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田代 博嗣 院長の独自取材記事

田代医院

(世田谷区/代田橋駅)

最終更新日:2025/05/14

田代博嗣院長 田代医院 main

世田谷にある「田代医院」は、1928年に初代院長が開業してから約1世紀という長い歴史を持つ皮膚科医院だ。子どもから高齢者まで幅広い患者の悩みに対応してきた同院。初代院長の息子である田代博嗣院長は、大学病院との強固なネットワークを持ち、大学病院と地域医療の架け橋として強い思いをもって奔走してきた。そんな田代院長に、美容外科や美容皮膚科が抱える課題など、日本の医療を取り巻く多岐にわたるテーマも含めて語ってもらった。

(取材日2025年3月24日)

大学病院との連携と地域医療に注力

とても歴史ある医院だと伺っています。

田代博嗣院長 田代医院1

昭和3年、1928年に初代院長である父が開業したので、今年で97年目になります。当時は、まだ今のように医療法がしっかりしていない時代で、父は開業前から地域の方に頼まれて診療していたようですから、実際は100年以上、この地で地域医療に携わっています。父も皮膚科の専門医師でしたが、私が院長に就任してからは、皮膚科全般から私の専門である形成外科領域まで幅広く対応しています。

クリニックの診療の特徴を教えてください。

私は大学勤務が長く、現在も大学病院と地域医療をつなぐ役割を務めています。そのため、地域の開業医の先生方に、困っている患者さんや自分では手が負えないなという患者さんを当院にご案内していただき、診断の結果、必要と判断すれば、当院と連携する大学病院を紹介させていただいています。ですので、大学病院と現在も密なネットワークを持つ皮膚科の専門医師が、難症例の患者さんを診察し、患者さんが通いやすい医療機関をご紹介する、いわば大学派遣の診療所的な位置づけが、他のクリニックとの大きな違いかもしれません。一方で、開業当初より注力している地域密着型の医療も、変わらず提供しており、お子さんからご高齢の方まで幅広い年齢層の患者さんが通われています。

患者さんからはどのようなご相談が多いですか?

田代博嗣院長 田代医院2

地域の患者さんでご相談が多いのはじんましんや湿疹、かぶれ、やけど、水虫など一般的な皮膚疾患です。ただ、話を聞くうちに、皮膚がんの可能性が疑われる患者さんが極まれにですがいらっしゃいます。大学病院に紹介し精密検査をした結果、やはり皮膚がんだったという方も。患者さんの話をよく聞き、病気の可能性を見逃さずに、高度専門治療へつなげるのも私の仕事です。今でこそ、開業医から大学病院の紹介は誰でもスムーズにできるようになりましたが、昔はそういうルートもなければ、システムも整っていませんでした。私は、開業医と大学病院の教授の二足のわらじを履く身として、早くから大学病院と地域医療の双方にとって利点のある医療に努めてきました。大学病院での専門治療が終われば、当院で引き続き経過を観察しながらサポートするなど、連携して診療にあたることが患者さん、大学病院、開業医の三方にとって有益だと考えています。

信頼関係を大切に、正しい診断を追求

日々の診療で、どのようなことを心がけていますか?

田代博嗣院長 田代医院3

最も重視しているのは、診断を間違えないことです。昔、東京大学医学部の内科の教授が退官講演で「現役時代に診断が当たったのは3割程度」とおっしゃっていたのが、とても衝撃的でした。長年研鑽を積まれてきた教授でさえ、7割は診断が外れるほど、完璧な診断とは難しいものだと学ばせていただきました。それでも、正確な診断を追求していくのが、われわれ医師の使命です。大学病院の医師と開業医にはそれぞれの役割があって、大学病院で研究ができるのは、開業医のサポートがあるからです。大切な患者さんを大学病院に送る以上、受け入れる大学病院側は先端の専門治療で支えていく。そういう信頼関係をもとにした連携体制を、今後もうまくつくっていきたいと思っています。

お悩みのお子さんも多い、アトピー性皮膚炎についてはいかがですか?

アトピー性皮膚炎については、JAK阻害薬や生物学的製剤などの有用な新薬が続々と登場しています。反面、価格の高さがネックです。当院では、新薬による治療を希望される場合は、大学病院など適切な医療機関を紹介し、その後の経過を当院で診るというスタイルを取っています。皮膚科の治療は時間がかかる上に、新薬にはまだ報告されていないような副作用が起こる可能性もあり、コスト的に見合わない部分も多々あります。それでも、世田谷区内にはアトピー性皮膚炎の治療に情熱を持って取り組む若い医師が多数いて、同じ医師として頭の下がる思いです。私には大学病院の人脈があり、どのクリニックを受診したら良いかわからない方には、私が信頼する医師をご紹介します。診療にかける情熱や人柄まである程度理解しているので、気軽にご相談ください。大事なのはどのお医者さんに診てもらうかです。

近年は、美容皮膚科のご相談も多いですか?

田代博嗣院長 田代医院4

当院ではご相談に乗ることが主で、内容に応じて信頼できる医療機関をご紹介しています。私は長い間、美容皮膚科にも携わってきました。最小限の侵襲で最大限の結果を、ご本人の心が晴れて日常生活のクオリティーが上がるような美しさをめざして活動してきました。私には、皮膚科の診療ができない医師が美容皮膚科をやるべきではないという信念があります。今、医療現場では研修医期間を終えてすぐに美容外科や美容皮膚科の業界に直接進む医師、通称「直美(ちょくび)」の増加が問題になっています。1人の医師の育成には約1億3000万円かかると言われています。過疎地域など地方の医療が崩壊し、医師の偏在が問題視される中、公費が拠出され育成された医師が、専門医資格を取らずに自由診療の審美目的にのみ携わるわけですから、日本の医療に与える影響は大きいでしょう。

審美目的の医療を受ける上で、大切なポイントはありますか?

日本形成外科学会形成外科専門医と日本皮膚科学会皮膚科専門医の資格を両方持っている医師というのが一つのポイントでしょう。美容皮膚科に長く関わってきましたが、美容外科や美容皮膚科はお金のある人しか受けられない医療であってはいけないと思います。腕が磨かれ、費用も安く、良心的な医療を提供してくれるかどうか、ご本人の目でしっかり見極めてください。

2025年より新体制に、今後も地域に密着した医療を

先生が皮膚科と形成外科を専門にされたきっかけを教えてください。

田代博嗣院長 田代医院5

私のいとこである医師が日本で初めて小児外科を作り、私もやってみたいと思ったのがきっかけです。海外には形成外科という診療科があり、学びたいと思ったのですが、当時の日本にはまだなくて。周囲からは「形成外科なんて飯が食えないぞ」と言われました(笑)。そのうちなんとかなるだろうと入局したものの、日本では皮膚科の中の形成班という位置づけで、皮膚科の知識がないと駄目だとわかり、皮膚科に進みました。皮膚は「人間最大の臓器」であり、目に見えるものですから、とてもやりがいがあります。開業医となっても大学に残り続けたのは、開業して大学を離れた先輩がわずか10年で「今はそんな治療があるのか」と驚く様子がショックで、大学にいるメリットに改めて気づいたからです。

先生のリフレッシュ方法を教えてください。

あまりないですが、しいて言うなら麻雀ぐらいですかね。頭を使うし、駆け引きもあっておもしろいですよ。4人それぞれの思惑が影響し合うのが人生と似ていて、誘われたら無理してでも行くようにしています。ウォーキングもよくしますし、中でも階段上りは健康維持に役立っています。また、昔より勉強会にもよく出るようになりました。まだかろうじてついていけますし、新しい学びがあり楽しいです。昔は勉強が大嫌いでしたが、今は学ぶことが楽しみです。私は仕事が趣味でもよいと思いますし、24時間仕事をしたいくらいです(笑)。この年になっても医師を続けられることはありがたいことで、今後も続けていきたいと思います。

読者へメッセージをお願いします。

田代博嗣院長 田代医院6

2025年4月から、主に昭和大学で講師をしている息子と同大学の先輩医師との2人体制で診療を行い、私は土曜日に診療を手伝う予定です。今後も大学病院の皮膚科と連携し、専門分野に長けた医師とのネットワークを生かした良質な医療提供をめざし続けていきます。それが今まで当院を支えてくださった地域の皆さんへの恩返しになると信じていますので、今後もよろしくお願いいたします。

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