中山 盛詔 院長の独自取材記事
中山歯科
(大阪市大正区/大正駅)
最終更新日:2025/09/12

大正区の中心部にある千島団地。その片隅に「中山歯科」はある。駅から少々離れてはいるが、緑豊かな公園も隣にあり、多くの人がウォーキングを楽しむ姿が見られるのどかな場所だ。「実は特にこの地域に思い入れがあったわけじゃなく、開業するための場所を探している時に偶然紹介された場所なんです。でも、今はここに来て良かったなと思っています」と話してくれたのは中山盛詔院長。大正区の歯科医師会でも精力的に活動しているベテラン歯科医師だ。保険診療を中心に取り組む治療スタイルが特徴で、団地から引っ越した後にも通ってくる人がほとんどだという中山歯科。そんな同院を運営する中山院長に、いろいろと話を聞いた。
(取材日2018年9月7日/更新日2023年5月22日)
保険診療を中心に、費用の心配をしなくていい医療を
こちらで開業されて30年以上だそうですが、変化を感じることはありますか?

開院して、気がつけば35年近くになりました。変わったことの一番は僕が年を取ったことですね(笑)。あとは患者さんの層でしょうか。開院当時は、この団地には子どもたちがたくさん住んでいたんですよ。クリニックの前の公園も、いつも子どもたちがたくさん遊んでいましたし、若い家族が多かったように思います。ですから、患者さんも若い方やお子さんがすごく多かったですね。しかし、30年以上たてば患者さんも高齢の方が増えました。ただ、変わることがある一方で変わらないことも多く、多くの患者さんが引っ越してもずっとここに通院してくださっています。大正区内はもちろんですが、名張からわざわざ通ってくださっている方もいらっしゃるんですよ。
先生の治療方針を聞かせてください。
当院はほとんどを保険診療内で行っています。もちろん、常に最新の治療に関しての勉強はしていますよ。はやりもありますし、自由診療の希望があった際に「まったくわからない」という先生は嫌じゃないですか。でも僕は、患者さんの強い希望がない限りは、保険診療でできる方法を考えます。保険治療を「安かろう悪かろう」だと思っている方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。逆に自由診療だから素晴らしいというわけでもないです。それぞれにメリット・デメリットがありますし、その上で選択することが大切だと思います。保険診療のメリットは、何よりも自由診療に比べて費用を抑えられること。これは多くの人にとって、大きなメリットなんじゃないでしょうか。
確かに、費用の問題は心配されている方も多いと思います。

自由診療には自由診療の素晴らしさがあります。それはもちろんそうです。でも、毎回何千円、何万円も支払うことができない方もたくさんいらっしゃいます。こんな時代ですから当然です。最新でレベルの高い治療ももちろん大切ですが、治療費の心配をしないで治療を受けられることも大切なことだと僕は思います。例えば、今入れ歯にはいろいろな種類があります。自費のものになれば、さらにいろいろと選択肢は増えます。でも、じゃあ保険の入れ歯は駄目かというとそうではない。患者さんに合わせて調整し、工夫をし、正しいメンテナンスをしていけば、快適に使うことができます。また、当院では技工士に入れ歯を作製していただいているので、入れ歯の色合わせも可能になっています。既存の歯と入れ歯とで色が変わってしまうと、目立ってしまいますからね。多くの患者さんにいつまでも笑顔でいてほしいので、入れ歯でお困りの方がいればお気軽にご相談ください。
それぞれ違う人生に寄り添い、患者のための診療を行う
診療に際して心がけていることはありますか?

僕がしてほしいことではなく、患者さんがしてほしいことは何かを考え、よく聞くことです。治療を受けるのは僕ではなく患者さんです。ですから、患者さんが何を望んでいるかをよくよく聞かなくてはいけません。積極的で自分の思うことを伝えるのが得意な人もいれば、人に自分の気持ちを話すことが苦手な人もいます。金銭的・時間的に余裕がある人もいれば、そうではない人もいます。いろいろな人がいて、いろいろな人生があるので、治療の方法が一つではいけません。教科書どおりというわけではなく、その人に合わせた治療をしていくことが大切だと考えていますので、そのためにもよく話を聞こうと思っています。
話をよく聞くために工夫していることはありますか?
あんまり丁寧な言葉を使いすぎないようにしていますね。もちろん、失礼になりすぎるのは良くないですけど、何年も通っているのにずっと敬語でというのもなんだかちょっと寂しいじゃないですか。僕はすべての出会いは「縁」だと考えているので、僕と患者さんが出会うのも「縁」だと思っています。その縁を大切にし、人と人としてお付き合いしながら治療をしていきたい。だから、お互いに気さくに言葉を交わして、なんでもない日常の話、家族や趣味の話なんかもしながら、お互いの理解を深めていけるような関係をつくりたいと思っています。それから、怖い歯医者の先生のところに行きたい人はあまりいないと思いますので、怖くない歯医者をめざしています(笑)。
リコールの電話をかけたり、はがきを出したりしないそうですが、なぜですか?

本当にいろいろな人がいるということを、改めて感じるようになったからですね。ここでクリニックを始めて、たくさんの方に出会ってきました。長く通ってくださる方もいれば、1回で来なくなる方もいらっしゃいます。ずっと来てくださっていたのに、ある日突然連絡がなくなる方もいらっしゃいます。でもね、来る人には来る人なりの理由があるし、来なくなった人にも来なくなった人なりの理由が必ずあるんですよ。来なくなった人は、僕と合わなかったかもしれないし、事故や病気かもしれないし、金銭的な問題かもしれない。そう考えると、こちらから追いかけても息苦しいんじゃないかと思うんです。断るのだって、ちょっとしたストレスです。だから当院はリコールをしないのです。
何げない患者の笑顔に出合えることが喜び
歯科医師をしていて、うれしいと感じる時はどんな時ですか?

どんな歯科医師も「痛かったのが良くなった」「食べられなかったのに、食べられるようになったよ」と喜んでくださる姿を見たらうれしいものだと思います。もちろん僕もうれしいです。他にも、街で患者さんが笑顔で声をかけてくれるとうれしいんですよ。何げないことなんですけど、すれ違う人が「こんにちは!」と笑顔を向けてくれるとうれしいですね。だって、笑顔を向けてくれるということは、僕のことを悪く思っていない証拠、地域の一員として受け入れてくれている証拠じゃないかなと思うんです。もし自分だったら、嫌いな先生を見かけたらあいさつしないで逃げると思います(笑)。だから、何げない患者さんの笑顔に出合えると「ああ、良かったな。うれしいな」と思いますね。
お休みの日の過ごし方を教えてください。
実は趣味が何もないんですよ。歯医者の仕事以外に続いているものがないんです。ゴルフとか釣りとか……いろいろあるとは思うのですが、自分が夢中になれるものは見つかっていません。ですから、休みは自分の趣味を楽しむというよりも、妻と一緒にお墓参りや神社に行ったり、他県に住む息子たちや孫の様子を見に行ったりしていますね。あとは、大正区の歯科医師会で活動をしています。大変ですけれど、多くの出会いもありますし、いろいろと貴重な経験もさせていただいています。
最後に、今後の目標を教えてください。

年齢的にも健康に留意して、元気で診療を続けることがまず第一ですね。そして、これからもさまざまなことに興味を持ち、勉強をしていきたいと思います。幾つになっても、セミナーに出かけて歯科界全体の動きを追いかけ、勉強し続けることは楽しみです。多くの知識を得て、自分自身を高めることを怠らないでいたいですね。クリニックとしては、これまでと変わらずに保険診療を中心に患者さんのための診療を行うことが目標です。そして、患者さんとの信頼関係を大切に、人生に寄り添うような診療をしたいです。何らかの理由で診療が中断していても、状況が変わればまた来てください。気軽に来られる場所として、いつでも門を開けて待っていますよ。
自由診療費用の目安
自由診療とはインレー、クラウン/3万~11万円 ※素材による
入れ歯/15万~25万円