子どもや大人の心の声に寄り添う
多様な疾患を診る町の心療内科
メンタルクリニック心の声
(福岡市中央区/赤坂駅)
最終更新日:2024/11/11


- 保険診療
昨今、注目を集めている発達障害。子どもの行動や言動を、インターネットで検索しては一喜一憂している保護者も多いのではないだろうか。しかし、子どもだけでなく、発達障害であることに気づいていない大人も実は多い。「お子さんの受診をきっかけに、親御さん自身も発達障害であることがわかるケースもあります」と話す「メンタルクリニック心の声」の脇元安(わきもと・やすら)院長。うつ病などの二次障害につながる可能性が高いだけに、早期に環境調整を行うことが重要なのだそう。そして、社会的背景によりパニック障害や不安障害などに苦しむ人は増加傾向にあるという。なぜ叱られるのかわからない子ども、子どもが発達障害なのではないかと悩む親、不眠や極度の緊張などに悩む人々。そんな、さまざまな心の不調について専門家の意見を聞いた。
(取材日2024年10月12日)
目次
子どもから大人まで、心の不調は実にさまざま。二次障害を起こさないためにも早期受診が大切
- Q子どもの病気ではどのようなご相談が多いですか?
-
A
▲発達障害の治療にも注力している脇元院長
当院は発達障害を専門としていますので、3歳児健診で指摘を受けたといったご相談や、幼稚園や小学校の先生からの一斉の指示が通らない、忘れ物が多い、落ち着きがない、友達とのトラブルが多い、かんしゃくを起こすなどの指摘、もしくはお子さんの様子を見て発達障害を疑って相談に来られる親御さんが多いですね。また、不登校がきっかけで来院されるお子さんが年々増えていますが、そのベースに発達障害があるというケースが実は少なくありません。それから、お子さんのチック症状を気にして来院される方も。近年はスマートフォンの普及で、SNSなどでの言葉の攻撃によって心を病んでしまうお子さんも増えました。
- Q発達障害について詳しく教えてください。
-
A
▲発達障害を正しく理解することが大切だという
発達障害とは、生まれつき脳の働きが独特であることから、言葉の発達が遅い、落ち着きがない、集団行動が苦手などの特徴がありますが、私は発達障害を病気だと思っていません。その方の特性であると捉えています。日本は良い面でもあり悪い面でもありますが協調性を重んじる文化です。もちろん仲間と協力し合うことは大事だけれども、皆と必ずしも同じことをしなければならないわけではありませんよね。皆と違うことをするのはおかしいと思わせてしまう日本独特の風潮や教育はナンセンスだと考えます。そんなことでは新しいものなど生まれませんから。しかし、この特性が原因でいじめに遭う子や、生きづらさを感じている子がいるのは事実です。
- Q起立性調節障害と発達障害の違いとは?
-
A
▲患者に寄り添う丁寧な診察を心がけている
起立性調節障害とは小学高学年から中学にかけて体が急速に発達する際、自律神経の発達が体の成長に追いつかず、脳の血流が低下気味になることで発症しやすく、起床時に頭痛、ふらつき、めまい、腹痛など、さまざまな症状を来す疾患です。一方、発達障害は注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害など、脳機能に関係する特性であり、それによって生活上で困る場合もあるといったように、起立性調節障害と発達障害のメカニズムはまったく異なります。しかし、朝の起床困難や怠けていると誤解されてしまう点は似ていることから、起立性調節障害と発達障害は誤診されやすいですが、専門の機関で検査をすれば見極めができ適切な診断がつきます。
- Q親はどのように子どもと接するべきなのでしょうか。
-
A
▲通いやすい環境づくりに取り組む
人は誰しも苦手なことがある一方で得意なこともありますが、発達障害の方はそれが顕著なケースが多いと感じています。例えば、落ち着きがなくていつも叱られている子が運動では誰よりも秀でた力を発揮したり、過集中の特性のある子が驚くほど精細な絵を1日で仕上げたりします。そのため、苦手なことだけに目を向けるのではなく、得意なことを伸ばしてほしいと思っています。たとえお子さんが忘れ物をしたり、同じミスを繰り返したり、朝起きられなかったりしたときもどうか叱らないでください。専門施設への受診、そしてお子さんの良いところを見つけて、適した環境に身を置けるサポートと褒めて育てることを心がけていただきたいなと思います。
- Qこちらでは子どもから大人まで幅広く診療されているのですね。
-
A
▲一人ひとりに合わせたオーダーメイドのカウンセリングを行う
ええ、発達障害をはじめ、不登校、起立性調節障害、場面緘黙(かんもく)症、不安障害、うつ病、パニック障害など、年齢問わず幅広い症状に対応しています。お子さんから大人まで、心の不調はさまざま。その一つ一つに適した対応をするためにも、まずはしっかりと心の声をお聞きするところから始めます。今の状態よりも生きやすくなるアプローチ法は一つだけではありません。状態によっては薬物療法も試みますが、漢方を取り入れるなど、患者さんと相談しながら治療を進めてまいります。また、SST(社会生活技能訓練)、運動の指導など、いくつかの方法を組み合わせることもありますし、その方に適したオーダーメイドの治療を行っています。