有沢 祥子 理事長の独自取材記事
愛星クリニック
(名古屋市千種区/本山駅)
最終更新日:2024/05/15

本山駅から徒歩約3分。2023年に星ヶ丘から移転リニューアルしたのは「愛星クリニック」だ。前身の「星ヶ丘皮フ科」を1999年に開業した有沢祥子理事長は日本皮膚科学会皮膚科専門医として、数多くの患者の治療にあたってきた。中でもアトピー性皮膚炎の治療に注力。薬物治療に加えて食事のアドバイスも行い、その人が本来持っている体の機能を十分に発揮できるよう導く。美容皮膚科においては、新しい施術を積極的に取り入れ、一人ひとりが持つ自然な美しさを引き出すことをモットーとする。和やかに話す笑顔の奥に、医療にかける熱い思いと旺盛な知的好奇心を潜ませる有沢先生に、これまでの歩み、リニューアルについてなど幅広く話を聞いた。
(取材日2024年1月30日)
2つのクリニックを統合し、本山の地で再スタート
2023年に移転リニューアルされた経緯について伺えますか?

前身の「星ヶ丘皮フ科」はビルの2階にあるクリニックでした。築50年以上たった建物でしたので、耐震性が移転を考えた理由の一つですね。分院の「七つ星皮フ科」には主に美容皮膚科の患者さんがいらしていましたが、本院にも同じく美容のご相談が増えてきて、その2つのクリニックを1ヵ所にまとめたいという思いもあり、新しい場所で再スタートしました。この建物は新築ではなく、実は患者さんが以前住まわれていた一戸建てを譲っていただき、改装した物なんです。クリニックとしてはコンパクトな造りですが、待合室からは庭が望め、アットホームな雰囲気がいいなと思っています。待ち時間に庭を散策される方もいますし、私も草むしりを楽しんでいます。心地良い空間に患者さんをお招きしたいですから、照明や鏡、ドアの手すりなど、自分が本当に良いと思ったインテリアを取り入れました。
患者さんはどのような方が多いのですか?
アトピー性皮膚炎、ニキビ、湿疹といった症状の方が多いですね。アトピー性皮膚炎の方は、いろいろな病院を転々とされてきた方もいらっしゃいます。日本人の多くは、たんぱく質、鉄、亜鉛が不足しているといわれます。一方で、糖質過多の傾向もあります。当院では、栄養のバランスに注視して、食生活のアドバイスも行っています。さらに、日本では食品添加物や農薬が多く使われていることも問題です。虫がつかない、腐らない食品が多すぎると感じますね。また、皮膚には40種類の肌フローラ(皮膚常在菌)が存在しています。いい細菌が常在している人は基本的に皮膚の状態もいいといわれているのですが、アトピー性皮膚炎の人は常在菌も違ってしまっています。いい菌を常在させるには、添加物や農薬を使用した食品を避けることも大切だと私は考えています。
アトピー性皮膚炎の患者さんの年齢層も幅広いのでしょうか?

アトピー性皮膚炎はお子さんのほうが多いですが、お子さんは治療が終わるのも速いですね。その一方で、お年を召されてアトピー性皮膚炎になってしまう人もいます。そういった方の話を聞くと、自分で食事を作らず、でき合いの物を購入することが多いですね。日本でも30年ほど前までは、成人でアトピー性皮膚炎の患者さんはあまり見られませんでした。もともと「アトピー」の語源は「奇妙な」というような意味です。子どもやアレルギーのある人がなる疾患とは限りません。ただ最近は、重症患者さんを対象に生物学的製剤という新たな治療の選択肢が増えたことで、症状の軽減につながるケースも多くなってきました。
患者に必要なことを考え、誠心誠意治療にあたる
美容皮膚科、形成外科も標榜されていますね。

一般皮膚科と美容皮膚科、私としてはどちらも差はありません。どちらも症状や悩みにアプローチしながらさらに美しくなることをめざすという、内面からの美しさを引き出せるような診療をめざしています。それには普段の食生活も深く関わっていて、その上で一般的な治療があり、さらに美容皮膚科もある。欲張りな性格なので、いいものは全部取り入れたいと思っています。美容皮膚科の分野においては、その人の顔立ちを見ながら、自然な施術を行うことをモットーとしています。形成外科は有沢宏貴先生が、毎週月曜日と土曜日に診療を行い、ほくろなどの良性腫瘍の切除、眼瞼下垂の手術などを担当しています。宏貴先生は、将来的には当院での診療をメインに担当してもらう予定となっています。私の皮膚科の知識に加えて、宏貴先生の形成外科領域での経験や知識、そのどちらもあることが当院の強みだと思います。
診療にあたって大事にしていること、心がけていることはありますか?
患者さんにとって一番必要なことは何か考え、誠心誠意診療にあたることが大切だと考えています。診察中にこちらが焦って、プロセスを省略するようなことは絶対にしてはいけないと思います。診療時間が長くなることで、患者さんを長く待たせてしまうジレンマもありますが、決して手を抜かないことを意識しています。そして、患者さんへの説明や指導をいかに丁寧に行っていくかということも大切にしています。健康で美しくなるようにして差し上げたいので、患者さんが何を望んでいるかを感じ取ることも大切ですね。しかし患者さんの望んでいることが、病気が悪くなるほうに向いていては何にもなりませんから、そんな時は良くなる方向に意識を変えられるようアドバイスをしています。
スタッフさんについて教えてください。

「来られる患者さんとスタッフにとって素晴らしい時間を過ごせることに感謝します」という言葉で朝礼を始めていますが、みんなが心からそう思えるようにと、いつも願っています。スタッフに対しては「患者さんを自分の大切な人だと思って接してください」と伝えています。とはいえ、人間誰しも長く仕事をしていると、気が緩んでくることもあるでしょう。そのことを見過ごすのは、相手のためにもなりませんし、注意をすることで自分が嫌な思いをしたくないという保身ですよね。時には言いたくないことも伝えることが本当の愛ではないでしょうか。スタッフは私にとって家族同然。真の信頼関係を築くことをめざしています。
健康的に美しくなる過程をともにすることが喜び
医師になられたきっかけをお聞かせください。

子どもの頃はすごく元気で正義感が強く、無医村のことを作文に書いたりしていました。医師になる道を選んだ根底には、そういった気持ちがあったのかもしれません。皮膚科は患部を目で見て診断できるところがいいなと思い、大学卒業後、名古屋大学の皮膚科の医局に入りました。そこでは膠原病の臨床を数多く経験しました。その頃はちょうどアトピー性皮膚炎が増えた時期で、興味を持つようになりました。アトピー性皮膚炎は日本で特に多い病気で、海外に行くと症状が出なかったり、帰国するとまた発症したりします。そういった謎を解くための20年間でした。複合的な謎が一つ一つ解けていき、現在の私にとってアトピー性皮膚炎の治療は難しいものではなくなりました。
今後の展望をお願いします。
美容皮膚科の治療なども含め、自分が試してみて良いと思ったものを積極的に取り入れるようにしています。勉強して新しいことを知るのが好きなんです。常に全力投球で取り組んでいますが、知らないことはまだたくさんあります。毎年何かしら新しい発見があり、今後もそうだろうと思います。それは誰かが教えてくれる医療ではありません。教えてもらえることは、すでに他の人が行っている治療方法です。日々新しい治療方法が発見されているのに、症状が改善しないことに困っている患者さんがいらっしゃるのです。だから、その答えは自分で探さないといけないのだと思います。そのためのアンテナはいつも立てていたいですね。
読者に向けてメッセージをお願いします。

アトピー性皮膚炎などの疾患で来院された方の症状が落ち着いて、次は美容皮膚科も受診して、さらに美しくなっていく姿を見られるような診療をめざしていきたいと考えています。美容皮膚科の施術は高額なイメージを持たれがちですが、予算をお伝えいただければ、その中でできることのご提案をしたいですね。皮膚の症状についてはもちろんですが、それ以外でも「体調がちょっと今までと違う」、「体質を改善したい」、「でも薬はあまり飲みたくない」といった希望のある人がいましたら、ぜひご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはほくろ切除(レーザー)/1100円程度、しみのケア(レーザー)/直径4cm:1100円程度
※詳しくはホームページをご確認ください。