耳・鼻・喉の専門家が教える
小児科と耳鼻咽喉科の上手な使い分け
おおき耳鼻咽喉科
(吹田市/岸辺駅)
最終更新日:2025/01/17


- 保険診療
子どもが体調不良を起こした際は、症状の悪化を防ぐためにも早めの受診が大切だ。しかし、具合の悪い子どもを連れての通院は、親にとってなかなか骨が折れるもの。また症状に合わせた診療科の選択も難しく、特に発熱や咳、鼻水の際、耳鼻咽喉科と小児科のどちらを受診するべきか迷う人は多いだろう。「おおき耳鼻咽喉科」の大木孝一院長は「小児の場合は、耳鼻咽喉科と小児科の上手な使い分けが中耳炎や副鼻腔炎を防ぐことにつながる」と話す。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医として、子どもから高齢者まで幅広い年代の治療を行う大木院長は、時にはぬいぐるみを使って子どもとコミュニケーションを図り、泣いて暴れる子や赤ちゃんの鼻水の吸引も軽々とこなす。そんな大木院長に、耳鼻咽喉科と小児科の使い分け方や、病気予防のこつについて聞いた。
(取材日2022年12月22日)
目次
耳鼻咽喉科と小児科の上手な使い分けが、症状の悪化を防ぐためのポイント
- Q子どもの場合、耳鼻咽喉科ではどんな病気の治療ができますか?
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A
▲キッズスペースも広く、子ども連れの患者にも配慮した造りだ
耳鼻咽喉科は耳、鼻、喉の疾患を対象とした診療科です。鼻水・鼻詰まり、咳、耳痛・頭痛・咽頭痛・耳鳴・難聴・めまいなどの時に受診する科として認識いただいているのではないでしょうか。しかし、実は耳鼻咽喉科が対象とする範囲は広く、脳・目・歯を除いた、首から上の幅広い疾患に対応することができます。首や顔面の腫れや痛み、息苦しさ、唾液に関することや甲状腺の疾患も耳鼻咽喉科の対象です。ですから体調不良を主訴として受診いただくこともできます。発熱は中耳炎や扁桃炎を原因として起こる場合も少なくありません。気になる症状は早めの受診をお勧めします。
- Q風邪のとき小児科と耳鼻咽喉科のどちらに行けば良いか迷います。
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A
▲ネブライザーも多数設置している
風邪の症状でよくあるのは、鼻水・咳・喉の痛みなどでしょう。実は鼻や喉を専門とする耳鼻咽喉科の得意分野です。耳鼻咽喉科であれば、診断、内服薬の処方だけでなく、鼻水の吸引処置や、鼻や喉のネブライザー等専門的な処置ができます。お子さんの場合、ひどい鼻水を放置すると中耳炎や副鼻腔炎になってしまうことも少なくありません。また、お子さんがよく耳を触ったりしていれば、中耳炎や外耳炎、外耳湿疹を疑います。お気軽に受診ください。しかし、喘息や心臓の病気等の持病をお持ちのお子さんや、肺炎が疑われるような高熱と激しい咳が続いている場合、腹痛・下痢・吐き気を伴う場合、皮疹が出ている場合等は小児科の受診がいいでしょう。
- Q小児科と耳鼻咽喉科を使い分けるメリットを教えてください。
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A
▲専門的な視点から一人ひとりに適した診療を行う
耳鼻咽喉科と小児科、それぞれの良さがあります。例えば、耳鼻咽喉科専門医であれば、鼻の粘膜を見れば風邪かアレルギー性の症状かだいたいわかります。鼻水が多く咳がひどいと最初に耳鼻咽喉科を受診されるお母さんも多くいらっしゃいます。鼻水を吸引後、ネブライザーをすることで呼吸が楽になることも望めます。また、耳垢がたくさんあり、小児科では鼓膜・外耳道がよく見えず、中耳炎・外耳炎がはっきりしない時も耳鼻咽喉科では耳垢を丁寧に除去して判断することができます。小さなお子さんは、自分の症状をうまく伝えることが難しいですよね。症状を悪化させず早く治すためにも、気になる症状が出たときはぜひお気軽にご相談ください。
- Q子どもの診察をするときの工夫などあれば教えてください。
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A
▲多角的なアプローチで診察にあたる院長
お子さんが病院を受診するとき、特に初めての受診の時には、体もつらく不安も大きいですよね。泣いてしまったり嫌がったりすることも無理はありません。ですから、まずはたくさん声をかけ、たくさん褒めるようにしています。上手にできなくても大丈夫です。できるところまで頑張っただけでもすごいことです。「頑張ったね」「上手にできたね」と繰り返し声をかけていると、みんな上手に治療を受けられるようになりますよ。また、お子さんを2人以上連れているお母さんもご安心ください。当院では常時6~7人のスタッフがおりますので、ご来院のお母さんのお手伝いをいたします。治療中のお子さんに存分に寄り添ってあげてください。
- Q普段の生活でできる、病気の予防法はありますか?
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A
▲気になる症状があれば早めの受診を
まずは、手洗い、うがい、換気をしっかり行い、十分な栄養と休息を取ること。当たり前のことですが毎日のこととなるとなかなか大変なもの。できるだけ小さいうちから、毎日のルーティンにするといいですね。また、子どもは解剖学的に、中耳炎や副鼻腔炎を起こしやすいので、鼻水や咳を軽く見ないことも大切です。鼻水は中耳炎の原因になることがありますし、咳は副鼻腔炎の影響で出ているかもしれません。鼻が詰まって口呼吸になっている場合や、眠れていない様子が見られた場合は、なるべく早く受診して悪化を防ぎましょう。当院では、鼻の奥の上咽頭の吸引も行っています。早めの受診は何よりの予防です。悩まず受診してくださいね。