治療が苦手な人に寄り添う
歯科医院で受ける初診の流れ
ながた歯科
(茨木市/茨木市駅)
最終更新日:2024/06/13


- 保険診療
「何をされているかわからなくて怖い」「麻酔や歯を削る際の鋭い痛みが苦手」「障害のある家族が歯科治療に耐えられない」など、医療の中でも特に恐怖心や苦手意識が強いとされる歯科治療。定期通院が重要だとわかっていても、なかなか重い腰が上がらないという人も多いのではないだろうか。「ながた歯科」では障害者歯科を専門とする永田篤院長が、歯科治療を苦手とする人に寄り添い、麻酔の仕方にも工夫を凝らすなど痛みに最大限配慮した治療を行っている。歯科治療を苦手とする人にとって最もハードルが高いと考えられる「初診」の流れについて、永田院長に聞いた。
(取材日2024年5月14日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q歯科治療が怖いと感じられやすいのはなぜでしょうか。
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A
歯科治療は誰もが怖いと思うもの。その理由として考えられるのは、痛みへの恐怖はもちろんのこと、「何をされているかわからない」という精神的な面もあるでしょう。そのため当院では、患者さんが納得した上で治療を受けられるよう丁寧に説明した上で、状況に応じて休みを挟みながら診療を行います。また私の専門の障害者歯科では、例えば自閉スペクトラム症の場合、先の見通しがわかるように治療内容が描かれたカードを順番に並べる視覚支援にも取り組んでいます。しかし意思疎通が難しい方の恐怖心を取り除くことは困難なこと。少しの刺激でも治療を続行できなくなるため、極力痛みに配慮し、それでも難しければ大学病院をご紹介します。
- Q保険診療と自由診療はどう違うのですか。
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A
簡単にいえば治療に用いることができる材料が異なり、保険診療は3割~1割の自己負担、自由診療は全額自己負担という違いがあります。これは国の制度によるもので、歯科医院や歯科医師が個人でどうにかできるものではないです。「お金がかかる自由診療のほうが良い治療」「保険診療と自由診療では待遇が区別される」などと誤解されることもありますが、当院ではそのようなことは一切ありません。保険診療と自由診療とで対応できる範囲に違いはあっても、すべての患者さんに最善の治療を提供できるよう努めています。
- Qなぜこちらの歯科医院では保険の治療を勧めているのでしょうか。
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A
限られた中でベストを尽くすのが歯科医師の役割で、本来はすべて保険診療で対応すべきというのが私の考えなのです。また、保険適用の材料も近年は良いものが増えてきているというのも理由の一つです。基本的には保険診療で対応した上で、患者さんが希望する治療、やらなければならない治療が国の保険制度内に入っていないから“仕方なく”選択するのが自由診療だと私は考えています。また障害者歯科では、経済面でも保険診療でなければならないケースがほとんど。国の制度不足で、「高額な治療費を払えない方は診られません」などということはあってはならないことだと思っています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1受付・問診票を記入
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受付を済ませたら、問診票の項目に対しできるかぎり詳細に回答を記入。持病や服薬の種類によっては治療内容にも影響があるため、安全に歯科診療を受けられるよう、普段から飲んでいる薬があればお薬手帳または薬そのものを持参しよう。なお同院の小児診療では、保護者も一緒に診察室に入室するスタイルを採用している。
- 2口腔内のチェック、検査、診断の後、治療計画を立てる
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同院で重視しているのが、痛みや違和感など来院理由となったトラブルの優先解消に向け、治療順位を考えること。ただし治療が進むにつれて治療順や治療箇所、めざすゴールなどは変化していくもの。「大枠の治療計画は立てつつも、治療の進行とともにその作戦に修正を加えながら、臨機応変に進めていきます」と永田院長。治療が長期間にわたる場合も、その時々のライフスタイルに合わせて治療を提案してくれる。
- 3カウンセリング
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同院ではインフォームドコンセントを大切にしており、数ヵ月先など状況に合わせて見通しを伝え、治療を提案した上で、患者が来院可能なスケジュールとすり合わせていく。患者にとって歯科医院への通院は生活のごく一部であるとの考えから、仕事の繁忙期や出張などで来院できない時期があるなどの場合は、治療時期をずらすなどの相談にも応じている。
- 4麻酔を行ってから治療開始
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表面麻酔を使用してから麻酔を行うなど、痛みにも最大限に配慮。障害者歯科では「無痛」をめざすことが要求されるため、特にこだわっているそうだ。認知症などが原因で歯科医師らの手を噛むといったトラブルもあるが、「付き添いのご家族の方は気を使わないでくださいね」と永田院長。治療後の急変に対応できるよう、待合室まで戻る後ろ姿まで注意して見ているという。
- 5定期的なメンテナンス
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歯科治療では歯を削り人工物を接着剤でつけることもあるが、自身の体ではなくなってしまった部分は、治療を重ねれば重ねるほど再治療率も上がるという。そのため治療に至らないよう口腔内の環境を整え、トラブルを予防するために数ヵ月に一度の定期メンテナンスは欠かせない。特に障害者の治療で、大学病院などで全身麻酔を必要とするケースでは、健常者と同様の治療は不可能といえるため、特にメンテナンスの重要性が高いという。