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竹内 香織 院長の独自取材記事

代田クリニック

(世田谷区/世田谷代田駅)

最終更新日:2021/10/12

竹内香織院長 代田クリニック main

天井が吹き抜けになった開放感のある待合室には、竹内香織院長が好きな緑色を中心としたインテリアや絵画、タペストリーが飾られている。そこに漂うふんわりとした優しい空気は、一つ一つ言葉を選びながら丁寧に話す竹内先生の穏やかな雰囲気そのものだ。「患者さんが“あれ?”と思ったときに、気軽に訪れることができる場所をつくりたかったんです」と開業の理由を語る竹内先生の、治療に対する思いを探ってきた。

(取材日2019年3月20日)

“こころ”から診られる医師をめざし、心療内科へ

先生が医師を志されたきっかけを教えてください。

竹内香織院長 代田クリニック1

父が内科の医師だったこともあり、幼い頃は「お医者さんのお仕事って良いなあ」と、漠然とした憧れを持っていました。それが成長するにつれ、「人の役に立つお仕事って良いな」という気持ちに変わっていったんですね。そして自分の将来を具体的に考える年齢になった時に改めて、「専門的な知識や技術を身につけられる医師という仕事は良いな」と思ったんです。特にきっかけらしいきっかけがあったわけではなく、徐々に医師になる決意が固まっていきました。

なぜお父さまと同じ内科ではなく、心療内科を選ばれたのですか?

大学時代や、内科で研修医として働いている時、患者さんを見ずに血液データや病状だけを見るような診療になりがちで、そこに違和感を抱いてしまって。確かにデータを見ればある程度のことはわかるかもしれませんが、腹痛や頭痛、めまいなどの症状を訴えて内科を受診しても異常が見つからず、医師に「何でもない」と言われて困っている患者さんは多かったんです。それは、体ではなく"こころ"が不調なんじゃないかと。だったら私は、患者さんの"こころ"から診られる医師になりたいと思い、心療内科の医師を志しました。

"こころ"の不調が"からだ"の異変につながることは多いんですか?

竹内香織院長 代田クリニック2

そうですね。特に軽症のときは、"こころ"よりも"からだ"の症状のほうが目立つため、うつ病が見逃されてしまうことは多いです。具体的な"からだ"の症状でいうと、「食欲の低下」「不眠」「全身のだるさ」「早朝に目が覚める」なども、それにあたります。最近の研究結果では、体に異変を感じて内科などを受診している患者さんの1割近くに、うつ病の症状がみられるともいわれているんですよ。

ストレスを軽減させ、"こころ"と"からだ"の健康を

こちらでは、心療内科だけでなく一般内科としての役割も担われていますよね。

竹内香織院長 代田クリニック3

心療内科は内科の一つでもありますから、当然一般内科の診療も行っています。身体の病気を診療していく上でも“こころ“のサポートは重要だと考えるからです。特に、糖尿病や高血圧、喘息などの慢性の病気、生活習慣が影響する病気はこころのほうの問題から悪化することもありますし、精神的に安定していくと改善していくこともあります。また、うちでは“こころ”の問題で診療にいらしている中で、風邪や高血圧などの“からだ”の病気が出たときにも合わせて診療していくこともできますよ。

「心療内科=気軽に行ける精神科」と捉えている方も多いかと思います。

確かにそう思っている方は多いですね。でも、心療内科というのは、ストレスが関係して"からだ"の症状に現れている状態を診療するところなのです。それは、パニック障害やうつ病だけではありません。私は「ストレスは万病のもと」と考えているのですが、それまで"からだ"を中心に治療をされていた患者さんに、"こころ"の治療を施しストレスを軽減させたところ、症状が改善に向かったという例もあるんですよ。例えば、糖尿病の方の血糖値が下がったり、過敏性腸症候群の症状が和らいだり。なので私は、内科の病気を診るときもストレスの関与を考慮しつつ診療を行っています。当院にいらっしゃる患者さんの中には、内科の診察の中で「そういうケースがあるのなら、"こころ"のほうも診てもらおうかしら?」と、心療内科の治療を受け始める方も多いですね。

こちらで開業された理由は?

竹内香織院長 代田クリニック4

親戚や高校時代の同級生が多く住んでいて、自分としてはなじみの多い街だったんです。開業前は埼玉県にある病院に勤務していたので、近くに頼れる先生がいないゼロからのスタートで、ちょっと大変でした。ちなみに、クリニック名に「心療内科」という言葉を入れていないのには理由があるんですよ。患者さんの中には、"こころ"に不調を感じていても、大々的に「心療内科」とうたっている病院に行くことに抵抗を覚えて、二の足を踏んでしまう人もいます。そのような方にも一般的なクリニックに来る感覚で訪れてほしいと思って、この名前にしたんです。

“こころ”の悩みを気軽に相談できる場所でありたい

最近ではどのような相談が多いですか

竹内香織院長 代田クリニック5

最近は、働く人のメンタルヘルスが深刻な問題ですね。「朝がつらくて起きられない」「仕事に行こうと思うと頭痛やめまいがする」といったお悩みは多いです。そういう方たちの生の声を聞き、社会生活を営んでいくためにはどうしたら良いのか一緒に考えるなど、サポートしています。薬の服用を続けたり、場合によっては仕事を休んだりすることで、症状の改善につながることも少なくありません。仕事を休んだ後、復帰までの期間は個人差がありますが、皆さん治る力を持っています。焦らず回復までしっかりフォローしていきますので、心身の不調で仕事に行くのがつらいという方は、早めにご相談いただきたいですね。

"こころ"の不調に関することで、最近の傾向はありますか?

「社会性不安障害(SAD)」というのはご存じですか? 大勢の前で話をしたり、初対面の人と会ったりするのが苦手、という方はいらっしゃるかと思います。そうした状況に身を置くと緊張して不安感が高まり、汗をかく、動悸がする、声が出なくなる、食事ができなくなるなどの症状が出るのがSADで、日常生活に支障を来してしまう場合もあります。近年は日本でも患者数が増加傾向にありますが、その一因として、産業構造の変化に伴って、人とやりとりの多い仕事が増えるなど、働く人々を取り巻く環境の変化、そしてそれに伴う負担の増加が考えられます。心理的な療法に加え、症状を改善させるための薬もありますので、心当たりがある方は気軽に来院していただきたいですね。失われていた自信を取り戻し、前よりもいろいろなことができるようになっていく、そんな生活に一緒に近づけられればと思います。

では最後に読者にメッセージをお願いします。

竹内香織院長 代田クリニック6

数年前から頻繁に、雑誌やテレビで"こころ"の不調がクローズアップされるようになりました。うつ症状にご自分で気づく方も増えてきています。しかし、病院で治療を受けることに抵抗を感じている方は、まだまだ多いのが現実。先ほどもお話ししましたが、当院は心療内科だけでなく、一般内科としても機能しています。ですから「風邪の診察のついでに」など気軽な気持ちでいらっしゃっていただければと思っています。

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