梅本 匡則 院長の独自取材記事
梅本耳鼻咽喉科
(大阪市都島区/都島駅)
最終更新日:2025/10/01
大阪メトロ谷町線・都島駅からすぐの場所にある「梅本耳鼻咽喉科」。商業地域でありながら、若い世代の家族が住むマンションや古くからある住宅が立ち並ぶこの場所で、長きにわたりかかりつけ医として貢献してきた梅本匡則(うめもと・まさのり)先生は、大学病院などで研究・臨床をはじめ、学生の指導にも従事。兵庫医科大学では味覚について診療する外来の立ち上げにも関わったこともあり、耳鼻咽喉科の領域において幅広い経験を持つ医師だ。「患者さんはファミリーだと思っています」とにこやかに語る姿からは、優しく温かな人柄が垣間見える。そんな梅本院長に、クリニック開業までの道のりや患者への思い、今後の展望などじっくりと話を聞いた。
(取材日2018年7月6日)
経験を積んだ医師が生まれ育った町でかかりつけ医に
まずこれまでのご経歴について伺います。開業するまで、どちらでどのような経験を積まれましたか?

大阪大学医学部大学院を修了後、総合病院で4年間臨床をしていました。患者さんが多い病院だったので、いろいろな症例を診る機会に恵まれ、一般の耳鼻咽喉科に加えてポリープの手術や、これまで痛みが強かった鼻の手術を少ない負担で受けられる内視鏡手術の経験を積むことができました。その後は大学院で指導してもらっていた先生から声をかけてもらったのを機に、兵庫医科大学に教職員として入りました。学生や若い先生の指導、外来や手術に携わりました。そこで勤務した後、もともと「自分の生まれ育った都島で、地域医療に携わりたい」という気持ちがあったので開業しました。実家も近いので土地勘があり、駅近だったのでこの場所に決めました。
耳鼻咽喉科を選択したのはなぜですか?
人間が持つ五感のうち、耳鼻咽喉科は 聴覚・嗅覚・味覚の3つの感覚に関係していて、研究や臨床においていろいろなことを学べると思ったので選択しました。また今は一般的ですが、ちょうど僕が卒業する頃は、耳の聞こえない人に対して聴覚獲得のために行う人工内耳手術が行われ始めた頃で、これから夢がある仕事だと思ったのも理由の一つです。
大学院に進んだきっかけ、進学後に行っていた研究について教えてください。
医師をしている姉から「医師には定年退職がないし、長く働く上で4年間を研究に費やすのも良いのではないか」というアドバイスを受けたことをきっかけに大学院に進学を決意しました。進学後は、聴覚に関する耳の細胞の再生について研究に励んでいました。現在はIPS細胞を用いて再生医療を行えないかという観点での研究が盛んですが、当時、聴覚をつかさどる耳の神経細胞は、一度死んでしまうと絶対に再生しないといわれている時代だったんですよ。僕が大学院に進む頃には、鳥の聴覚は再生するが哺乳類は再生しないということが研究でわかっていたのですが、教授から人間の聴覚も再生できるか実験してみようという提案を受けて、早期から再生医療に関する研究にチャレンジしていました。
1999年に開業されたわけですが、大学病院時代とは診療スタイルなども大きく変化したのでは?

そうですね。大きな病院は重症な病気や手術で来院される患者さんが多いと思いますが、クリニックだと初期の段階から数多く通院してもらう分、より患者さんと医師の気持ちの距離が近いと考えています。診察する患者さんによって、どのような治療が最も良いのかアドバイスできるファミリーのような存在でありたいですね。大きな病院で働いていた頃と違って、ダイレクトに患者さんの反応を感じられますし、身近なことを相談してくれる患者さんが多いのもうれしいです。開業して本当に良かったと思っています。
患者目線に立って、丁寧かつスピーディーな診療を
こちらのクリニックでは、どのような検査・治療機器をそろえていますか?

目の動きを見て、めまいの症状があるかチェックできる機械を導入しています。目がぐるぐる動いたり、通常と違う動きをしているかを映像で見ることができるんですよ。録画した映像をモニターで確認しながら患者さんに説明したり、その映像を別の病院に持って行くことも可能です 。ほかにも電子内視鏡など医療機器がそろっているので、患者さんが見ることのできない鼻や耳の奥もモニターで確認しながら、症状が出ている箇所が今どのような状態になっているのかを患者さんにわかりやすくお伝えすることができます。
院内処方を導入されていると伺いました。
薬を購入するため診療後に薬局へ行って待たなくてはいけない負担と、少しですが金銭的な負担を軽くすることができるので院内処方を導入しています。お待たせするのはクリニックで待つ一度だけで、終わったらすぐに帰ってもらうのが患者さんのためだと思っています。どうしてもスタッフへの負担はかかってしまいますが、クリニックのことをよく知るベテランがそろっていますし、テキパキ対応してくれるので本当に助かっています。
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?
どの患者さんに対しても、自分ができる最良の治療をしたいと考えています。特に喉が痛くてつらい、めまいがひどくて立てない、というような急性期の患者さんに対しては、つらい症状をとにかく早く取り除くことを一番に心がけ、早くきちんと治しておうちに帰してあげたいと思っています。あと、小さなお子さんを診察するときは、テレビで子ども向けの番組を流して、スタッフに手や頭を固定してもらっているうちにサッとやってしまうようにしています。
今でも兵庫医科大学で非常勤講師や診察をされているそうですね。

はい。現在は1週間から2週間に一度、小グループの講義や後輩の指導、味がわからなくなってしまった患者さんを対象にした味覚の診療で外来診察を行っています。この味覚についての外来は、20年前に僕と後輩が一緒に立ち上げたものなのですが、当時は関西のみならず、全国的にも味覚を専門に受けつけている外来はほとんどありませんでした。現在はかなりその存在が知られるようになり、遠方から来院される患者さんも多いんですよ。
気軽に相談に来てもらえるクリニックをめざして
医師になってから一番印象に残っているエピソードを教えてください。

兵庫医科大学で教えていた生徒から、お父さんが5年ほど耳鳴りに悩まされていると相談を受け、診察したことがありました。いろいろと調べるうちに脳腫瘍があることがわかり、すぐに手術を勧めました。紹介がなければ病気にも気がつかなかったでしょうし、お役に立ててとてもうれしかったです。どんな病気も早く見つけることによって軽い治療で済むので、不調があればすぐに来院することが大切です。きちんと検査をして、病気の早期発見につなげる手助けができればと思っています。
お忙しそうですが、どのような方法でリフレッシュされていますか? 健康法などもあれば教えてください。
海外旅行が好きで、いろいろな国に旅行へ行っています。一番最近はクロアチアに行きました。お盆や正月休みに家族で行くことが多いのですが、一人旅でインドに行ったこともあります。あと、健康のためには運動を心がけていますね。 クリニックのお昼休みを利用して、ジムに行って軽めの筋力トレーニングや運動をしたり、プールに行ったりすることもあります。
最後に、クリニックの今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

患者さんに来て良かったと思ってもらえるクリニックをできる限り長く続けていきたいです。地域のかかりつけ医として、いろいろなことを相談に来てもらえる関係が理想ですね。何科に行けばいいのかわからないという場合でも、症状を診てこちらで振り分けることもできるので、気軽にお越しください。重症の場合は、その日のうちに目の前にある大阪市立総合医療センターへ紹介することも可能です。アットホームなクリニックなので気兼ねせず、どんな些細なことでも相談にいらしてください。

