濱岡 剛 院長の独自取材記事
桜新町 濱岡ブレストクリニック
(世田谷区/桜新町駅)
最終更新日:2025/09/05

桜新町駅から徒歩1分。1階にカフェが入るビルの3階にあるのが「桜新町 濱岡ブレストクリニック」だ。濱岡剛院長は、関西の基幹病院を中心に外科の医師として経験を積み、米国留学で乳がんの専門性を深め、帰国後は聖路加国際病院の乳腺外科で乳がんの早期発見とその治療に携わってきた。2009年に開業した後、2018年に現在の場所に移転。新鋭のマンモグラフィや超音波診断装置を複数台備え、より精度にこだわった乳がん診療の提供をめざしている。「乳がんを患っても笑顔で過ごす人がたくさんいるのが本当にうれしいです」と爽やかな笑顔で語る濱岡院長に、同院の特徴や乳がん診療にかける強い思いを聞いた。
(取材日2025年6月2日)
乳がんの早期発見とその治療に専門的に取り組む
クリニックについて紹介していただけますか?

2009年の開業以来、当院は乳がん検診とその治療に特化した医療を提供しています。検診から診断を行い、手術を要する場合は基幹病院などを紹介して手術を受けてもらい、術後は当院で引き続き治療を行います。乳がんの治療期間の目安は10年です。乳がん罹患後10年が経過した患者さんと一緒に喜ぶのが診療の目標です。また、手術後当院から卒業するのではなく、定期検診のために戻ってこられる方も多くいらっしゃいます。そんな患者さんが笑顔で過ごされていると、とてもうれしく思います。
2018年に一度移転しているのですね。なぜでしょうか?
理由はいくつかあるのですが、一つは診察室を増やしたかったからです。診察室が増えれば、私自身が複数の診察室を行き来することで、患者さんの待ち時間を短くできます。また、予約が混んできましたので、力を貸してもらえる医師がいれば良いなとも考えました。それに、マンモグラフィ検査の予約も混んできて、世田谷区で行う自治体検診も年度変わりの期限よりかなり前に予約を締め切らざるを得ない状況だったんです。そこで、診察室やマンモグラフィを増やすことでより多くの患者さんにスムーズな検診を受けていただけるよう、移転を決めました。私は桜新町がとても好きなので、ほかの地域に移ることはまったく考えていませんでした。偶然にも駅前にこのビルができることになり、タイミングが合って本当に良かったです。待合室には大きな窓があり、桜の季節は眺めがとてもきれいなんですよ。
現在の設備や体制について教えてください。

フラットパネルと呼ばれるフィルムを用いないデジタルマンモグラフィを2台設置しています。2台とも、私が現在も勤務している聖路加国際病院で使っているものと同等のものです。超音波診断装置も同様に病院の乳腺外科で多く採用されているものが2台、さらには医療用の5メガピクセルの精細なモニターを各診察室に設置しています。デジタルマンモグラフィの画像をこのモニターに写すことで、通常では見えにくい細かい部分まで確認することができ、スピーディーかつ適切な診断に役立っています。医師は私を含めて複数人おり、遺伝子検査に関する専門知識を持った女性の医師も在籍しています。また、昭和医科大学病院、聖路加国際病院、東京都立駒込病院、がん研究会有明病院などの先生のお力添えをいただきながら、基本的には2人体制になるよう調整し、スムーズな診療ができるよう尽力しています。
早期発見・治療のためにも年1回の定期検診を勧める
診療を支えるスタッフの皆さんについてもご紹介いただけますか?

医師のほかに、看護師、診療放射線技師、診療補助と受付が当院の医療を支えてくれています。それぞれのスタッフが自分の専門分野に高い意識を持って日々の治療に臨み、医療チーム内の適切な連携を図ることで、質の高い医療の提供をめざしています。患者さんの中には、検診を目的として受診される方もいれば、治療中のため気分が優れない方もいます。当院のスタッフは、対応する患者さんの状態やお気持ちなどに対し繊細に心を配り、柔軟に対応してくれるスペシャリストぞろい。毎年定期的に受診してくださる患者さんも多く、当院を信頼していただけているとしたらありがたい限りです。それもひとえに、スタッフの日々のたゆまぬ尽力のおかげにほかなりません。
乳がんのスペシャリストとして、感じることがあればお聞かせください。
メディアを通じて乳がん関連の情報を見聞きすると思いますが、その中には検診の重要性を広めるために好ましいものもあれば、正確とは言いきれないものもあります。中には「症状がないから大丈夫」「乳がん罹患の家族歴がないから大丈夫」と思っている方も多く、検診を受けないケースもあるようです。乳がんの早期段階では自覚症状がないことが一般的で、検診を受けていなければ早期発見ができない場合があります。さらに受診しないことで、症状が進行してしまう危険性が高まりかねません。専門の医師として、こうした適切な情報を伝える必要があると感じています。遺伝性の乳がんはある程度の確率で起こり得ますが、全体的にはその割合としては小さなものです。食生活に気をつけている・肥満ではない・飲酒や喫煙の習慣はないといった方であっても、乳がんに罹患する場合があります。家族歴やライフスタイルに関係なく、年に1回の検診を受けてほしいですね。
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?

当院の診療内容は患者さんの生命に関わるものです。患者さんの権利やプライバシーを守りながら、医師として果たすべき責任や義務を全うするよう心がけています。当院の診療も15年を超え、乳がんの検診や診断後の治療などで10年以上通い続けてくださる方も増えてきました。多くのクリニックの中から当院を選び、足を運んでくださる患者さんには感謝するばかりです。常にその気持ちを大切にし、その思いを患者さんに伝えるようにしています。
不安はすべて吐き出して、安心を得てほしい
来院されるのは、やはり近隣の方が多いのでしょうか?

近隣地域の患者さんがメインですが、当院には全国各地から患者さんが来院されています。遠くからわざわざ足を運んでくださるのですから、ご満足いただけるような診療でお応えしたいですね。英語による診療にも対応していることから、海外の患者さんからご相談を受けることもあります。異国の地で不安を覚える方にとっても、安心して悩みを相談できる場でありたいと思います。
お忙しい日々の中、どのようにリフレッシュされていますか?
10年続けているゴルフがリフレッシュになっています。壁が多くて打ちのめされることもあって難しいですが、うまくいった時の爽快感や達成感が良いですね。また私は兵庫県西宮市の甲子園生まれで、球場のそばで生まれ育ったんです。ですから、そこがホームの球団については、体のすべてにしみついています。野球はしたことがなくて、もっぱら評論だけなんですけどね。当院が移転した時は、私がそのチームの熱狂的なファンだと知っている知り合いが、そのチームの選手をお祝いでここに連れて来てくれたんです。待合室で患者さんと記念写真を撮ってくれたりして、本当に感動しました。
最後に、今後の展望をお聞かせください。

一人でも多くの方に乳がん検診を受けていただき、少しでも早期に乳がんを発見し、より多くの方を治療に導きたいです。乳がんは早期発見と早期治療が大切。定期的に検診を受けていれば、乳がんにまつわるニュースを耳にした時、「自分もそうかもしれない」と不安になるのではなく、「定期的に検診を受けているので大丈夫」と安心できるかもしれません。そして、乳がんに罹患した方も、乳がんのことなど忘れてしまうほど好きなことに夢中になっていただきたい。そうなれるよう不安な気持ちはここですべて吐き出して、前向きになってもらえたら何よりです。その後も定期的に検診を受けていただくことで、患者さんが安心して楽しく人生を過ごせるよう、サポートし続けたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは乳がん検診(視触診+乳腺エコー検査)/8800円、乳がん検診(視触診+マンモグラフィ検査)/1万1000円、乳がん検診フル(視触診+乳腺エコー検査+マンモグラフィ検査)/1万4000円