廣谷 勝 院長、小宮 睦 先生の独自取材記事
広谷歯科医院
(富田林市/富田林駅)
最終更新日:2023/05/09

近鉄長野線富田林駅から徒歩約10分の場所に、「広谷歯科医院」はある。現院長の廣谷勝院長と、娘である小宮睦先生が診療を行う同院は、1943年に先代院長が開業して以来、親子3代にわたって地域の歯の健康を支えてきた。歯周病の予防意識が現在ほど高くなかった時期から予防に注力してきたという廣谷院長と、患者に親身に寄り添いながらも時代に合わせた変化にも柔軟に対応する小宮先生。そんな二人に、歯科医院の成り立ちから患者層、診療への想いについて、それぞれ語ってもらった。
(取材日2023年4月11日)
親子3代にわたって地域に根差した歯科医院
開業から80年余りと、長年この地域で診療をされてきたのですね。

【廣谷院長】「広谷歯科医院」は、私の父である先代院長が、1943年に地元である富田林に開業したのが始まりです。私は大学院を修了後、2年の大学勤務を経て、1976年から父のもとで勤め始めました。この時から、現在の場所で診療を行っています。80年の歴史を持つ歯科医院ですが、電子カルテの導入が早かったというのがひそかな自慢です(笑)。
【小宮先生】私は、2005年から当院に加わりました。院長が1人で診療している時は忙しく、患者さんにお待ちいただくこともあったと思いますが、今はなるべく患者さんをお待たせしないようにスタッフ一同気を配っています。
開業当時から現在まで、患者層の変化について教えてください。
【廣谷院長】開業当時はベビーブームで子どもが多く、それに対して歯科医師の数が少なかったです。虫歯の患者さんが非常に多かった時代でした。
【小宮先生】小さなお子さんや働き盛りの方もお越しいただいていますが、現在は地元にお住まいの高齢者の方が中心ですね。それこそ祖父の代から通ってくださる方もいますし、家族ぐるみでお越しいただいている患者さんもたくさんいらっしゃいます。
院内の仕切りがガラス張りで、開放感がありますね。

【小宮先生】2010年に改装をしたのは、診療室を個室にして、バックヤードと患者さんが通るスペースの動線分離をしたいという考えからでした。高齢化が進む地域でもありますので、院内は車いすが通れるバリアフリー設計です。仕切りをガラス張りにしたのは、圧迫感をなくすためでもありました。診察台にはカバーをかけているのですが、院長のアイデアで、個室ごとに色を変えているんです。個室番号とカバーの色をそろえたことで、患者さんに「オレンジの部屋に行ってください」と伝えればすぐにわかっていただけるようになりました。診察室の窓からは、金剛山や葛城山も見えて、季節によって異なる眺めが広がります。ちょっとしたことですが、患者さんにも気持ち良く過ごしていただけていると思います。
時代の変化を受け入れながら、患者に寄り添う診療へ
診療方針について教えていただけますか?

【廣谷院長】患者さんに寄り添うことを大切にしています。患者さんの背景はさまざまですが、当院は「歯科医院に行くのがすごく怖い」「ホームページを見て優しそうだから来た」という方が多いように思います。確かに、忙しい中歯科医院に通うのは大変ですし、歯科医師によっては「どうしてそこまで放置していたのか」と、患者さんが叱られる場合もあります。ですが、私は長い経験から、勇気を出してくださったことを受け止めて、患者さんの笑顔のために健康な歯を維持していくお手伝いをしたいと考えています。
【小宮先生】当院では、患者さんとしっかりお話をすることで、お一人お一人に寄り添うよう心がけています。一番の目的は、患者さんのお口が健康になって笑顔になることですから、適切な知識や磨き方を丁寧にお伝えしています。初診の患者さんには、事前にお電話でヒアリングをして、主訴の認識や診療時間をすり合わせることも行っています。
予防歯科や歯周病治療に注力されていると伺いました。
【廣谷院長】自分の歯で長く食べていくためには、お口の健康をコントロールする必要があります。歯周病は放っておけばどんどん進行してしまいますから、定期的に通っていただいて、こまめにメンテナンスすることが大事です。当院では、今痛い虫歯の治療だけでなく、「何が原因でそうなったのか」を考えて、お口全体の治療を提案いたします。歯周病治療は早いに越したことはありませんが、長期的な治療でもあります。当院の歯科衛生士がサポートしますので、一緒に改善と予防をしていきましょう。
【小宮先生】早く治療を始めればその分治療がスムーズに進みやすいので、「歯周病になっていると思う」「歯がムズムズする」と感じたらすぐ、勇気を出して最初の一歩を踏み出していただきたいと思っています。
患者さんと接する上で心がけていることはありますか?

【廣谷院長】患者さんは心の準備をして、決心して来院されると思っています。特に初めての方は、緊張されると思います。ですので、お口全体の健康を見据えながら治療をしていきますよとお伝えして、ご納得いただいた上で長いお付き合いになるように気をつけています。
【小宮先生】久しぶりに来られた患者さんにも積極的に声をかけることを大事にしています。予防治療だけだと患者さんに会わないのですが、待合室で「最近どうですか?」「お父さんはどうしていますか?」と声をかけると、患者さんも安心してくださると思うんです。患者さんとのコミュニケーションを通して、歯科医院に通うことが日常になじんでいけたらと考えています。
地域の窓口として、患者が元気になる場所をめざして
お忙しいと思いますが、休日はどんなふうにお過ごしですか?

【廣谷院長】休日は、多趣味を生かして院内や自宅を整えています。DIYをしたり、診療関係のPCのプログラムを作ったりする程度ですが、良いリフレッシュになっています。あとは体を動かして、患者さんと向き合う体力づくりをしていますね。
【小宮先生】家族で遊びに出かける日もありますが、最近はもっと歯科医院を良くしたいという想いで、勉強会に出席したり、自分で勉強をしている時間も多く取っていますね。やはり、時代に合わせて変化していかないといけませんので、日々知識のアップデートに励んでいます。
今後の展望を教えてください。
【小宮先生】歯の検診に行った時に、発達障害のお子さんに会うことが増えたんです。そこから分子栄養学に出会い、前野博之先生より栄養と睡眠の関係性について教えていただきました。栄養と睡眠に関して知見を深めているので自分自身の健康にも生かしていきながら、今後は患者さんにも還元していけたらと思っているところです。栄養の知識は、歯科の領域とも密接に関係しています。また、健康にはホルモンバランス、自律神経のバランス、免疫力のバランスの3つの歯車が関係しています。そのため、この患者さんにはビタミンが足りないなと判断したらサプリメントをご提案したり、お口の健康を通して睡眠の不調を抱えている方にアプローチしたりするなど、今後はそうした展開もしていけたらと考えています。
最後に、読者の方へメッセージをいただけますか?

【廣谷院長】歯科医院は、小さなお子さんから高齢者の方まで、幅広い世代の方が通ってくださる場所です。最初は怖い、行きづらいと思うかもしれません。歯科医院に対して、嫌なイメージをお持ちの方も多いと思います。ですが、当院は患者さんにとって「ここに行ったら元気になった」と感じるような場所でありたいと考えています。
【小宮先生】お口の健康は、その時の痛みはもちろん、体の不調にも影響していることがあります。私自身も子育てに奮闘していますし、さまざまな患者さんを診てきています。気持ちを話すことで楽になったり、会話を通して前向きになったりすることもありますので、ぜひ頼りにしていただければと思います。小さなお悩みから安心して相談できる地域の歯科医院として、お力になれたらと考えています。