神保 眞理子 院長、神保 好夫 副院長の独自取材記事
神保整形外科
(小金井市/武蔵小金井駅)
最終更新日:2024/10/22
JR中央線・武蔵小金井駅から徒歩3分。「神保整形外科」は、開業して20年以上になる地域に根差したクリニックだ。院長の神保眞理子先生が整形外科を担当。夫で副院長の神保好夫先生が週に1度形成外科の診療と簡単な手術を行っている。診療の主軸は一般整形外科だが、クリニックでは珍しい装具を作製するための外来も開設。時には整形外科と形成外科とで連携し、傷痕の縫合を副院長が行うこともあるという。きれいな生花が飾られ、壁にはポップなアート作品が並ぶ居心地の良い院内で、2人に診療への思いを聞いた。
(取材日2024年9月17日)
装具の作製を行う外来で、足のトラブルや痛みに対応
整形外科はどのような患者さんが多いのでしょうか。
【眞理子院長】一般的なケガ、腰痛、膝痛の患者さんが多いですね。少し特徴的なこととしては、私が勤務医時代に長い間重度障害児の整形外科を診てきましたので、お子さんや赤ちゃん、障害のある患者さんもおみえになります。障害のある患者さんには、装具のご相談・作製にも応じています。また、中高年になると、外反母趾や扁平足、あるいは扁平足の逆で土踏まずの部分が高くなった凸足(おうそく)など、足にトラブルを持つ方も多くなります。重度の外反母趾の場合は手術が必要となることもありますが、その前に足底板(インソール)である程度痛みの軽減を図ります。リハビリテーションルームでは、機械による首や腰のけん引、マッサージ効果のある電気治療器およびマイクロ波などを使用して循環を促し、こわばった筋肉を和らげ、痛みを緩和させる効果を期待しています。お近くで通うのが負担にならない方たちにご利用いただいています。
クリニックで装具の作製を扱っているのは珍しいのでは?
【眞理子院長】そうですね。最初は以前勤務していた病院からの患者さんを中心に診ることになり、義肢装具士さんに来てもらうことにしました。診察するうちに、足のトラブルを訴える方の装具も扱おうということになりました。毎週土曜の午後に義肢装具士さんに来ていただき、靴の中敷きとして治療用足底板(インソール)や靴型装具などの作製も行っています。装具の場合、足の形は時間がたつと変化しますから、こまめな調整が必要となります。医療の一環ですから、保険も適用されます。
特別支援学校などでの診療も続けていらっしゃるとか。
【眞理子院長】近隣の学校からお話をいただいたのが始まりで、できる範囲でよろしければとお引き受けしました。今7、8ヵ所の特別支援学校の生徒をそれぞれ1年に1、2回伺って診ています。やはり足のトラブルを抱えているお子さんもおいでなので、そのお子さんの装具を作るご相談を受けたり、わざわざ病院に行くほどのこともないけれどちょっと話を聞いてみたいという方にご説明したり、あるいは施設などで車いすが必要になった方に障害者手帳を申請するお手伝いをしています。診療のメインは一般整形外科ですが、こうした診療も続けられたらいいなと思っています。
夫婦間でのSNSによる情報交換で迅速な処置を可能に
副院長が形成外科を担当なさっているんですね。
【好夫副院長】土曜の午前中に診察、その午後と月・火曜の午後5時過ぎから施術と縫合など簡単な手術を行っています。形成外科というと美容外科のイメージが強いかもしれませんが、私は医療系の体表面の疾患、外傷系を主に診てきました。必要があれば、院長を務めていた佼成病院や母校の東京医科大学の医局、あるいは教え子のいる病院に患者さんをお送りして、手術をしてもらっています。一番多い疾患は皮膚腫瘍でしょうか。良性のいわゆるほくろです。手術の適用についてご相談を受けることも多いですね。「こういう状態だけれど、どうしたらいいか」「手術を勧められたが、今受けたほうがいいか」など、過去の経験を生かし、アドバイスしています。レーザーを使ったしみのケアなども行っています。
簡単なケガの縫合など、こちらで処置していただけるのは整形外科としてもありがたいですね。
【眞理子院長】私と副院長は、SNSで診療の情報などもやりとりしているのですが、これがとても役に立っているんです。例えば、患者さんが「救急で取りあえず顔面を縫ってもらったけれど、傷痕が気になる」とおいでになった場合も、すぐに副院長に写真を送って相談することができます。患者さんも「形成外科の専門家がこう言っています」とお伝えすると、きっと安心なさると思うんです。診療に関しては日頃からよくSNSでやりとりしています。
副院長は緩和医療の分野にもお詳しいそうですね。
【好夫副院長】68歳まで形成外科メインでやってきましたが、以前の病院で「緩和ケアも診てくれないか」と相談されたのがきっかけで勉強を始めました。これまでとは180度違う、薬の処方がメインになる内科の分野ですし、最初は戸惑いもあって難しかったですね。緩和ケアと形成外科、両方を診ている医師というのは珍しいんじゃないかな(笑)。最近は訪問診療も始めたのですが、ご高齢で通院できない方も多いので、訪問先で必要に応じて簡単な巻き爪などの手術をして差し上げることも可能ですよ。緩和の疼痛コントロールや、コミュニケーションの取り方など、形成外科にも生かせますし、新しい分野に挑戦して良かったと思っています。
話の中から痛みの原因を探る
診療で大事にしていることは?
【眞理子院長】患者さんのお話をよく聞くことですね。お話の中に、痛みの原因の答えが隠れていることがあるんですよ。患者さんご自身は気づいていらっしゃらなくても、「こういう動作をしたことは?」と丁寧に伺っていくと、「そういえば窓拭きをしました」という具合に、痛みの原因が見つかることがあるんです。原因がわかれば患者さんも安心ですよね。大きな病気を見逃さないことも心がけています。日常の煩雑さに紛れがちですが、大事にしなければならないことですね。それと、スタッフからの情報も大事です。いつもとは違う表情だとか、異なる職種からのアドバイスもとても参考にしています。
【好夫副院長】患者さんにいい医療を届ける、ということでしょうか。まずは患者さんのためになることを第一に考える。後のことは自然についてくると思っています。整形外科と形成外科、お互いの存在がお互いの支えになればいいですね。
お忙しい毎日と思いますが、どのようなことでリフレッシュなさっていますか?
【眞理子院長】1つはピラティスですね。もう20年近く続けていますが、関節の可動域が広くなり、インナーマッスルも鍛えられて、体が楽になります。診療にも役立っていて、肩関節周囲の動かし方、膝の周囲の筋肉の使い方、立ち姿、姿勢の保持の仕方などを患者さんにアドバイスすることも。もう一つはフラワーアレンジメント。作ったお花をクリニックに飾っていて、楽しみにしてくださっている患者さんも多いんですよ。自宅にもお花は欠かしません。お花を触っていると、いろいろあっても全部忘れてしまいますね。
【好夫副院長】ヨットクラブに所属してレースに出場しています。かなり真剣に取り組んでいるので、楽しみというよりストレスになっているかも(笑)。とにかく日曜になると海に出ています。先日のレースでは見事優勝したんですよ。妻には「少しは休みを取ったら?」と言われますが。
今後の抱負をお聞かせください。
【眞理子院長】これまでの経験に加え、新しい知識や診療方法も積極的に取り入れていきたいです。先日母校の東京女子医科大学の100周年記念のイベントに参加し、若い教授や医局の方とお話しする機会があり、刺激を受けたところです。やりたいことを実現するためにも、自分の健康には気をつけたいですね。内科医だった母の亡くなる間際の言葉「大事なのは健康」が、実感できる年齢になりました。そして、一人だとできないことも多いですが、信頼できるスタッフがいることに日々感謝しています。これからもコミュニケーションを取りながら協力してやっていきたいと思っています。
【好夫副院長】緩和ケアで新たに得た経験や知識もプラスしながら、形成外科の診療をしていきたいですね。この地域は形成外科が少ないので、地域のお役に立てるよう頑張っていきます。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみのケア/4400円~