福田 貴与子 院長の独自取材記事
小山クリニック
(明石市/魚住駅)
最終更新日:2025/11/07
明石市魚住町のマンション1階で地域医療を支える「小山クリニック」。2024年に父から医院を継承した福田貴与子(きよこ)院長は、外科医だった父が患者から感謝される姿を間近に見て医師を志したという。「内科は患者さんと深く関わることが多く、中でも呼吸器内科は患者さんに寄り添う姿勢が強いと感じた」と、父とは異なる専門を選択。地域のクリニックには幅広い対応が求められることから、総合内科でも研鑽を積み、呼吸器の専門性を軸に幅広い診療を展開している。「患者さんの立場に立って考える」ことを何より大切にし、患者だけでなく患者を支える家族の気持ちまでくみ取って診療するという福田院長に、医院継承への思いや診療にかける思いを聞いた。
(取材日2025年10月21日)
父から受け継いだ医療への思いと新たな挑戦
医院を継承された経緯について教えてください。

2000年に父が開業したこのクリニックを、父の逝去に伴い2024年に継承しました。父は年齢もあって本当に厳しい人で、患者さんに対してもスタッフに対しても厳しかったのですが、それは一生懸命さの表れだったと思います。本当に一生懸命な人でしたね。この場所は父が生まれ育った土地で、父にとってすごく縁のある場所だったんです。父が大切にしていた地域なので、私も親しみを持って診療させてもらっています。父は外科が専門でしたが、開業してからは内科疾患を中心に幅広く診療していました。その姿を見て育ったことが、今の私の診療スタイルにも大きな影響を与えています。
医師を志したきっかけと呼吸器内科を選んだ理由をお聞かせください。
父が患者さんに感謝される姿を間近に見ていたので、自然に医師を志しました。進路を決める段階で医師になりたいという思いを強く持ちましたね。父と同じ外科医をめざした時期もありましたが、学生時代や研修医時代を通して、内科のほうがより患者さんと深く関わることが多いと感じたんです。その点で、自分には内科のほうが合っていると思いました。その中でも呼吸器内科を選んだのは、内科の中でも一番患者さんに寄り添っていると感じたからです。呼吸器疾患はつらかったり苦しかったりすることが多いので、できるだけ患者さんに寄り添い、患者さんの立場に立って考えることを大事にしてきました。
呼吸器内科だけでなく、総合内科でも研鑽を積まれたそうですね。

医師になった当初は医院の継承まで考えてはいませんでしたが、診療科に関係なく幅広い疾患に対応できるようになりたいという思いで総合内科でも研鑽を積みました。父は外科医でありながら、開業してからは内科疾患を中心に本当に幅広く診療していたんです。その姿を見て、私も呼吸器が専門ではありますが、内科全般を幅広く診られるようになりたいなと。まだまだ勉強途中ではありますが、今までの経験が力になっていると思います。地域のクリニックで求められるのは、いろいろな疾患を診ることだと思います。そういう意味では強みでもあると考えています。
専門性を生かした幅広い診療と充実の設備
特に力を入れている診療について教えてください。

喘息やアレルギー疾患、感染症、慢性疾患としては睡眠時無呼吸症候群や禁煙治療などを中心に、呼吸器疾患全般を診ています。最近は特に咳喘息が多いですね。睡眠時無呼吸症候群の治療と禁煙治療は特に力を入れていて、大学病院で専門の外来をしていた経験を生かしています。生活習慣病の方が多いのですが、呼吸器の疾患が増えてきているなと感じています。新しく来てくださる方も30代、40代の方が多く、呼吸器疾患の相談で来られることが増えています。
クリニックの特色ある設備について教えてください。
父から引き継いだ設備の中でも特徴的なのが、骨密度測定ができる機械です。骨密度の測定機械はたくさんありますが、当院ではデキサ法という精度の高い測定方法を採用しています。内科クリニックでデキサ法による骨密度の検査ができるのは自慢できるところかなと思っています。あとはマンモグラフィですね。なかなか内科では置いていないと思うのですが、父は乳腺の疾患も診ていたので乳がん検診もできます。これらは他の内科クリニックでは見られない設備かなと思いますし、アピールポイントですね。これらの設備を生かして専門的な診療を提供できるようにしています。
診療で大切にしていることは何ですか?

患者さんの立場に立って考えることを一番大事にしています。そのためには患者さんの話をよく聞くことが大切で、極力丁寧に対応するよう心がけています。どうしてもパソコンのほうを向いてしまいがちなので、患者さんの顔を見るようにすることと、聴診など患者さんの体に触れることも大事にしています。勤務医時代に診ていた患者さんの中には、呼吸器疾患で亡くなる方も多かったのですが、すごくつらい中でも家族の方から感謝される場面がいくつかありました。患者さんだけじゃなくて、患者さんを支えているご家族の気持ちも理解するように努めています。
地域とともに歩む、開かれたクリニックへ
スタッフとの連携で工夫していることはありますか?

皆で同じ方向を向いて診療にあたることが大切だと思っているので、情報共有は大切にしていますね。今クリニックがどういう状況にあるかとか、今後どういうふうにしていきたいかというビジョンを、定期的にミーティングを開いて共有するようにしています。「優しく、丁寧に、そして真摯に」という言葉をスローガンとして大事にしています。父の時代から働いているスタッフもいるので、新しい体制になってもこの理念を共有しながら、患者さんに安心して来ていただけるような雰囲気づくりを心がけています。
今後の展望や目標を教えてください。
地域の方々に、より安心して来ていただけるクリニックにしたいです。医療は日々進化しています。だからこそ、広く学び、常に知識をアップデートしていくことが重要だと感じています。患者さんにとって最善の選択肢を提供できるよう、学びを止めない姿勢を大切にしています。また、来月には薬局と合同で健康フェアを開催する予定で、さまざまな企画を通じて、地域の皆さまに健康への関心を高めてもらうとともに、クリニックの存在をより身近に感じてもらうことをめざしています。イベントを通じて、クリニックの雰囲気を知っていただける機会になればうれしいです。医療機関というと、どうしても敷居が高いと感じられる方もいらっしゃると思いますが、気軽に相談できる場所として認識していただけるよう、これからも工夫していきたいです。
地域の皆さまへメッセージをお願いします。

地域のクリニックは、困ったときにすぐに相談できる存在であることが大切だと考えています。診療科に関係なく幅広い疾患に対応できるようになりたいという思いで日々診療にあたっていますので、体のことで気になることがあれば、まずは相談していただければと思います。インターネット予約システムを導入しており、患者さんの通いやすさへの工夫もしています。明石医療センターや明石市立市民病院とも連携を取っていますので、必要な時には適切な医療機関へご紹介することも可能です。父が大切にしていたこの地域で、これからも地域の皆さまの健康を支えていけるよう、引き続き邁進してまいります。何か困ったことがあれば、いつでもご相談ください。

