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田中 和孝 院長の独自取材記事

メディカルカウンセリングルームたなかクリニック

(高松市/瓦町駅)

最終更新日:2023/08/03

田中和孝院長 メディカルカウンセリングルームたなかクリニック main

香川県庁や高松市役所、また複数の学校施設が並ぶ利便性の高いエリアに、「メディカルカウンセリングルームたなかクリニック」はある。院長の田中和孝先生は、20年にわたり高松市亀井町にクリニックを構えて診療を続けてきたが、2023年3月に同市番町へと移転開業した。クリニックはビルの4階。ゆったりとした広さの待合室では大きな窓へ向けてチェアが配置され、紫雲山と高松市の街並みを一望することができる。診察室は壁を隔てた隣にあり、入り口と出口の扉を分けた一方通行の造りとするなど、患者同士が極力顔を合わせずに済むような工夫と配慮を凝らした設計だ。新天地で再スタートを切った田中院長に、移転の経緯や医師を志したきっかけ、今後のクリニックの展望などを聞いた。

(取材日2023年5月12日)

患者のプライバシーに配慮した院内

開業して21年目で移転されたということですが、その経緯を教えてください。

田中和孝院長 メディカルカウンセリングルームたなかクリニック1

移転前の20年間は、高松市亀井町のクリニックで診療をしていました。当時の大家さんのご都合でやむなく移転となったのですが、物件を50件ほど見て回った結果、以前のクリニックからも近いこちらの場所への移転を決めました。ここは亀井町の隣町ですし、患者さんのアクセスが大きく変わらないというのが一番の決め手でしたね。それと、クリニックからの眺望が素晴らしいという点も、気に入ったポイントの一つです。窓から紫雲山の青々とした緑が目に入ると癒やされますし、患者さんもリラックスして診療に臨んでいただけるのではないかと思っています。

随所で、患者さんのプライバシーを守る配慮をされているそうですね。

こちらへ移転するにあたって、かなえたいことが一つありました。それは患者さん同士が、診察の前後に極力顔を合わせないようにするということです。当院は開業当時から完全予約制ですので、この体制を継続するとともに、患者さんには必ず予約時間の10分前にお越しいただくようお伝えしています。さらに受付・会計スペースは診察室の中に設けて、診察室の入り口と出口の扉も分けました。待合室と診察室の間の壁は、天井まで防音壁になっていますので、会話を聞かれる心配もありません。すべては、患者さんが安心して受診できる環境を整えるための工夫です。私が一人ですべての業務を行いますので、診療時間中の電話には対応しにくいのですが、お問い合わせや予約の連絡があれば、昼の休憩時や診療後に折り返すようにしています。移転後の慌ただしさが落ち着いたら、初診の患者さんの受け付けも再開する予定です。

患者さんは、主にどんなお悩みで来られていますか?

田中和孝院長 メディカルカウンセリングルームたなかクリニック2

職場の人間関係や夫婦関係、親子関係、友人関係、恋人関係といった、人間関係のお悩みで来られる方が多いです。人とうまくコミュニケーションが取れなくなり、疲れやストレスを抱えてお越しになっている印象です。精神疾患にはうつ病や統合失調症、発達障害、認知症などさまざまな種類がありますが、ここには注射や点滴、検査室の設備もなければ、看護師や臨床心理士もいません。当院は「メディカルカウンセリングルーム」、つまり医療的カウンセリングを中心として、お薬が必要な方には処方を行う場所です。主には、患者さんのお話を聞くことしかできませんが、私はそれが一番大切だと思っています。体の病気と同じで、心の病気も予防が重要です。「何か変だな」と感じたら、なるべく早くご相談にいらしてください。

ストレス性の病を経て、心を診る医師へ

先生が医師を志したきっかけは何だったのでしょうか?

田中和孝院長 メディカルカウンセリングルームたなかクリニック3

高校生の頃に腸の病気を患い、その原因がストレスだと言われてしまったことがきっかけです。その時のつらい経験から、「どうすればストレスに対処できるのか」「どうすればストレスとうまく付き合っていけるのか」を考えるようになりました。そしてよくよく考えた結果、体の不調は心が原因であることが多いと気づいたのです。体を診る医師はたくさんいます。けれども、これからは心を診る医師がますます必要になるのではないかと思い、私は精神科医を志しました。大学卒業後には大学院へ進み、電気生理学、ざっくりと言えば腸と脳の関係を研究していましたが、それも自分の病の経験があったからだと思います。

大学院を出られた後は、どのような経験を積まれたのでしょうか。

大学院卒業後、最初に勤務した県西部の病院では、精神科医が私一人。病院全体でご高齢の患者さんが多く、救急の患者さんもたくさん受け入れている場所でしたから、専門科だけでなく内科の診療にも携わっていました。この当時は心と体の不調を両方診ることができて、とても勉強になりましたね。その後に勤務したのは、精神科病院としての歴史が長い高松市内の病院です。精神科医の数も多かったため、他のスタッフと密に連携しながら、精神科医療に注力することができました。同じ専門科の医師同士で相談し合って、リフレッシュできるところもありがたかったです。

開業以降は、ご自身のリフレッシュのためにどんなことをされていますか?

田中和孝院長 メディカルカウンセリングルームたなかクリニック4

大きな病院で勤務していた頃は院内で歩くことが多かったのですが、開業してからは座りっぱなしで診療をすることが多く、肩凝りや坐骨神経痛を抱えるようになってしまいました。こうした不調の解消のため、7年前からフラメンコ、3年前からは乗馬をたしなんでいます。体を動かすことはもちろん、自然の中で動物と触れ合うことはリフレッシュにつながります。加えて、コロナ禍前までは精神科医4~5人で集まって、専門書を読む読書会を開催していました。読書会は医療に対する知見を増やすと同時に、人とコミュニケーションを取ることで、心の内に閉じ込めていた感情と向き合う時間でしたね。私たちの仕事はいろいろと抱えすぎることが多いので、人と話すことで気づく感情は多かったように思います。

大切なのは、丁寧にじっくりと患者と向き合う時間

日々、心がけていることはありますか?

田中和孝院長 メディカルカウンセリングルームたなかクリニック5

私の臨床の背景にあるのは精神分析という技法で、心の奥底を見つめる作業として、自由連想という手法を大切にしています。患者さんが思いつくままに、自由に話をしてもらうという方法です。話が尽きてしまっても、尽きたところから無意識下で新しい言葉や感情が湧くように、患者さんの内なるものが外へと出ていくようにサポートをしていきます。自由連想の時間では、自分の価値観を交えずに、一つ一つ丁寧にお聞きし受け入れることが重要です。普段の診療でも、患者さんが気を遣ったり言葉を選んだりしないように、リラックスして自由に話せるような雰囲気をつくることを心がけています。

クリニックの今後の展望をお聞かせください。

約20年前の開業当時、一番の目的としていたのは「ゆっくりと時間をかけて患者さんと向き合うこと」でした。今後も、そのスタイルを続けていけたらと考えています。開業医になって感じるのは、クリニックで精神科や心療内科を受診するハードルは下がってきているということです。当院でも「定期的に通うことが安心感につながる」と言って、大きな不調はなくても来院される方が多くいらっしゃいます。お話をすることで気分が軽くなって、病気を未然に防ぐことができたら理想的ですし、そういった患者さんがもっと増えていくといいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

田中和孝院長 メディカルカウンセリングルームたなかクリニック6

当院は私が一人で開いている、特殊なクリニックです。患者さんの医療相談を主体としておりますが、設備や人材がそろった環境下での治療が必要な方については、適切な医療機関をご紹介いたしますので、安心してお越しください。また週に一度、外来診療を担当している病院と協同して治療を進めることも可能です。私が皆さんにお伝えしたいのは、「心の健康を維持するためには、無理をしない」ということです。目標を決めて頑張るのは良いことですが、同時に、目標を達成していない現在の自分を否定してしまうことにもなります。それは、とても疲れることですよね。自分に合わない環境に、無理に合わせる必要もありません。今の自分の頑張りを認めて、もう少し自由に、わがままになりましょう。それが結果的に、良い方向へとつながるのではないでしょうか。ぜひあなたも、今できることを大切に、今の自分を大切にしてあげてください。

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