江田 芳美 院長、佐藤 絵美 先生の独自取材記事
江田クリニック産婦人科
(出雲市/大津町駅)
最終更新日:2026/03/12
島根県出雲市の閑静な住宅地にある「江田クリニック産婦人科」は、このエリアでは少ない分娩を受け入れている産婦人科のクリニックだ。四半世紀にわたり地域の女性を見守り続けており、同院から退院する姿を見送った乳児が、今度は母親となって訪れるということもあるのだそう。院長を務める江田芳美先生の「皆さんにとって産婦人科受診の最初の入口になってほしい」という思いから、同院では助産師の外来や産後ケア、漢方の外来など、あらゆる側面から女性の健康を支えている。スタッフはすべて女性で、医師は江田院長のほかに、漢方内科を担当する田丸直美先生、そして2025年からは佐藤絵美先生を迎え、診療の幅がさらに広がった。今回は江田院長と佐藤先生に、クリニックに込めた思いや、穏やかに過ごしてもらうための工夫などを語ってもらった。
(取材日2026年1月21日)
来院のハードルを下げ、早期の産婦人科受診を促進
クリニックのスタッフは皆さん女性なんですね。

【江田院長】はい。当院は「女性による女性のためのクリニック」をコンセプトに掲げ、女性の健康をサポートしています。センシティブな症状やお悩みを扱うことも多い産婦人科は、どうしても受診に対してハードルを感じがちですので、受診しやすく相談しやすい場所でありたいと常に考えています。当院は分娩を取り扱っているので妊娠・出産の患者さんが多いですが、若い女性のプレコンシャスケアや月経困難症のほかに、婦人科疾患、思春期・更年期のご相談にも対応しておりますし、子宮がん検診の方も歓迎しています。
女性の生涯にわたる健康を支えておられるのですね。
【江田院長】そうした場所になれるよう取り組んでいます。私が大学の医学部を卒業した当時は、周囲の医師のほとんどが男性でした。そこで、女性医師であることを生かせる分野を考えたところ、「同じ女性を診る診療科である産婦人科なら患者さんへのメリットも大きいのではないか」と思ったんです。そして、実際に産婦人科の道に進み、多くの出産に携わるうちにめざすようになったのは「安心・安全なのはもちろん、お母さまにとって良い思い出になれるようなお産の実現」でした。分娩も含めた産婦人科全般におけるプライマリケアを提供し、地域の女性にとって医療の最初の入り口になる場所をつくりたいと思い、当院を開設しました。
2025年から新たに佐藤絵美先生がご入職されたそうですね。

【佐藤先生】はい。江田クリニック産婦人科は、外来・入院施設ともに安心かつ快適に過ごせる空間をつくられていて「こんな場所で働きたい」と思えるクリニックでしたので、一員になることができてうれしく思います。島根県内の地域病院で産婦人科全般の診療に対応する中で、女性のヘルスケアに関心を持つようになりました。当院での診療に日々とてもやりがいを感じています。
頼もしいスタッフが加わり、診療の幅がさらに広がるのではないでしょうか。
【江田院長】そう思います。当院の思いを受け継いでくださる仲間が増え、本当にありがたいですね。フレッシュな佐藤先生とともに、時代のニーズに沿った診療を提供することを、これまで以上に意識していきたいです。私だけではなく別の視点が加わることで、より患者さんに合った選択ができると思います。月経困難症に対する低用量ピルの処方や、妊娠前からの健康管理を促進するプレコンセプションケアの受け入れなど、若い女性にも気軽に通院してもらえるクリニックにしていきたいです。
患者が心穏やかに過ごせる環境づくりに尽力
外来スペースや入院設備など、院内のこだわりを教えていただけますか。

【江田院長】クリニック全体で「患者さんにリラックスしていただける場所」であることを最優先に考えています。医療や福祉系の施設を多く手がけている設計士さんにアドバイスをいただきながら、空間設計や窓・柱には曲線のフォルムを取り入れ、木材の家具や植物を用いることで、やわらかい雰囲気の空間に仕上げました。外来では、待合と診察室・検査室の間に中待合を挟み、プライバシーにしっかり配慮しています。入院設備では、湯船に入れない産後の患者さん向けに、手を使わずに座ったままで浴びることができるシャワーを設置しました。介護施設で最近よく導入されているタイプで、患者さんからは「体の芯から温まる」と好評ですよ。
【佐藤先生】ベッドはやわらかく、患者さんはぐっすりと眠れると思います。安心して過ごしてもらうための工夫が随所に凝らされたクリニックだと感じます。
江田院長がめざしておられる「安心・安全なお産」のために環境を整えているのですね。
【江田院長】もちろん、医療体制の整備も常に心がけています。島根大学医学部附属病院・島根県立中央病院と密に連携していますし、自治体や地域の助産師さん、保健所とも定期的な会議でこまめに情報共有しています。あとは、入院食もこだわっていて、常駐の管理栄養士と調理師が旬の野菜や季節を取り入れたメニューを考案し、すべて院内で調理したものを提供しています。コンセプトは「おばあちゃんの逸品」で、昔から産後の回復や母乳に良いと言われているような食材や調理法を取り入れて献立を考えています。食事の重要度が高まる妊娠・出産期間の食育も大切にしていて、妊婦健診や入院の際には栄養指導も行っています。
専門が異なるスタッフ同士の連携も欠かせませんね。

【江田院長】管理栄養士や調理師、クリーンスタッフなど、全員が当院の職員なので、当院の3つの診療指針「安心・誠実・人間愛」を熟知して頑張ってくれています。長く勤務してくれているスタッフも多く、10年以上の方、中には20年以上の方もおられますね。
【佐藤先生】憧れていた職場でしたので、スタッフの皆さんが温かく迎えてくださってうれしかったです。皆さん、患者さんを優しく支えてくださる方ばかりで、日々「どうしたらより良い診療を提供できるか」を考えておられる姿が印象的でした。年齢や職種に関係なく積極的に提案をしていて、そうした関係性もすてきだなと感じています。
産後ケアや漢方の外来など多方面から患者に寄り添う
ほかに力を入れている領域はありますか。

【江田院長】まずは産後ケアでしょうか。今の時代、核家族化などで周りに相談できる人が少ない「孤独なお母さん」が増えている印象があります。そのため、お母さんたちをサポートする産後ケアの重要度は、開業当時に比べて格段に高くなりました。お母さんと赤ちゃんの健康におけるスタートラインに関わる者として、これからも、自治体のサービスや保健師と連携しながら、お母さんと地域をつなぐ役割も担い続けたいと思っています。あとは、漢方内科ですね。当院では週に2日、田丸直美先生による漢方の外来を設けています。月経痛や産後の不調、更年期障害をはじめ、婦人科疾患は漢方と親和性のあるものも多いですし、「鎮痛剤に頼りたくない」という患者さんもおられるので、治療の選択肢が広がることは患者さんにとってメリットが大きいと考えています。
今後の展望を教えてください。
【江田院長】院内DXを進めて、患者さんの利便性の向上を図っています。ウェブ予約に加え、ご自宅で気をつけてもらいたいことや栄養管理のアドバイス、諸連絡などをメールでお伝えするサービスをスタートさせました。また、地域への医療・健康情報の発信にも取り組んでいます。勤務医時代の思春期の外来での経験を生かし、地元の中学校・高校で性教育の講演を定期的に行っています。出産は地域の発展に大きく関わるものなので、これからも地域に向けた活動は大事にしていきたいですね。
最後に、お二人から読者へのメッセージをいただけますか。

【佐藤先生】婦人科領域に関して、気になることや、お悩みを持たれている方が、安心して受診していただける場所にしていきたいです。若い方だけではなく、「恥ずかしくてなかなか受診できなかった」とお話しされるご年配の方もおられます。最初の一歩さえ踏み出してくださったら、何かお手伝いできることがあるはずです。そのために環境の整備はもちろん、情報発信の面などでも努力していきたいと思っています。
【江田院長】佐藤先生が来てくださったおかげで、今までよりも多くの患者さんを診察できるようになりました。これからは、出産や検診はもちろん、新たな領域にも手を広げることで、さらに手厚い医療を提供していきたいと考えています。些細なことでも結構ですので、何か気になることがございましたら気軽にご相談いただけたらうれしいです。

