牧草 一人 院長の独自取材記事
牧草歯科医院
(京田辺市/JR三山木駅)
最終更新日:2021/10/12

JR学研都市線のJR三山木駅、近鉄京都線の三山木駅から徒歩すぐ。「牧草歯科医院」は歯周病治療とインプラント治療を専門とする歯科医院。牧草一人(まきぐさ・かずと)院長は、日本歯周病学会認定の歯周病専門医だ。海外でも講演・セミナーを行うなど、日々の診療だけでなく、後進の育成にも力を入れる。より良い治療を患者に提供するために、クリニック2階の研修室を利用して、院内勉強会も頻繁に行うという。「人生100年時代となった現在、より長くより健康的に老後を過ごすために健康的な歯は欠かすことができません。一本でも多くの歯を残すことをめざし日々診療しています」と牧草院長は語る。そんな牧草院長にこれまでの経歴、歯周病治療とインプラント治療について、日々のやりがいなどについて聞いた。
(取材日2020年2月7日)
歯周病治療とインプラント手術を専門的に経験する
これまでのご経歴について教えてください。

大阪歯科大学を卒業後、大学病院で歯周病について深く学びました。その後、ご縁があって同大学の解剖学講座博士課程へと進み、基礎研究を行いながら博士号を取得しました。口腔内にとどまらず、広く全身的な体の構造について知見を深められたことは歯科医師として大きな財産になりました。その後、京都大学医学部口腔外科のインプラント専門の外来にて数多くのインプラントの手術に携わり、腕を磨きました。同時に、当院を1990年に開業し、クリニックで診療を行いながら、大阪歯科大学、京都大学医学部歯科口腔外科でも診療や研究を続けました。クリニックを現在の場所に移してからはクリニックでの診療に専念しています。
どのような患者さんが訪れていますか? また、こちらで開業したのなぜでしょうか?
幅広い年齢層の方が来られています。古くから続く家が多いということもあり、3世代、4世代にわたって当院に通ってくださっているご家庭もあります。ほとんどの方が歯周病治療を求めて来られていますね。三山木を選んだのは私の出身地だからです。ここを選んで良かったと思います。都市部では人の流入が激しく、一人の患者さんを継続的に診ることが難しい。しかし、自分の行った治療結果を評価するには長期的に経過を観察する以外に術はないと思うんです。郊外であれば、継続的に診やすいだけでなく、そのご家族も通ってくれるようになることも多い。またこちらは京都市内だけでなく大阪、兵庫、奈良など、関西の広いエリアからもアクセスしやすいとも思っています。
先生が診療の時に気をつけていることはありますか?

常に意識をしているのは「患者さんの問題、お悩みを解決すること」。患者さんの年齢、職業によっても、何が最善なのかは変わります。だから病気だけを診るのではなく、患者さんがどういった人なのか、何で困っているのか、どのように解決してほしいのか、それを把握しなければなりません。そのためには患者さんのお心、お気持ち、お考えに深く寄り添う必要があります。だから信頼関係、人間関係を構築することが私たちの第一の仕事です。そうして患者さんの背景と病気を併せて検討することで、その人に合致した治療法を提案しています。
インプラント治療には歯周病治療の知識が必須と考える
牧草歯科医院での治療の具体的な流れについて教えてください。

まずは患者さんと医療面接を行います。歯科医師やコーディネーターが患者さんが抱えていらっしゃる問題点や、どのような治療結果を求められているかを詳細にお聞きします。患者さんからの各種の治療法に関する質問にも答えます。次に歯科用CT撮影、口腔内写真撮影、歯周組織検査などを行い、患者さんの口腔環境、問題を分析し、それを患者さんと共有して、大まかな治療方針を提示の上で、決定していきます。次は基本治療です。ここでは歯周病に対する治療、咬み合わせの再構成、虫歯治療を行い、口腔環境の改善をめざします。歯周病になっていない、あるいは軽度の方であれば、ここからメンテナンスに移行していきます。
歯周病が中度・重症である場合や、インプラント手術など専門的な治療を行う場合はどうでしょう?
先ほど申し上げた基本治療が終了したら、現在の症状、治療法を再検討し、より確定的な治療計画を患者さんに提示、説明いたします。患者さんが本当に求める治療を的確に提供するために、こうした話し合いの機会は多く設けています。治療計画が完成するといよいよ専門的な治療に移っていきます。歯周組織再生療法や形成外科手術、インプラント手術、矯正治療など、患者さんが必要とする専門的な治療をそれぞれの専門家が行います。その後は必要に応じて咀嚼機能や審美性の回復のために処置を行います。そして歯周病の再発を防止し、長く良い状態を維持するためのメンテナンスに移行します。
インプラント治療には歯周病治療が重要だとお考えとのことですね。

まず、なぜインプラントが必要になるのか。外傷を除けば、多くの場合、虫歯や歯周病により歯を失います。口腔内環境が不健康だから歯を失い、それを補わなければならないのです。だからその原因に対処をしないで、ただインプラント治療をしても、同じように別の歯を失うことにつながる可能性が高いですし、インプラントを長く維持することは難しいでしょう。インプラント治療を行うときには、歯肉を正常に戻し、歯を支える骨を作るなど、まずインプラントが必要になった原因に対処しなければなりません。また、近年ではインプラント周囲炎という、言うなれば「インプラントの歯周病」もよくみられるようになりました。インプラントを導入し、失われた口腔機能を回復し、長くその機能を維持するためには歯周病への専門的な知識・治療、継続的なメンテナンスは必要不可欠なんです。
患者の心の健康まで考えた治療を提供する
日々どのような思いで診療に臨んでいますか?

歯というのはその人の生活、そして人生そのものをかたちづくっていくものだと思っています。食べる、話す、歌う、笑う、日常で当たり前に行う動作の中で大きな役割を果たしています。もし噛めなくなってしまったら、歯が欠けて見た目が悪くなったと感じたら。好きなものが食べられない、会話や表情に自信が持てない。その人の生活・人生に暗く大きな影を落とすことになってしまいかねません。診療を通して、内向的になった人が積極的に外に出るようになる、笑顔が増えるということを実際に経験してきました。体の健康が心の健康にもつながるのです。だからこそ、患者さんに最善の治療を提供するために妥協はしませんし、自分の治療には最後まで責任を持ちたいと思っています。
先生は日々の診療のほかにもセミナーや講演を数多く行っておられますね。
後進育成のためです。当院だけなく、全国の歯科医療従事者の方にも私がこれまでに培ってきた知見・技術を継承してもらいたい、私を超えてもらいたいと常に思っています。私もずいぶん年齢を重ねました。今、私がインプラント治療を施しても、私自身が経過をみて、ケアできるのはあと5年ほどだと思っているんです。それでは最後まで治療の結果を確認するという私の理念に反します。だからこそ、後進の先生たちには私から学び、それをより良いものに変えていってほしいです。誰か1人の技術が上がっても、それは「進歩」に過ぎません。世代を経るごとに、改良していく「進化」をしてもらいたいんです。実は、小さい頃に当院で治療をした元患者が、現在は歯科衛生士として当院で働いています。このように世代を経て、継承していってもらうことにやりがいを感じます。
読者にメッセージをお願いいたします。

日本では多くの方が歯周病を抱えています。歯周病は歯を失う原因になるだけでなく、糖尿病や心疾患のリスクに関連することがわかってきています。また、歯の本数が少ないとアルツハイマー病の発症につながりやすくなることや、転倒しやすくなることも指摘されています。歯周病は口腔内だけの問題ではなく全身の健康に深く影響を与えるんです。ただ歯周病には痛みがほとんどありません。気がつかないうちにどんどん進行してしまうことも多いのです。理想としては歯周病が発症していないうちに、または軽度のうちに対策をとり、1本でも多くの歯を残していきたいと思っています。だからこそ、ぜひ若い方に受診して検査を受けていただきたいのです。もちろん、歯周病が進行している方や抜歯・インプラント治療が必要な方にも、ご希望に合わせて専門的な治療を提供させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/1本あたり25~30万円、歯の製作/1本あたり15~17万円、歯周組織再生療法/5万〜15万円、歯周形成外科/10万~20万円※保険適応となるケースもあります。
矯正治療/初診料(カウンセリング)5000円/診断料7万円/矯正料75万円、マウスピース型装置を用いた矯正/75万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。