全国のドクター13,623人の想いを取材
クリニック・病院 157,059件の情報を掲載(2025年5月02日現在)

ドクターズ・ファイル会員でできること

予約情報をマイページ上で管理できます!

過去の予約を一覧化

予約内容の確認

予約の変更・キャンセル※

※一部対象外の医療機関もありますので、あらかじめご了承ください

会員登録がお済みでない方は

すでに会員の方は

  1. TOP
  2. 福岡県
  3. 福岡市中央区
  4. 赤坂駅
  5. メンタルクリニック心の声
  6. 脇元 安 院長

脇元 安 院長の独自取材記事

メンタルクリニック心の声

(福岡市中央区/赤坂駅)

最終更新日:2024/11/11

脇元安院長 メンタルクリニック心の声 main

中央区舞鶴に位置する「メンタルクリニック心の声」。院長を務める脇元安(わきもと・やすら)先生は、さまざまな心の不調と20年以上向き合ってきたメンタル領域の疾患に関するゼネラリストだ。前身である「脇元クリニック」の移転に伴い、クリニック名も新たに、昨年リニューアルした。落ち着いたナチュラルカラーを基調とし、キッズスペースを設置した院内には、都会の喧噪を忘れさせてくれるような穏やかな空気が流れ、その静寂が優しくそっと体を包み込む。同院の特徴は、できるだけ薬に頼らない診療と個々人に合わせたカウンセリングだ。「どんな症状であっても段階に応じた対処法があります。悩まずとも大丈夫ですよ」と満面の笑みで話す。通院が困難な患者には訪問診療も行っている脇元院長。医師としての情熱と、飾らない人柄にふれてきた。

(取材日2024年10月12日)

移転を機にリニューアル開院したメンタルクリニック

クリニックとしての歴史は長いと伺いました。

脇元安院長 メンタルクリニック心の声1

2001年に「脇元クリニック」を開院したのがスタートで、もう20年以上たちますね。これまでも数回移転しましたが、こちらへの移転を機に、クリニック名も新たに開院しました。私自身のキャリアは、九州大学医学部卒業後、同大学の精神科に入局。その後も宮崎大学、福間病院、八幡厚生病院などで、うつ病をはじめとするさまざまな疾患と向き合ってきました。ただ、その頃は子どもの疾患を専門とする医師が非常に少なかったものですから、宮崎大学では児童精神科を立ち上げ、環境づくりにも注力しました。24時間365日対応する精神科救急病院としても知られている福間病院で10年以上、その後もキャリアを重ねる中、大きな病院というのはどうしても診療時間が限られてしまうため、患者さんの話をしっかり聞いて診断するには、「時間が足りない」と思うことが少なくありませんでした。

その想いが開院への後押しになったのでしょうか?

私は子どもが大好きでしたので、子どもやその親御さんが通いやすいことを考えたときに、クリニックだとハードルが低いと感じてもらえるんじゃないかと思ったんですよね。50歳になったのを機に、開院しました。今でこそ心療内科はたくさんありますが、当時は子どもが通いやすいクリニックはまだ少なく、偏見なども多かったですからね。特にお子さんを連れて来るお母さんも、人の目を気にして……といったことは、少なからずあったと思います。しかし、心の不調は年齢問わず誰にも起こり得るもの。今のように受診しやすい時代となったのは、非常に良かったとうれしく思います。

数ある診療科の中から、精神科を選択された背景もお聞かせいただけますか?

脇元安院長 メンタルクリニック心の声2

人の攻撃性、つまり「人間はなぜ戦うのか」ということに興味を持ったことがベースにあります。戦争もそうですし、人が戦う心理を知りたいと思ったんですよね。精神分析を勉強するなら、やはりその道で、という気持ちが大きくなりまして。深層心理が専門の分野ですから、突き詰めて考えていくのが好きな自分には、精神科が向いているのではないかと思ったんです。分析していくには、やはりその材料が必要。そこで、患者さんをお待たせしないようにという点も考慮した結果、カウンセラーと組んで診療を行っていく今のスタイルになったわけです。事前にウェブを利用して問診を記入していただくと、診療前に患者さんの主訴を把握できますので、そのぶん診療では別の話題にふれることができます。このように、できる限り患者さんのお気持ちを、効率良く把握できる環境づくりに取り組んでいます。

子どもや女性が通いやすい心療内科をめざして

話をしっかり聞いてもらえる環境が構築されているのですね。

脇元安院長 メンタルクリニック心の声3

当院は完全予約制ですので、十分に時間を設けていますが、中には診療時間だけでは足りないという方もいらっしゃるでしょう。せっかく来たのに、気持ちを出しきれないと、次へ進めません。事前問診やカウンセリングなど、患者さんを深く知ることができる手段はたくさんあったほうが良いと感じています。そして、薬は極力使用しないことを基本としていますが、症状によっては処方することもありますね。ただ、その場合も漢方薬を取り入れるなど、患者さんの希望を伺いながら処方することを心がけています。

お子さんの受診も多いと伺いました。

患者さんの全体の約3割はお子さんです。昨今、いろんなメディアでも取り上げられるようになった発達障害の症状が自分の子どもに当てはまるのではないかということで、親御さんがお子さんを連れて来院されるケースが非常に多くなりました。お子さんの場合は、発達障害や不登校、成人はうつ病や不安障害、パニック障害が圧倒的に多いですが、最近は発達障害を疑って来院される方も多くなりました。今は驚くほど急増していて、専門の医師の数が追いついていないような状況です。

お子さんはどのようなきっかけで来院されることが多いのでしょうか?

脇元安院長 メンタルクリニック心の声4

まず、3歳児健診での指摘や、学校など担任の先生からの指摘による来院でしょうか。例えば、授業中に立ち歩く、落ち着きがない、他害などよくトラブルを起こす、忘れ物が多い、指示が通らない、過集中などです。学習面での指摘や、親御さん自身が、落ち着きがない、こだわりが強い、パニックを起こすなどお子さんの様子を心配されて連れて来るケースもあります。未就学児のときもあれば、小学校に入学してから顕著に現れるなど、就学前後での来院が多いように感じます。多動に関しては年を重ねるごとに少しずつ落ち着く傾向にあるものの、やはり薬を希望される親御さんもいらっしゃいます。そういった場合は、漢方でのアプローチをご提案します。あとは運動・栄養指導、SST(社会生活技能訓練)などですね。発達障害の子どもはゲームに依存しやすい傾向にありますので、運動など他に興味をそらすことも大切です。

環境調整を行い、うつ病などの二次障害にも対策を

一方、大人の発達障害の場合はいかがでしょう。

脇元安院長 メンタルクリニック心の声5

大人の場合は、学生時代に何となく生きづらさを感じてはいたけれど、社会人になってからその傾向が顕著に現れるケースや、仕事でのミスが多い、対人関係のトラブルなどがありますね。あとは、うつ病の根底に発達障害がある場合も少なくありません。このように、発達障害で気をつけなければならないのは、二次障害につながる前の受診です。誰だって叱られ続ければ、心が疲れてしまいます。しかし、得意なことを生かせる環境であれば、二次障害につながる可能性は低くなりますので、早い段階での環境調整が重要です。言われたことを忘れるといったことが続くのは、脳の働きが独特であるためで、決して悪気はないんです。しかし、残念ながらまだ社会的にその理解が追いついていません。ならば「自分に合う環境に身を置きましょう」というのが環境調整です。得意なことが生かせれば、評価されることも増え、自己肯定感も高まりますからね。

治療においても環境調整が重要なのですね。

発達障害というとマイナスイメージを持たれがちですが、脳の働き方が独特なだけで、頭脳的には優れた方がたくさんいらっしゃいます。偉人でも、発達障害であったとされている人物も多いです。得意なことを伸ばす、苦手なところはSSTを受ける、社会との関わり方をパターン化して覚えるなどの工夫も大事ですね。患者さんの中には外出困難な方もいるので、福岡市を中心に訪問診療も実施しています。パニック障害の方には、主に認知に働きかけて気持ちを楽にすることをめざす認知療法を行います。それによって外出できなかった方が少しずつ外に出られるようになったりしたら、ご家族も喜ぶでしょうし、医師としてのやりがいを感じますね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

脇元安院長 メンタルクリニック心の声6

対人不安や外出不安といった、絶えず不安が消えない不安障害とうつ病は併発しやすく、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに急増しました。ようやく通常の生活が戻ってきたものの、心に不調を抱えたままの方が少なくありません。発達障害しかり、まだまだ社会の理解が追いついていない部分がたくさんありますので、心に不調を抱えた人へのケアと並行して、多くの方に理解を深めていただける働きかけも行っていけたらと思っています。もしも、お子さんのことでお悩みの方や、何でうまくいかないのだろうと悩んでいる方がいたら、お一人で抱え込まずに気軽に来てください。お待ちしています。

Access