者層や主訴に特徴はありますか?
幅広い年齢層の方がいらしていますが、特に10代と70代の方が多い傾向にあります。主訴としてはニキビや帯状疱疹のご相談が増えている印象ですね。ニキビは、毛穴の詰まりに働きかける塗り薬の処方など標準的な治療から、西洋医学でなかなか良くならない場合は、体質改善のため漢方薬を併用したり、ガイドラインに則った施術を行うこともあります。重症の帯状疱疹は連携先の病院に入院治療を依頼したり、帯状疱疹後神経痛の強い方は積極的にペインクリニックへも紹介しています。
健康な肌をつくるため、スキンケアのアドバイスに注力
こちらのクリニックならではの診療内容を教えてください。

スキンケアのアドバイスに力を入れています。スキンケアの基本は皮膚の清潔、保湿、紫外線対策の3つです。あまり知られていませんが、保湿剤にも保湿成分そのものとして合成界面活性剤が使われています。合成界面活性剤は水と油を混ぜるために使われる成分で、汚れを落としたり、皮脂膜や角質細胞間脂質など肌がもともと持っている保湿成分を溶かして化粧品の成分を浸透させる目的で多くの化粧品に使われています。しかし、それは皮膚のバリアにも大きなダメージを与える恐れがありす。この作用により肌の水分が蒸発したり、アレルギー物質などの異物が侵入して炎症やかゆみを引き起こすなど、合成界面活性剤を使えば使うほど本来肌が持っているバリア、つまり保湿機能を壊してしまう可能性があるんです。こうした知識や情報を知ってもらいたいという思いから、講演会や書籍の出版、公開講座への出演といった活動を通して啓発に努めています。
先生もスキンケアに取り組んだご経験はありますか?
私はアトピー性皮膚炎を持っており、仕事柄、頻繁に手洗いもしますので「先生の手、痛そう」とよく言われるほど、特に乾燥する冬は手荒れがひどかったんです。現在は症状の改善のために合成界面活性剤が入っているシャンプーやボディソープの使用を控え、その結果、今ではほとんど手荒れを起こさなくなりました。どんなものを使っても肌トラブルのない健康な強い皮膚の持ち主、肌を健やかに保つための機能の高い方は、あまり気にせず好きなものを使って良いと思うんです。ただ、それらの機能が弱っている方は合成界面活性剤は避けるべきだと考えています。肌トラブルがあるけれど自分に合ったスキンケアがどうしても見つからない方もいらっしゃいますよね。そんな「スキンケア迷子」を救いたい。正しい知識と経験に基づいた情報をお伝えし、巷にあふれる情報に惑わされることなく自分に合ったスキンケアをご自身で考えられるようになると良いなと思っています。
診療においてどのようなことを心がけられていますか?

できる限り診断名をはっきりお伝えすることです。特定できない時は鑑別診断名を挙げ、本当にわからない時は正直にお伝えし、投薬後などの経過観察、検査、そして高次病院への紹介といった対応をします。専門外の症状であっても、これまでの知識や人脈を駆使して、患者さんが迷子にならないようにどの科に行くべきか道案内をして差し上げています。また、専門用語は極力使わず、わかりやすく説明することも大切ですね。
千差万別な患者の思いに寄り添う診療を
患者さんとのコミュニケーションについてはいかがでしょうか。

医師になりたての頃は、問題解決することを一番に考えて診療を行っていました。しかし経験を積むにつれて、必ずしも患者さんが問題解決だけを望んでいるのではなく、安心感を求めていることがわかりました。一方、説明はいらないから薬だけ欲しいという方もいらっしゃいます。千差万別な患者さん一人ひとりのスタンスやご希望をくみ取った上で寄り添った診療ができるよう心がけています。
患者さんにはこちらのクリニックを、どのように使ってほしいとお考えですか?
目に異常があれば眼科、耳や鼻に異常があれば耳鼻科に行かれますよね。でも、皮膚に異常がある時はどうでしょう。内臓に起因すると考え内科に、など意外と他の科にかかる方が多いのではないでしょうか。ですが、皮膚に何かできた時、まずは皮膚科にご相談ください。皮膚科専門医は、一目で大部分の皮膚疾患の診断が可能ですし、必要に応じて検査や他科への紹介も行います。診断、治療からスキンケア、美容に関しては専任スタッフも配置するなど、皮膚に関することは幅広く対応し、新しい診療をご提供できるよう日々努力していますのでお気軽にご相談ください。
今後のご展望をお聞かせください。

これまで難治とされてきた乾癬(かんせん)という炎症性疾患やアトピー性皮膚炎に対して生物学的製剤を今まで以上に取り入れ先進の医療を提供するとともに、拙著『美肌になりたければ、その肌(スキン)ケアをいますぐやめなさい。』などを通して、スキンケアの真実についてもさらに啓発していきたいと考えています。
読者や地域の方々へメッセージをお願いします。
当院は「関わったすべての人を笑顔に」という理念を掲げていますが、納得したり、安心した時にあふれる患者さんのうれしそうな顔を見ると、私までうれしくなり、つい笑顔になるんです。いつの間にかこちらが患者さんから笑顔にしてもらっています。これからもそんな笑顔あふれるクリニックであり続けたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは医療脱毛/5800円~