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梶原 由美子 院長の独自取材記事

梶原内科クリニック

(世田谷区/若林駅)

最終更新日:2025/08/12

梶原由美子院長 梶原内科クリニック main

「これまで35年間、仕事をつらいと思ったことはないんです」。そう穏やかにほほ笑むのは、世田谷の静かな住宅街で人々の健康をそっと見守り続ける「梶原内科クリニック」の梶原由美子院長だ。開業当初から自身の得意分野である生活習慣病の診療に加え、内科全般の悩みに真摯に対応。「病気を診ずして人を診よ」の精神で、患者一人ひとりと向き合ってきた。2025年6月のリニューアルでは、消化器外科を専門とする医師であり、院長の三男である梶原庸司先生も診療に参加。さらに先進の検査機器を多数導入し、その診療体制はさらに充実したという。本記事では、そんな同院の「これまで」と「これから」についてつづっていく。院長のやわらかなまなざしの奥に、「患者さんを最後まで診続けたい」という揺るぎない覚悟が見えた。

(取材日2025年7月11日)

「患者と医師」を超えて。住民の健康を、人生を支える

開業から35年、これまでの診療を振り返ってどんなお気持ちですか?

梶原由美子院長 梶原内科クリニック1

正直、あっという間でしたね。「大変だったでしょう?」と言われることもありますが、実はこれまで仕事を苦痛に思ったことはないんです。患者さんは開業当初から診ている方も多く、そのお子さん、そしてお孫さんまで3世代にわたるお付き合いも増えました。「あの頃はこんな赤ちゃんだったのに立派に成長して」なんて、笑い合う日もありますね。スタッフたちにも恵まれて、開業した頃からずっと働いてくれているメンバーもいます。みんなのおかげで楽しく診療を続けてこられましたし、患者さんにとっても、顔なじみのスタッフが対応してくれた方が安心していただけると思いますので、本当に感謝しています。

これまでで、印象に残っている患者さんはいらっしゃいますか?

私にとって皆さん大切な存在ですから、お一人だけという話ではありませんが、特に印象的なのは開業当初から通ってくださっている107歳の女性です。料理を作るのがお好きな方なのですが、娘さんが先に亡くなり、息子さんも大病を患われて、本来なら施設入所も考えられる状況でした。それでも今、当院に来られているのは、もしかしたら「院長先生が近くにいるから自宅に残る」とご家族に伝えてくださったのでは、思うことがあります。35年の月日を一緒に歩んできた方ですから、「もし何かあれば夜中でも飛んでいこう」と思っています。また、一時期、自転車で往診をしていた頃には、多くの看取りもさせていただきました。中にはご家族の事情などで施設や病院に入られた方もいて、「本当は私が最期まで診てあげたかった」と寂しい思いもしましたね。でも、皆さんとそういう深い関わりができたからこそ、楽しくこの仕事を続けてこられたのかもしれません。

2025年6月に、クリニックをリニューアルされたそうですね。

梶原由美子院長 梶原内科クリニック2

はい、建物の老朽化で一時移転をしていました。その時、近所のそば屋さんが店舗を貸してくださったんです。そのお店も後継者がいらっしゃらず閉店されていたのですが、私が「診療を止めてしまったら患者さんたちがかわいそう。なんとか間を開けずに続けられないかな」と悩んでいたところ、「先生、それなら協力しますよ」と言ってくださって。本当に地域の方々に支えられているんだな、と実感しました。薬局さんもこの辺りには少なかったのですが、私たちがリニューアルすると聞いて、若手の薬剤師さんが近所に新しく開局を決めてくださったんです。この街に暮らしている人たちが、みんなで手を取り合いながら地域の医療を支えている。それを切に感じて、温かい気持ちになりました。

一人ひとり丁寧に。生活背景を踏まえた二人三脚の診療

院長の得意分野を教えてください。

梶原由美子院長 梶原内科クリニック3

開業当初から力を入れていたのが、生活習慣病の治療です。中でも高血圧、糖尿病、脂質異常症の患者さんが多いのですが、どんな方に対しても、その人の生活背景を踏まえて診療することを大切にしています。また、生活指導をする際は食事療法や運動療法の指導冊子などもお渡ししますが、画一的ではなく個別に対応をアレンジしています。例えば、ご高齢の方にはあまり厳しいことは言わず楽しく生活できることを優先したり、若い方で明らかに肥満の場合は少しだけ厳しめに注意をしたり。また、精神的な病気を抱えていらっしゃる方は、ストレスで食べてしまうこともありますから、できる限りの助言をするといった形ですね。ご年齢や心理的な状態まで配慮して、その方に合った方法を一緒に考えていくことが大切だと思っています。

リニューアルに際して、内視鏡検査も導入されたそうですね。

はい。今年の7月から、息子であり消化器外科を専門とする医師である梶原庸司先生が診療に参加しましたので、その強みを生かして週に1度、胃の内視鏡検査を始めました。経口、経鼻双方の内視鏡検査機器を導入し、径の細いスコープを使用することで、患者さんの体のご負担や不快感の少ない検査に努めています。それでもご不安な方には、鎮静剤も使用できますから遠慮せずご相談ください。ちなみに、庸司先生は大学病院で数多くの症例を経験していますし、患者さんの苦痛を抑えるための手技にも精通しています。また、万が一の事態に備えて酸素を投与できる設備も用意するなど安全性の確保にも努めていますので、ご高齢の方も安心してお越しください。特に逆流性食道炎や空腹時の腹痛がある方は、ぜひ一度検査を受けていただきたいですね。

超音波診断装置やエックス線検査装置も先進の機種を導入されたとか。

梶原由美子院長 梶原内科クリニック4

ええ。超音波検査の良い点は、苦痛が少ないことと、得られる情報量が多いことです。被ばくの心配もありませんし、機械を当てるだけですから気軽に受けていただけるのではないでしょうか。また、検査結果の鮮明さは検査技師の腕にも左右されるんです。その点、当院では大学病院にも勤めるベテランの技師が担当し、病変の見逃しがないよう努めています。胆石や腎結石、脂肪肝の発見も期待できる検査ですから、生活習慣病が心配な方はぜひ受けていただきたいですね。特にお酒を飲まれる方は注意が必要で、慢性肝炎から肝硬変、肝臓がんへと進行する可能性もありますから、早めの検査が大切です。また、エックス線検査装置はAI診断が可能な機種を採用しました。画像の自動解析ができるので、より精度が高く、隠れた病変の発見にとても役立っています。

病気を診ず、人を診る。これまでも、そしてこれからも

医療の道を志されたきっかけを教えてください。

梶原由美子院長 梶原内科クリニック5

もともと祖父が仙台の早坂愛生会病院の院長をしていまして、父も内科医として東京で開業していましたから、物心ついた頃から医療が身近にあったんです。私も小さい頃は父の診療所で薬包紙に粉薬を包むお手伝いをしたり、入院患者さんの赤ちゃんにミルクをあげたりしていましたよ。そうした困っていらっしゃる方の助けになる仕事を、なんとなく「いいな」と思い、自然と医師の道へ進みました。その後、東京慈恵会医科大学に進学し、循環器内科に興味を持ったのは、先進の機器を駆使した治療に憧れたからです。カテーテル検査など、当時は本当に先端の検査だといわれていましたからね。

お祖父さまやお父さまの診療から、どんなことを感じましたか?

祖父は本当に勉強家で、常に医学書を読んでいる姿が印象的でしたね。睡眠時間は毎日5時間ほどで、起きている時間はずっと仕事に打ち込んでいて。父はいわゆる威厳のある医師でした。特に患者さんとの接し方について学ぶことが多く、「患者さんは具合が悪くて受診しているのだから、どんなに自分たちが疲れていても決して邪見にしてはいけない」という姿勢は、今の私の診療にも息づいています。それと同時に、大学時代に学んだ「病気を診ずして人を診よ」の精神も、私の今の診療の軸になりました。患者さんの背景を見ることの大切さを教えられたように思います。

今後の展望と読者へのメッセージをいただけますか。

梶原由美子院長 梶原内科クリニック6

これまで積み上げてきた診療ノウハウを、これから少しずつ息子に受け継いでいき、3年後には院長職を譲ろうと考えています。今は水曜日だけ2人で診療をしていますが、私のこれまでの経験を伝え、どの患者さんにも十分に対応できるよう準備しているところです。いずれは大腸内視鏡検査や往診もやってもらいたいと考えています。新しい設備も整えましたし、今後は若い患者さんのご要望にも応えられるでしょう。代替わりするとはいえ、私もこれまで同様、地域の皆さんの健康を精一杯支え続けるつもりです。小さいお子さんから100歳を超える方まで、「ここがあるから大丈夫」と思っていただける場所でありたいですね。

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