歯を削らないためにできること
予防の鍵は食事と口腔筋
さわい歯科医院
(大阪市都島区/京橋駅)
最終更新日:2026/01/08
- 保険診療
「歯科医院は痛くなってから行くのではなく、定期的に通うところ」という意識が広がりつつある昨今。しかし、悪くなったところは削ってしまえばよいと考えている人もいるのではないか。「削れば後戻りできない。削らないことが最大の健康」と話すのは、「さわい歯科医院」の澤井宏之院長だ。予防の大切さを伝えるため、3ヵ月に一度の通院を徹底している同院。さらに、食事や口腔筋を鍛える運動などを通し、患者の意識向上に取り組んでいる。予防のための指導にあたるのは、同院に30年以上勤務し、澤井院長が信頼を置く歯科衛生士。子どもから高齢者までが実践し継続できるような伝え方を心がけ、地域の口腔の健康をサポートしている。
(取材日2025年12月12日)
目次
食事を見直し口腔筋を鍛えるなど、歯を削らず健康を保つために予防を重視した指導を徹底
- Q予防歯科に注力されているそうですね。
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A
▲「途切れないかかりつけ医」を理念とする
「歯は、歯科医師が削らない状態が最も健康である」と考えています。一度削って人工物で補う治療は外科的処置であり、後戻りができません。このため、患者さんには途切れずに歯科医院に通う必要性を強く伝えています。お口の中の状況にもよりますが、3~4ヵ月に一度の検診を推奨し、帰る前に次回の予約を必ず取ってもらっています。定期的な管理を継続すれば、痛みが出てから来院する事態を防げますから。削ってしまった歯は次第に悪くなるため、予防を徹底し、削らないようにすることが歯科医師のめざすべき姿だと思っています。
- Q全身の健康のためにどんなアドバイスをしていますか?
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A
▲唾液により口内が中和された状態を作ることが重要
「食育」の観点から具体的な食事指導を行っています。特に気をつけてほしいと伝えているのが、だらだら食い。食後に唾液が口内を中和する機能が働く時間がなければ、虫歯の原因が消えないためです。実際、間食をせず1日3食で済ませている人は、ほとんど虫歯にならない傾向にあります。おやつを食べた後に、唾液を促すためキシリトール配合ガムを一粒噛むよう提案することもあります。飲み物は水やお茶が基本。お茶ばかり飲む人は、歯に少し茶渋はつきますが虫歯ができにくくなることが多いです。ジュースやスポーツドリンクばかり飲んでいる方は、早めに習慣を見直してほしいですね。
- Q口腔筋を鍛えることの重要性はどのように伝えていますか?
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A
▲子どもから大人まであいうべ体操の指導が大切だそう
現代人に多く見られる口呼吸は万病のもととされています。口呼吸を防ぎ、口を閉じる習慣をつけるため「あいうべ体操」の指導を行っています。口呼吸から鼻呼吸に正していくことは、風邪やインフルエンザを防ぐためにも重要です。また、口を閉じることで唾液が十分に活躍し、虫歯予防にもつながります。初診から2回目か3回目の診療時に、資料を見せながら「あいうべ体操」を指導し、その後の診療でも繰り返しお伝えするようにしています。
- Q成人や高齢の方に知ってほしいことはありますか?
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A
▲長年経験を積んだ歯科衛生士が丁寧に指導
歯を削ってしまえば元に戻せないため、定期的なケアで予防を継続することが重要だと知ってほしいですね。また歯周病菌は、糖尿病や認知症などの全身疾患の発症に関わっているという研究データがあります。特に重度の糖尿病患者においては、口の中の細菌が多いことで症状が悪化することが知られており、歯科と糖尿病の専門家たちが連携して啓発にあたっています。さらに「あいうべ体操」により口腔筋の強化をめざすことは、高齢者の誤嚥性肺炎の予防にもつながります。口が開きっぱなしのお口ポカンを防ぐための習慣づけは、どの年代にとっても健康を保つために必要なんです。
- Q子どもを持つ世代に、特に知っておいてほしいことはありますか?
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A
▲生活に取り入れやすい食育のアドバイスも可能
最近は冷蔵庫にペットボトルのお茶を常備して、急須を使わない家庭が増えていますよね。そこで「食育」の第一歩として、お子さんと一緒に急須でお茶を淹れる経験をしてほしいと伝えています。自分の食べるものがどう作られているかを考える機会となり、調理への興味や親への感謝につながるきっかけにもなります。また、お子さん自身にごはんを作らせてみたり、時には子ども用の包丁を使って小さなケガをしたりという経験も必要。片づけが気になったり、危ないからとつい手を出したくなったりするかもしれませんが、見守ってあげてください。家庭内で毎日行う「食」の経験は、外で遊ぶ機会が減った現代において、成長の原点となり得るはずです。

