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水野 剛 院長、長尾 奈穂子 副院長の独自取材記事

真光園

(松山市/久米駅)

最終更新日:2021/10/12

水野剛院長、長尾奈穂子副院長 真光園 main

杖ノ淵公園に近く、水の豊かな松山市南高井にある「一般財団法人真光会 真光園」。すぐそばを川が流れる自然豊かなこの場所で、精神科病院として入院治療をはじめ精神科デイケアや精神科訪問看護、往診・訪問診療など、地域と連携し、幅広い精神科医療を展開している。同院は、水野剛院長、長尾奈穂子副院長をはじめとする経験豊富な医師と看護師、作業療法士、ケースワーカー、臨床心理士ら多職種がチーム医療を展開していることが大きな強みだ。一人ひとりの精神疾患と向き合い、治療だけでなく生活のケアも行い、日常生活を「地域」で支えていくことに注力している。今回は、水野院長、長尾副院長に、どんなときに精神科を受診すればいいのか、また精神科医療に対する多岐にわたる取り組みについて聞いた。

(取材日2020年8月20日)

入院治療からデイケアまで幅広く対応

どのような症状の患者さんが多いのでしょうか?

水野剛院長、長尾奈穂子副院長 真光園1

【水野院長】患者さんの多くは精神科の領域であるうつ病や統合失調症の方です。当院は精神科疾患の入院治療のために心療内科や精神科クリニックの方からご紹介を受けることが多いですね。また、最近は後期高齢者の方も増えています。認知症の周辺症状により、家庭や介護施設での対応が難しくなってご紹介いただくこともあります。
【長尾副院長】それから、発達障害の患者さんもいらっしゃいます。発達障害というと幼児や思春期をイメージするかもしれませんが、当院では成人後、うまく社会に適応できなくて、もしかしたら発達障害じゃないかと思って受診される方、うつ病だと思っていたら発達障害だったという方もいます。当院は経験豊富な臨床心理士をはじめ、心理検査ができる体制が整っているので、発達障害に関しても詳細な検査を行うことができます。ですので、クリニックなどから検査のために受診される患者さんも多いのですよ。

精神科はどのような症状があるときに受診すればよいのでしょうか?

【水野院長】症状というよりも、もっとシンプルなところでいうと、働くことが十分にできなくなったと感じたり、夜眠れなかったり、食事ができなくなったり……。生活に支障が出てきたときですね。また内臓疾患など肉体的な原因でない場合は、一度受診されてみるといいかもしれません。
【長尾副院長】ストレスやうつ病、統合失調症などでクリニックに通っているものの、2〜3年症状が良くならないという状態の方は、一度入院することも一つの選択肢として考えていただくのもいいかなと思います。入院したからといって必ず良くなりますとは言えないのですが、家そのものがゆっくり休めない環境である場合は、入院したほうがいいかもしれません。

お二人のお話を聞くと、前向きな入院という印象を受けます。

水野剛院長、長尾奈穂子副院長 真光園2

【長尾副院長】そうですね。自宅療養で良くなるきっかけがつくれない方は、生活リズムを整えるという意味でも前向きに入院を考えていただけたらと思います。特に、昼夜逆転している人は症状が良くなりにくい傾向がありますので、まずは入院することで規則正しい生活を取り戻していただくことが重要となる場合もあります。
【水野院長】例えば不眠とひとことで言っても、どの程度の不眠なのか。それによってお薬の調整も変わってきます。当院では、医師はもちろん看護師も精神科の専門知識を有する者がしっかりと患者さんの状態をお伺いしますので、ご安心いただけるのではないかと思います。

地域での生活を、多職種連携によりサポート

診療を行う上で大切にしていることを教えてください。

水野剛院長、長尾奈穂子副院長 真光園3

【長尾副院長】精神科の症状は、症状だけに焦点を当てていてもなかなか快方に向かわないことがあります。ですから私は、逆に症状だけにとらわれすぎないようにしています。おいしくご飯が食べられて、ぐっすりと夜眠ることができて、顔色も良くなっていく……。入院生活を送る中で、そんな当たり前の健康が戻ってくれたらいいなと考えています。
【水野院長】お薬の調整や患者さんとの接し方など、お一人お一人の患者さんをしっかりと診ることを大切にしています。またお話しする上では、精神科病院は敷居の高い印象があると思いますので、まずはその印象をなくせるよう、相談しやすい雰囲気を心がけています。近年はメンタルクリニックや心療内科など、身近な場所で精神科症状を診られるクリニックが増えてきていますが、そうした中でも当院をお選びいただいた患者さんの想いにしっかりとお応えしていきたいと思っています。

患者さんの自立支援にも力を入れていらっしゃいますね。

【長尾副院長】当院では、長期入院をされる患者さんの増加に対応するため、ノーマライゼーションの考えのもと、病院から地域に出て普通の生活をしてもらおうとさまざまな取り組みを以前から行ってきました。アウトリーチ支援に重点を置き、多職種が精神障害のある方々の日常生活を「生活の場」、つまり「地域」で支えていく取り組みを、「地域移行推進室」を中心に行っています。障害者自立支援法のもと、地域にはさまざまな通所施設や入居施設ができましたから、それらの施設と連携し、その人らしい生活を取り戻すための患者さんのリハビリテーションに取り組んでいます。

それが高齢の患者さんへ向けた取り組みにもつながっているのですね。

水野剛院長、長尾奈穂子副院長 真光園4

【水野院長】そうですね。戦後のベビーブーム時代に生まれた団塊の世代と呼ばれる人たちが75歳以上の後期高齢者となる2025年には、医療や介護のニーズがよりいっそう増大することが予想されています。厚生労働省では、この2025年をめどに、それぞれの地域の実情に合った医療・介護・住まい・生活支援が一体的に確保される体制、つまり「地域包括ケアシステム」を構築していくことの必要性を強調し、地域の包括的な支援・サービス提供体制の構築を推進しています。これまで、当院では障害のある患者さんを地域の多職種のメンバーで支えていく取り組みに力を入れてきましたが、このノウハウは、高齢者介護における地域包括ケアシステムにおいても応用できるもの。そこで近年では、行政や地域の介護事業所と連携し、地域で生活する高齢の患者さんのアウトリーチ支援にも積極的に取り組んでいます。

多様化する精神科医療へのニーズに応え続けるために

訪問診療にも注力されていると伺いました。

水野剛院長、長尾奈穂子副院長 真光園5

【長尾副院長】近年、国からは病院での平均在院日数をさらに短縮する方向が示されているため、今後は重症の在宅患者さんがさらに増えていくことが予測されます。そんな重症の在宅患者さんの疾患は、内科系疾患だけにとどまりません。松山市在宅医療支援センターでは、在宅医療を行う医師が専門性の高い診療科と連携できるよう「他科往診依頼制」が運用されています。当院では、この制度にも積極的に参加し、地域の在宅医療を担う先生方と連携をとって精神科における訪問診療を行っています。当院が行っているのは、精神科医師による往診・訪問診療や精神科訪問看護、精神保健福祉士の相談業務など。また患者さんの状況や生活環境に応じて、さまざまなニーズに対応できる体制を整えています。

精神科の往診・訪問診療や訪問看護は、どのような方が対象となるのですか?

【水野院長】通院をするのが困難な方で、これまでに精神科などへの受診歴や治療歴のない方でも、精神科専門の医師が診察を行い、その結果、抗精神病薬や抗うつ薬、睡眠薬などの薬の調整を行うことが望ましい場合にご提案しています。また、心理的、社会的な要因で健康状態や生活のリズムが乱れており、日常生活において精神科の医師や看護師など、専門職の支援を必要とする方も対象となります。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

水野剛院長、長尾奈穂子副院長 真光園6

【長尾副院長】ご自宅や介護施設などで、当たり前の生活が当たり前にできるように。私たちは、入院をきっかけに、患者さんの精神面や体調面だけでなく、生活環境を整えることにも注力しています。疾患だけに目を向けるのではなく、生活が成り立っていないということに対して医師の立場から関わり、介護や福祉の現場の方々と協力して患者さんが望む暮らしを送れるように、サポートができたらと思います。
【水野院長】入院施設もある病院となると、受診するのにハードルを感じるかもしれませんが、まずは気軽にご来院いただけたらありがたいなと思います。医師をはじめ看護師、作業療法士、ケースワーカー、臨床心理士ら各分野のスタッフが連携してサポートさせていただきますので、どうぞご安心してご相談ください。

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