濱岡 剛 院長の独自取材記事
桜新町 濱岡ブレストクリニック
(世田谷区/桜新町駅)
最終更新日:2024/09/06

桜新町駅から徒歩1分。1階にカフェが入るビルの3階にあるのが「桜新町 濱岡ブレストクリニック」だ。検診による乳がんの早期発見とその治療に尽力する同院の院長を務めるのは、濱岡剛先生。1991年に兵庫医科大学を卒業し、関西の基幹病院を中心に外科の医師として経験を積んできた。2002年の米国留学に際し、乳がんの専門性を深め、帰国後は聖路加国際病院の乳腺外科に入職。2009年に同院を開業した。2018年12月、現在の場所に移転した際に、新鋭のマンモグラフィや超音波診断装置を増設するなど、より精度にこだわった乳がん診療の提供をめざす。「乳がんを患っても笑顔で過ごす人がたくさんいるのが本当にうれしいです」と爽やかな笑顔で語る濱岡院長。同院の特徴や乳がん診療にかける強い思いを詳しく聞いた。
(取材日2024年5月15日)
乳がんの早期発見とその治療に専門的に取り組む
クリニックについて紹介していただけますか?

2009年の開院以来15年間、当院は乳がん検診とその治療に特化した医療を提供しています。検診から診断を行い、手術を要する場合は基幹病院などを紹介して手術を受けてもらい、術後は当院で引き続き治療を行います。乳がんの治療期間の目安は10年です。乳がん罹患後10年が経過した患者さんと一緒に喜ぶこともあるんですよ。手術後当院から卒業するのではなく、定期検診のために戻ってこられる方も多くいらっしゃいます。そんな患者さんが笑顔で過ごされていると、とてもうれしく思います。
2018年12月の移転理由を教えてください。
理由はいくつかあるのですが、1つは診察室を増やしたかったからです。診察室が増えれば、私自身が複数の診察室を行き来することで、患者さんの待ち時間を短くできます。また、予約がいっぱいになってしまっているので、力を貸してもらえる医師がいれば良いなとも考えました。それに、マンモグラフィ検査の予約もいっぱいになってしまっていて、世田谷区で行う検診を受けられないことも多い状況だったんです。そこで、診察室やマンモグラフィを増やすことでより多くの患者さんにスムーズな検診を受けていただけるよう、移転することにしました。私は桜新町がとても好きなので、他の地域に移ることはまったく考えていませんでした。偶然駅前にこのビルができることになり、移転できて本当に良かったです。待合室には大きな窓があり、桜の季節は眺めがとてもきれいなんですよ。
移転後、変化したことはありますか?

フラットパネルと呼ばれるフィルムを用いないデジタルマンモグラフィを2台設置しました。2台とも、私が現在も勤務している聖路加国際病院で使っているものと同等のものです。超音波診断装置もこれまで使っていた1台に加えて、私たち乳腺外科の医師が多く採用しているといわれる装置を2台導入しました。さらには、医療用の5メガピクセルの精細なモニターを各診察室に採用しています。デジタルマンモグラフィの画像をこのモニターに写すことで、これまで見えなかった細かい部分まで見えやすくなり、より早期に、適切な診断がめざせるようになりました。他には医師の増員を図りました。現在は、昭和大学病院、聖路加国際病院、東京都立駒込病院などの先生のお力添えをいただきながら、各曜日とも2人体制になるよう調整し、スムーズな診療ができるよう尽力しています。
早期発見・治療のためにも年1回の定期検診を勧める
乳がんのスペシャリストとして、感じることがあればお聞かせください。

メディアを通じて乳がん関連の情報を見聞きすると思いますが、その中には検診の重要性を広めるために好ましいものもあれば、正確とは言い切れないものもあります。中には「症状がないから大丈夫」「乳がん罹患の家族歴がないから大丈夫」と思っている方も多く、検診を受けないケースもあるようです。乳がんの早期段階では自覚症状がないことが一般的で、検診を受けていなければ早期発見ができない場合があります。さらに受診しないことで、症状が進行してしまう危険性が高まりかねません。専門の医師として、こうした適切な情報を伝える必要があると感じています。遺伝性の乳がんはある程度の確率で起こり得ますが、全体的にはその割合としては小さなものです。食生活に気をつけている・肥満でない・飲酒や喫煙の習慣はないといった方であっても、乳がんに罹患する場合もあります。家族歴やライフスタイルに関係なく、年に1回の検診を受けてほしいですね。
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?
実はあまり意識していないんですよ。患者さんだからといって、何か特別意識して接することはないかもしれません。人と人として、ごく普通に接しています。関西出身の患者さんには関西弁が出てしまうなど、それくらい気負いなく接していますね。多くのクリニックの中から当院を選び、足を運んでくださる患者さんには感謝するばかりです。常にその気持ちを大切にし、その思いを患者さんに伝えるようにしています。当院の診療内容は患者さんの生命に関わるものです。患者さんの権利を守りながら、医師として果たすべき責任や義務を全うするよう心がけています。
院内の体制についてお伺いします。

医師は、私を含めて複数人在籍しています。他に看護師や診療放射線技師、診療補助と受付が当院の医療を支えてくれています。患者さんが安心して受診できるよう、それぞれのスタッフが自分の専門分野に高い意識を持って日々の治療に臨み、医療チーム内の適切な連携を図ることで、質の高い医療の提供をめざしています。患者さんの中には、検診を目的として受診される方もいれば、治療中のため気分が優れない方もいます。当院のスタッフは、対応する患者さんの状態やお気持ちなどに対し繊細に心を配り、柔軟に対応してくれるスペシャリストだと思っています。毎年定期的に受診してくださる患者さんも多く、当院を信頼していただけているとしたらありがたい限りです。それもひとえに、スタッフの日々のたゆまぬ尽力のおかげ。こうしたスタッフが当院をサポートしてくれることに、心から感謝しています。
不安はすべて吐き出して、安心を得てほしい
患者さんの傾向について教えてください。

近隣地域の患者さんがメインですが、当院には遠方からの患者さんも来院されます。北海道、長野県、大阪府や、乳がん検診施設のない八丈島などからもいらっしゃいますね。遠くからわざわざ足を運んでいただけることに感謝の思いでいっぱいです。私が海外で暮らした経験があり、英語による診療にも対応していることから、海外の患者さんのご相談を受けることもあります。異国の地で不安を覚える方が、安心して悩みを相談できる場として来ていただけるとうれしいです。
どのようにリフレッシュされていますか?
私は兵庫県西宮市の甲子園生まれで、球場のそばで生まれ育ったんです。ですから、そこがホームの球団については、体のすべてにしみついていますね。野球はしたことがなくて、もっぱら評論だけなんですけどね。当院が移転した時は、私がそのチームの熱狂的なファンだと知っている知り合いが、そのチームの選手をお祝いでここに連れてきてくれたんです。待合室で患者さんと記念写真を撮ってくれたりして、本当に感動しました。あとはゴルフがリフレッシュになっています。始めてからそれほど長くはなく、壁が多くて打ちのめされることもあって難しいですが、うまくいった時の爽快感や達成感が良いですね。
今後の展望をお聞かせください。

一人でも多くの方に乳がん検診を受けていただき、少しでも早期に乳がんを発見し、より多くの方を治療に導きたいです。その後も定期的に検診を受けていただくことで、皆さんが安心して、楽しく人生を過ごしていただくためのお手伝いを、今後も続けていきたいですね。乳がんは早期発見と早期治療が大切なことを、もっと多くの方に知っていただきたいと思っています。誰かが乳がんにかかったというニュースを耳にした時、「自分もそうかも」と不安になるのではなく、定期的に検診を受けているので大丈夫だと思えるように、ぜひ乳がん検診を定期的に受けていただきたいと思います。そして、乳がんに罹患した方も、乳がんのことなど忘れてしまうほど、好きなことに夢中になっていただきたい。そうなれるよう不安な気持ちはここですべて吐き出して、前向きになってもらえたらなによりです。
自由診療費用の目安
自由診療とは乳がん検診(視触診+乳腺エコー検査)/8800円、乳がん検診(視触診+マンモグラフィ検査)/1万1000円、乳がん検診フル(視触診+乳腺エコー検査+マンモグラフィ検査)/1万4000円