吉原 英一 院長の独自取材記事
よしはら歯科医院
(八尾市/久宝寺駅)
最終更新日:2024/11/22

大和路線久宝寺駅から南へ8分ほど歩いた住宅街の中にある「よしはら歯科医院」。1989年の開業以来35年もの間、ファミリーで安心して通える歯科医院として、地域住民の歯の健康を支えてきた。吉原英一院長は、子どもたちが歯科診療を嫌いにならないよう、丁寧に時間をかけながら痛みに配慮した治療に努めている。学校歯科医も長年務め、クリニックの入り口の棚には、近隣の保育園児から贈られた「いつも歯科検診してくれてありがとう」というメッセージ付きの折り紙作品が飾られるなど、子どもたちとの温かな交流がうかがえる。穏やかな人柄が印象的な吉原院長に、小児歯科で心がけていることや後継者についてなどの話を聞いた。
(取材日2024年9月17日)
子どもの歯科治療は痛みへの配慮が鍵
今年は開業から35年の節目の年とお聞きしました。

1989年の開業ですから、早いものですね。今までファミリーで安心して通える歯科医院として、地域医療のお役に立てるよう精一杯努めてきました。多くの患者さんたちと地域住民の方に支えていただきながらの年月だったと思います。小さなお子さんだった患者さんがすっかり大きくなって、自分のお子さんを連れてきてくださったり、働き世代だった患者さんがお年を召しても変わらず来てくださったり、ある日開業した歯科医院が徐々に地域に根を張り、今や地域の一部となって、住民の皆さんと一緒に年を重ねていっているという感じで、本当にありがたいことです。もちろん、院長の私も年を重ねているわけで、自分の息子も成長して大人になり、最近は次男と当院の後継の話もしているんですよ。
近いうちに息子さんがお継ぎになるのでしょうか?
そうですね。まだ正確には決まっていませんが3~4年後くらいには継承する予定です。親の私から「継いでほしい」と言ったことはないですし、次男が大学病院の勤務医や独立開業したいのであれば、私もそれを応援していたと思いますが、「継ぎたい」と言ってくれたときは本当にうれしかったですね。当院のコンセプトは、お子さんも高齢者の方も安心して治療を受けられる、ご家族皆さんのための歯科医院です。次男は性格も優しいですし、結婚して子どもがいるのですが、私から見ても、ほほ笑ましいぐらい子煩悩な父親です。そういう点でも、当院にぴったりの後継者だと考えています。また、彼は現在、京都府立医科大学の口腔外科に勤務しているのですが、口腔外科の経験や知見があるということは、炎症や出血など何か起こったとき、すぐに適切な処置ができるというのが大きなメリットですね。
お子さんの治療で心がけていることはありますか?

とにかく痛みの少ない治療を行うことです。例えば、麻酔を注射するとき、注射針を刺す周囲をぐっと押さえて圧迫するんですね。圧迫することで注射してもあまり痛みを感じないようになります。そのように痛みを軽減する技術を駆使します。また、ユニットのモニターでアニメが見られるようにしています。お子さんの場合、初回が一番大事ですね。やっぱり最初はどんなことをされるのかわからないですし、身構えてしまいますよね。お子さんは背が低いから目線が低いでしょ。そうすると自分と同じぐらいの大きな機械がいっぱいある部屋に入らされて、いかつい機械に囲まれた椅子に座らされ、いったいこれから何をされるのだろうと恐怖を感じるのが自然です。初回の治療で痛くて怖い思いをして泣いてしまうようなことになったら、次からは来てくれなくなってしまいます。逆に最初をうまく乗り切れば治療がスムーズにいくことが多いと思います。
ネットの情報だけをうのみにせず、歯科医師に相談を
怖がっているお子さんにはどのように治療をするのですか?

怖がって泣きやまないお子さんは、初回は椅子に座ってもらってお話をします。痛みがある場合はお薬だけ塗りますね。2回目にタービンの音をジェット機の音だよと聞かせて、「これで悪い虫を退治するからね」と、口の中に入れるところまで。3回目に「ちょっとやってみようか」と、少し慣れてから始めることで、安心して治療を受けてくれるようになると考えています。大学病院にいる次男も、泣く子どもたちを時間をかけて説得してなんとか全身麻酔なしで治療を受けてもらえるように努力していると言ってました。子ども相手には根気のよさが大切ということは変わらないんだと感じましたね。
お子さんの予防歯科にも力を入れているそうですね。
お子さんの歯を守るにはお母さんの知識が必要です。定期的なケアや歯にとって良くない生活習慣、歯ブラシの替え時など、どんな些細な点でも気になることはご相談いただければと思います。最近はインターネットで手軽に専門的な情報を得ることができるようになりましたが、ネットの情報だけをうのみにしてしまうと判断を誤ってしまう危険性があります。そのため、実際に歯科医院に行って心配なことを相談したり、検査して診断してもらったり、とにかく歯科医師と話すことが大事だと思います。逆に、歯科医師のほうでも、患者さんの話に丁寧に耳を傾けることが重要です。
ご高齢の患者さんにはどのようなことを心がけていますか?

決して上から目線にならず、患者さんの気持ちに寄り添うことですね。患者さんとお話をして、患者さんがやってほしいことをやる、ただそれだけです。でも、時には患者さんの希望が治療上良くないことだったりすると、それは専門家として「無理です」とちゃんとお話しします。どうしてできないのかをきちんと説明すると、患者さんにもわかっていただけますね。ただ、「年だから仕方ないでしょ」と言うことだけは避けています。確かに加齢で噛む力が弱くなってきたりはするのですが、年のせいにしてしまったら治療はそこで終わってしまうため、それだけは言いません。30年来の患者さんたちからは「歯医者さんっぽくない」「昭和の歯医者さん」と言われて解釈に困っていたのですが、最近「人情味がある」という意味だとわかりホッとしました(笑)。
息子に継承後も、変わらぬ思いで地域に貢献したい
歯科医師会など院外でもご活躍されていると伺いました。

20年前に八尾市の学校歯科医を務めるようになって以来、歯科医師団体の活動も積極的に行っており、現在、八尾学校歯科医師会と大阪府の学校歯科医会でも活動しています。特に八尾市のほうでは、教育委員会の先生方と意見交換をしたりなど結構ハードですね。大阪府のほうは、以前常務理事をしていたときはとても忙しかったのですが、今は参与ですので少し落ち着いて講習会やイベントに顔を出したりしている感じです。院外の活動はいろいろな方と接することができるので良い刺激をいただいています。
最近、休日はどのように過ごされているのですか?
庭の手入れが趣味で、妻と一緒にバラやテッセンなどを育てています。夏は庭の雑草取りが大変なんですよ。長男は日本画の画家として活動をしていまして、花鳥画を描いています。そのため実家に帰って来た時に庭でデッサンできるようにいろいろ植えているのです。一般的には長男が親の後を継ぐべく歯科医師になるのかもしれませんが、高校生の頃、長男に「白衣を着ている自分を想像できない」と言われました。血を見るのが嫌だそうで(笑)。それで好きな画家の道に進ませたんです。そういう点では次男とはタイプが違っていて興味深いですね。最近の趣味としては、ミュージカル鑑賞でしょうか。美術館での絵画鑑賞も好きですね。そうそう、今一番楽しみなのは孫の成長です。
今後の抱負を聞かせてください。

今後も地域の住民の方が安心してファミリーで通うことができる歯科診療所として努めていきたいですね。お子さんや高齢者の方の治療、診療内容としては、私が得意としている補綴治療、専門の歯科医師に来ていただいている矯正などにも力を入れていきたいです。ゆくゆくは次男に継承したいと考えており、現在、通院していただいている患者さんたちが引き続き通いたいと思ってくれるような、魅力ある歯科医院にしていきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正治療/66万円~