八百板 正志 院長の独自取材記事
八百板矯正歯科
(川口市/東川口駅)
最終更新日:2025/11/27
「東川口」駅から徒歩5分、線路沿いにある「八百板矯正歯科」は、1995年の開業以来、矯正歯科に特化して診療を続けている。「矯正は期間が長く、大変なこともたくさんありますが、その分メリットが期待できます」と話す八百板正志(やおいた・まさし)院長は物腰やわらかで、話しぶりから誠実さがにじみ出ている。矯正を行うにあたり知ってほしいことを事前にしっかり話すことで、長期間にわたる矯正のモチベーションを保てるよう心がけているという。開業から30年を迎え、新しい技術も取り入れたいという八百板院長に、同院の方針や採用している矯正の方法について聞いた。
(取材日2025年10月17日)
審美性と機能性の両立をめざし、丁寧にカウンセリング
開業以来、矯正歯科を専門として診療されているそうですね。

歯学部では一般歯科をはじめとする歯科全般を学びましたが、1995年に開業してからは約30年間、矯正歯科に絞って診療を行っています。虫歯の治療と矯正ではお口の中を診るときの感覚は違うので、両方を診るためにはその都度「頭のモード」を切り替えなければいけません。患者さんにはご不便をおかけすることがあるかもしれませんが、矯正歯科を専門としていることで新しい技術を学ぶ機会が増え、より高精度な矯正がめざせます。
クリニックの設計でこだわっていることはありますか?
当院がある川口市は、もともと私の出身地と近くなじみのある町です。開業した1995年にはJRの駅だけでしたが、2001年に埼玉高速鉄道の駅が開業することが決まっていました。矯正は長期間通っていただく必要がありますので、せっかくなら駅から近く、通いやすい場所にしたいと思い、この場所を選びました。開業当時、ユニットは2台用意していたのですが、施術を行うのは私1人だけですので、1台にしました。個室なので、周囲を気にすることなく歯並びの相談やプライベートなお話を伺うことができます。
クリニックの方針を教えてください。

矯正治療には、「見た目の美しさの審美性」と「噛む・発音する機能などの機能性」の2つが求められます。患者さまの年齢やお口の状態はさまざまですが、この2つを高いレベルで両立させることが当院の矯正の目標です。そのためにまず心がけているのは、患者さまのお話をじっくりと伺い、希望に寄り添うことです。初診時のカウンセリングでは、お口のお悩みや困りごと、ご希望などをできるだけ時間をかけてお聞きします。また、一人ひとりに十分な診療時間を確保し、「次の患者さまが待っている」と焦ることのないよう努めています。待合室での待ち時間をなくすため、完全予約制を採用しています。
一人ひとりの患者に合わせて2つの矯正法を使い分ける
矯正を始める前に、必ず伝えていることがあるそうですね。

矯正治療をご希望される方には、5つの大切なことをお伝えしています。まず1つ目は、矯正装置による影響です。特にワイヤー矯正では、歯の表面に装置を装着するため見た目に目立ち、また食べ物が装置の隙間に詰まりやすくなります。きちんと歯みがきを行わないと虫歯のリスクも高まります。2つ目は、治療期間が長期に及ぶということです。保定治療まで含めると、4〜5年ほど通院していただく必要があります。3つ目は、永久歯の抜歯が必要になる場合があるということ。4つ目は、保険が適用されないため費用が高額になるという点です。そして5つ目は、どうしても痛みを伴うということです。少し厳しいお話に聞こえるかもしれませんが、矯正治療は途中でやめることが難しい治療です。そのため、十分にご理解・ご納得いただいた上で治療を始めていただきたいと考えています。患者さまの努力と忍耐に応えるために、私も真摯に治療に取り組みます。
お子さんも来院されますか?
お子さまの矯正治療を希望される方も多くいらっしゃいますが、子どもの矯正に関しては比較的慎重な立場をとっています。というのも、矯正治療の目的は永久歯の歯並びと噛み合わせを整えることにあるため、永久歯がまだ生えそろっていないお子さまの場合、できる治療には限りがあるからです。もちろん、子どもの矯正治療が有効と判断できる場合には、治療をお勧めしています。常に「自分の子どもだったら矯正をするか」という視点で判断するようにしています。矯正の必要がまだなさそうだと感じた場合には、「もう少し様子を見ましょう」とお伝えしています。とはいえ、成長の過程で歯並びや噛み合わせが変化することもあります。そのため、定期的にお口の状態を確認し、適切な時期に治療を検討できるようにしています。
どういった装置で矯正を行っているのですか?

ワイヤーとマルチブラケット装置を使用する、ワイヤー矯正と、透明なマウスピース型装置を使用する矯正を主に行っています。ワイヤー矯正の利点は、ほとんどすべての症例に対応できることです。一方で、歯に装置を常に装着しているため、見た目で目立ちやすいことや、食べかすや汚れがつきやすく、歯みがきがしにくいことがデメリットとして挙げられます。マウスピース型装置を用いた矯正の良い点は、装置を取り外せることです。ただし、その分ご自分での管理がとても重要になります。1日20時間以上の装着が必要なため、継続してしっかりと使用する意識が求められます。
手法による、矯正のスピードの違いを教えてください。
ワイヤー矯正とマウスピース型装置を用いた矯正には、それぞれ得意なこと・不得意なことがあります。ワイヤー矯正は、歯を大きく動かしたり、回転している歯の位置を戻したりする際に有用です。一方でマウスピース型装置を用いた矯正は、歯を少しずつ細かく調整する際に適しています。そのため、永久歯を抜歯して空いたスペースに歯を移動させたり、ねじれを改善したりといった大きな移動にはワイヤー矯正が適しており、治療の後半で微調整を行いながら仕上げる段階ではマウスピース型装置を用いた矯正を併用するのが理想的といえるでしょう。いずれの装置・治療法にも、それぞれ長所と短所、得意な分野と不得意な分野があります。当院では、患者さんとよく相談しながら、一人ひとりに最も適した装置と方法で治療を進めるようにしています。
歯並びが気になったら気軽に相談を
今、先生が特に注力して勉強していることはありますか?

マウスピース型装置を用いた矯正に興味を持ち、現在勉強を続けています。従来のように歯にブラケットを装着し、ワイヤーの力で歯を動かす方法とは、歯に加わる力のかかり方が異なります。例えば、歯を小学生に例えると、ワイヤー矯正は「小学生が背負っているランドセルをつかんで動かす」ような矯正であり、マウスピース型装置を用いた矯正は「小学生自身を包み込んで一緒に動かす」ようなイメージです。そのため、ワイヤー矯正では容易にできることがマウスピース型装置を用いた矯正では難しい場合もあれば、逆にマウスピース型装置のほうがより簡単に行える場合もあります。マウスピース型装置を用いた矯正はワイヤー矯正に比べて新しい矯正法であり、まだ研究や改良の余地が大きいと感じています。
矯正の世界では技術革新が多そうですね。
やはりデジタル化の進歩は目覚ましく、まさに日進月歩の勢いで、わずか1年でも状況が大きく変化しているように感じます。以前は、患者さんの歯型を採る際に粘土のような印象材を用いて物理的に型を採っていましたが、現在では3Dスキャナーを使って歯列をデジタルデータとして取得できるようになりました。デジタルデータ上でシミュレーションを行うことも容易になり、どのような治療方法がより適しているかを、より明確に判断できるようになっています。こうした先進的な機器を積極的に活用しながら、患者さんの負担を軽減し、より良い治療の提供をめざして日々工夫を重ねています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

矯正について厳しいこともお話しましたが、整った噛み合わせをめざすことは、お食事のしやすさや、虫歯や歯周病のリスク低減など、たくさんのメリットにつながります。矯正は時間がかかるので、できれば何件かカウンセリングを受けて、ご自身に合う歯科医を選ぶのも重要ではないでしょうか。カウンセリングの時点でやるかやらないか決断を迫ることはありませんので、変に構えず、歯並びが気になったらまずはお気軽に相談にお越しいただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはワイヤー矯正/50万4900円~、マウスピース型装置を用いた矯正/53万9000円~、小児矯正/32万2000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

