海江田 光裕 理事長、海江田 光祥 副院長の独自取材記事
はやと整形外科
(霧島市/隼人駅)
最終更新日:2025/07/07

温かみがあり、リゾートライクな建物が特徴の「はやと整形外科」は、隼人エリアで長年診療を行ってきた。院内からは海江田光裕理事長が手塩にかけてきた中庭を望むことができ、訪れる人の癒やしとなっている。理事長の父から受け継いだ同院は、理事長の息子である海江田光祥副院長が診療に加わったことでさらに進化。一通りの整形外科治療はもちろん、骨粗しょう症を専門に診療する外来に対応できるようになったという。地域医療における課題やニーズと真剣に向き合い、診療内容・体制を柔軟に変えてきた同院。副院長就任という新たな節目を迎えた今、どのようなビジョンを描いているのか、理事長と副院長に話を聞いた。
(取材日2025年6月6日)
患者の通いやすさやニーズを考え、柔軟に医療を提供
この地で長く診療してきたクリニックだとお聞きしました。

【光裕理事長】当院は開業して26年目を迎えます。前身は近所にあった父の診療所で、当時は外科クリニックとして地域医療に貢献していました。一方、私は勤務医時代に隣町の加治木で整形外科診療を行っていたのですが、そこには隼人町からも多くの患者さんが受診している状況で。次第に「遠方からいらっしゃる患者さんの負担を減らすために、隼人エリア内で対応したい」と考えるようになりました。その後、父の診療所を継承する際に外科から整形外科に診療内容を変更。場所も現在地に移転して、兄とともに再スタートを切ったという経緯です。父が開業したのは1947年ですので、通算するとかなり長く地域で医療を提供してきましたね。さらに、10年ほど前には国分に分院をつくりました。こちらも国分にお住まいの方の通院負担を考えての開業でしたが、不思議と当院の患者さんは減らず、毎日忙しくさせてもらっています。
すてきなクリニックですが、設計や内装でこだわった点は?
【光裕理事長】角張った建物や白くて冷たい内装など、いかにも医療機関らしい感じにはしたくないと考えていました。院内に入るとリラックスできる空間が広がっていて、待ち時間には中庭を見ながらのんびり過ごせる。そんな雰囲気の中でならリハビリテーションも頑張れるのではないかと思い、温かみのあるハワイアンな空間デザインをお願いしました。中庭の手入れは最近ようやく業者さんに依頼するようになりましたが、それまでの約20年間は妻と一緒に自分たちで行うくらい思い入れがあります。ただ、業者さんの手が入ったことで、単に植物を並べていた頃よりだいぶきれいになったと感じています(笑)。
これまで行ってきた診療について伺います。

【光裕理事長】仕事中の事故や骨折、お子さんのスポーツ中のけがをはじめとする外傷の治療がメインで、ほかにも整形外科特有の腰痛や肩凝り、膝の痛みといったお悩みに寄り添ってきました。外傷の手術は重症例にもある程度対応しており、脊椎を除く大腿骨・手関節・肩などの骨折手術はだいたい院内で実施可能です。また、2025年4月より息子が副院長として診療に加わり、骨粗しょう症を専門に診療する外来も新たにスタートしました。骨粗しょう症に特化した治療を提供しているクリニックは県内でもまだ数が少ないので、診療の幅が広がり、より多くの患者さんの健康をサポートできることをうれしく思っています。
骨粗しょう症を専門に診療するため勤務医時代から準備
副院長のご経歴や骨粗しょう症に注力した背景をお聞かせください。

【光祥副院長】鹿児島大学を卒業後は県内のさまざまな病院に勤務し、4年目からは当院の手術の手伝いもしてきました。専門分野は一般外傷、腱板断裂の手術といった肩関節に対する外科治療、そして骨粗しょう症です。勤務先の大半が基幹病院だったこともあり、骨折して救急搬送されてきた患者さんを手術するケースも少なくありませんでした。しかし手術だけを行っても、骨折の原因である骨粗しょう症を解決しないと再び骨折してしまいます。また骨粗しょう症治療は病院だけでなくクリニックでもニーズが高いと考えていましたし、最終的に当院に戻って診療すると決めてもいましたので、将来的に骨粗しょう症を専門に扱う外来の開設を見越して勉強しました。それが整形外科医師になって2~3年目の頃で、これまで実現に向けて着々と計画を進めてまいりました。
骨粗しょう症の診療の進め方について伺います。
【光祥副院長】骨粗しょう症の治療は、メディカルスタッフとの多職種連携が非常に重要です。当院では初めに看護師が問診を行い、患者さんの状況を確認します。その後は理学療法士から運動指導、管理栄養士からは栄養指導を実施するという流れで、どちらかというと医師よりもメディカルスタッフのほうが専門性を生かす場面が多いですね。治療にあたりスタッフの教育も必要でしたので、実は副院長になる前から骨粗しょう症のチームをつくりたいと父に打診し、専門家集団として機能できるよう体制を整えてきたんです。今や看護師・理学療法士・管理栄養士・診療放射線技師が骨粗しょう症に関する豊富な知識と技術を習得し、チーム一丸となって治療や予防に取り組んでいます。
診療で大切にしていることは何ですか?

【光裕理事長】当院にいらっしゃった方が安心してお帰りいただけるよう、丁寧な診療に努め、説明の際は、患者さんと同じ目線でお話しするように意識していますね。心がけているのはそのくらいですが、ありがたいことに「先生は話を聞いてくれるからここに来ている」とよく言っていただけます。今まで私一人で診療してきましたが、4月から息子との二診制になり、一人ひとりの患者さんとより長くお話しできる環境になりました。可能な限りコミュニケーションを取っていきたいと考えていますので、相談したいことがある方はぜひお越しください。
【光祥副院長】とにかく患者さんファーストの姿勢を徹底しており、スタッフにも就業時間は患者さんのことを一番に考えるようにと呼びかけています。やはり患者さんのために仕事をしていますからね。
診療規模を拡大し、より幅広い領域にチャレンジしたい
家系に医療関係者が多いそうですが、影響を受けた部分はありますか?

【光裕理事長】父の代からみんな医師になっており、私も父の背中を見て医師になろうと思っていました。整形外科医になった理由は、患者さんの数が多い分野であることと、痛いところを和らげてあげたいという気持ちからです。治療を通して痛みを軽減し、元気になった患者さんに笑顔で帰っていただく。これが、私が日々の診療でめざしていることであり、やりがいでもあります。
【光祥副院長】私の場合は、父が楽しそうに診療しているのを見て「医師って楽しい仕事なのかな?」と思ったのがきっかけです。自ら望んで進んだ道なのでこの仕事が大好きですし、忙しさもまったく苦になりません。けがをして来る方が多い整形外科は、治療を行うことで症状の改善を図るそのプロセスがとても明確です。その意味でも患者さんに感謝される機会に恵まれており、医師冥利に尽きますね。
今後の展望をお聞きします。
【光裕理事長】3年以内には病床数を増やし、クリニックから病院へと規模を拡張しようと計画しています。19床だと受け入れに限界があり、患者さんをお断りしてしまうこともあるため、ニーズに合わせてクリニックを進化させるべくいろいろと頑張っているところです。また、次男が麻酔科医師で現在ペインクリニックを学んでおり、いずれ一緒に診療する予定です。そちらも心待ちにしていただければと思います。
【光祥副院長】この地域は救急車の受け入れ体制も十分ではないと感じているため、当院で対応できるものに対しては可能な限り受け入れ、今まで以上に手術にも対応していこうと考えています。骨粗しょう症だけでなく、一般外傷も含めて守備範囲を広げていく予定です。
読者へのメッセージをお願いします。

【光裕理事長】当院は整形外科ではありますが、皆さんには「地域のかかりつけ」として気軽にお越しいただきたいと考えています。実際、当院には内科の先生がいた時期があり、当時の患者さんは私が引き続き診ています。今後、病院になったときには整形外科に限らず、内科をはじめもっと柔軟な医療を提供できるでしょう。
【光祥副院長】医師の数が増え、守備範囲が広がったことで今までできなかった領域にもアプローチできるようになりました。この地に長く根づいたクリニックとして地域医療に貢献する姿勢はそのままに、新たなチャレンジもしてまいります。関節の痛みなど、何かお困り事がありましたらぜひ当院にご相談ください。