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中江 世明 院長の独自取材記事

中江クリニック

(世田谷区/千歳船橋駅)

最終更新日:2023/08/04

中江世明院長 中江クリニック main

小田急線・千歳船橋駅から徒歩5分、閑静な住宅街の中にある「中江クリニック」。院長の中江世明(なかえ・せいめい)先生は、東京女子医科大学と北里大学で長年心臓外科の医師として勤務後、2000年に開業。内科や外科、循環器内科、呼吸器内科のほか、糖尿病の診療も行い、日々多くの患者と向き合っている。落ち着いた声でユーモアを交えながらにこやかに話す中江院長に、クリニックに多く訪れる循環器疾患や糖尿病、認知症の患者について、また患者とのコミュニケーションについて話を聞いた。

(取材日2023年5月30日)

「生活習慣病」という言葉は使わず、個々の疾患を診る

2000年に開業されて、クリニックや町の状況は変わりましたか?

中江世明院長 中江クリニック1

循環器内科を中心に、呼吸器内科、一般内科など、相変わらずさまざまな患者さんを診ています。ですが、やはり高齢化のためか高齢の方が増えて、患者さんの平均年齢が上がっています。ですから高血圧や高血糖、動脈硬化といった、高齢の方に多く見られる症状で来院される患者さんも多いです。ちなみに私は生活習慣病という表現を使いません。中年期以降、どうしても体の調節力などが下がってきますので、それに伴って何かしらの症状はどうしても出てきます。それに生活習慣病というと、何か患者さんの生活習慣が悪かったようにも聞こえてしまいます。もう少し厳密に、高血圧症などと個々の病名で考え、患者さんにもお話しするようにしています。

循環器科内科ではどういった症状の患者さんが多いでしょうか?

現在、高齢化に伴って爆発的に心不全患者が増加する「心不全パンデミック」という状況になるのではないか、ということが問題になっています。当院も例外ではなく、高齢の方を中心に、心不全の危険性がある患者さんもいらっしゃいます。ただ胸の痛みを訴えて来院される方でも、中高年の方では実は勤務先でものすごいストレスがあって、それが原因だということも考えられます。もちろん一通りの循環器の検査ができる体制ですが、まずは患者さんのお話をよく聞くことが大事ですね。

そのほかにはどういった症状の方がおられますか?

中江世明院長 中江クリニック2

不整脈や心房細動の方ですね。そういった方には当院でできる内科的治療だけでなく、カテーテルアブレーション手術を受けていただくことも選択肢に挙げ、専門病院を紹介します。また、急患で心筋梗塞や心原性脳梗塞の症状の方もおられます。急患で、「何か調子がおかしい」と来院されて、院内で動脈瘤が破裂してしまった、なんてケースも考えられます。もちろんその場合は病院への救急搬送になりますが、退院後は再発を防ぐための二次予防がたいへん重要になってきますので、当院に継続して通っていただきます。

栄養指導を中心に、糖尿病治療に力を注ぐ

糖尿病治療にもとても力を入れていらっしゃるそうですね。

中江世明院長 中江クリニック3

はい。便宜的にここでは糖尿病という病名を用いますが、先ほどの生活習慣病のように、患者さんに対しては糖尿病という表現はあまり使いたくないのです。糖尿病も生活習慣、つまり自分のせいでなってしまったと思い、診断すると落ち込んでしまう方もいらっしゃいます。もともと日本人は欧米の人に比べて、体質的に血糖値を下げようとする耐糖能という機能が弱く、糖尿病になりやすいということもあります。あくまで病気が原因で体質が変わったのだ、ということを理解していただいて、投薬だけでなく、体質を戻していただけるよう励ましながら指導していきたいと考えています。

どのような指導をされているのでしょうか?

まずは栄養指導ですね。当院に管理栄養士さんに来ていただいて、月数回行っています。また私自身も、患者さんに生活指導を行っています。私は、投薬はあくまで補助的なものと考えています。例えば「薬を飲んでいるのだから、今日は暴飲暴食しても大丈夫だろう」と思うのは本末転倒です。体質を健康な時に戻すよう、ご自分の状態と妥協しないで付き合っていただきたいと思います。もちろん私も一緒に頑張るつもりでサポートいたします。また基本的に、40代になったら糖尿病やがんなどには気をつけなければいけません。当院に来られている患者さんは高齢の方が多いわけですが、それらの病気は遺伝的なものも関係しますので、その患者さんにお子さんがいたら、ぜひ健康相談に来ていただくようお伝えしています。

認知症治療にも力を入れておられますね。

中江世明院長 中江クリニック4

はい。物忘れが気になってご自分で来院される方もいますし、ご家族がご相談に来られる場合もあります。ご家族も親御さんのことですから、患者さん連れだと話をしにくい場合もありますので、まずは相談だけでも、という方も多いですね。認知症の疑いがある患者さんには認知症の検査や治療を行うわけですが、中には聴力が弱っていて質問に正確に答えることが難しく、検査上認知症と判断されてしまう方もいます。そういった場合、補聴器で聴力の改善が見込め、認知症ではなかったことがわかるケースなどもありますね。

初診に時間をかけ専門用語をなるべく使わず説明

たいへん丁寧に患者さんのお話を聞いて診察されている印象です。そうなるきっかけなどあったのでしょうか。

中江世明院長 中江クリニック5

開業前は、大学病院で小児心臓外科という非常に専門性の高い医療をしていました。ただ、どうしても目の前の難しい手術や、珍しい病気の治療だけに目を奪われている感じがしていて、いずれ患者さんと一対一で、しっかりとコミュニケーションを取りながら診療を行いたいという思いがありました。それが開業と、今の診療姿勢へのきっかけになったと思います。ですから今も初診にはじっくり時間を取るようにしています。ある分野を専門に診療してきた医師が開業医になると、私に限らず、そういった考えに至ることが多いようです。

患者さんとコミュニケーションをとる上で大事にされていることは何でしょうか?

医療は専門的なお話が多いわけですが、それをいかに専門用語を使わず説明するかということでしょうか。例えば健康診断をされた方がいらしたとして、「血圧が高いですね」という事実だけお伝えしても、何もわかりません。高血圧だと今後何が起きる可能性があるかを、いかにわかりやすく説明するかが大事です。それは、患者さんの不安を取り除くことにもなります。私は患者さんが来院される理由は、半分は症状、半分は不安をお持ちだからだと思っています。もちろん症状を不安に思うことは治療や予防のために大事なことなので、それは「正しい不安」だと思っています。その不安を治療や予防に生かすために、私もわかりやすいお話をして、いかに不安を解消していくかのお手伝いができればと考えています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

中江世明院長 中江クリニック6

何か少しでも体のことで悩みがあって医療機関にかかりたいという方は、どうぞ当院にお越しください。循環器疾患に限らず、さまざまな内科的な病気を診てきましたので、初診でじっくりとお話を伺い、お困りの症状に対応させていただきます。当院で対応できない場合は、専門の医療機関を紹介させていただくわけですが、それでもまずはお話を聞くことから始まります。かかりつけ医として、地域の皆さんの最初の相談相手でありたいと考えています。当院は予約制ですが、初診でお時間をいただくので少しお待たせしてしまうかもしれません。ですが皆さん平等にお時間をかけて診ますので、ご容赦いただければと思います。

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