西本 桂三 院長の独自取材記事
上田にしもと歯科医院
(松原市/河内松原駅)
最終更新日:2025/04/04

大阪府松原市の河内松原駅から徒歩10分ほどの住宅街にある「上田にしもと歯科医院」。補綴や入れ歯を専門に学んだ西本桂三院長が、1985年に開業して以来、地域に寄り添った診療を提供し続けている。長年の経験に基づいた技術で地域住民の健康を守り続けてきた同院。西本院長はまた、地域全体の医療を支える立場として、歯科医師会の活動にも力を注ぎ、診療や予防にいまだ残る課題について、行政との橋渡し役としても活躍している。「この地域のデンタルIQを底上げして、口の中から健康になってもらいたいです」と、にこやかに語る西本院長に、診療の際に心がけていることや地域医療に懸ける想いなどを聞いた。
(取材日2025年2月19日)
自分の歯を1本でも多く、少しでも長く
開業から40年以上たちますが、この地域は先生にとって非常に縁が深い場所だそうですね。

私の実家は駅前にある産婦人科ですが、親族にも医師が多かったのでそれぞれがこの周辺でクリニックを開業していました。内科や耳鼻咽喉科など診療科はさまざまでしたが、住み慣れた愛着のある場所でしたので、地域の皆さんの健康を守るという使命を持って診療にあたっていたと思います。現在は産婦人科は兄が継ぎ、弟は耳鼻咽喉科の医師として同じく近くで開業しています。私自身も歯科医師になると決めて愛知県の大学に進み、地域の皆さんの健康を、口内環境からサポートしたいという想いがあり、こちらに戻って開業することになりました。
先生のご専門について教えてください。
大学では補綴や入れ歯について専門に学びました。開業当時は、まだ現在のようにインプラント治療が主流ではない時代でしたので、信頼できる歯科技工士と二人三脚でやってきました。長く一緒にやってきたこともあり、設計も任せられる腕前ですし、緻密な調整についても「あうんの呼吸」で進めていますね。当院ではクラウンやブリッジ治療なども行っていますが、先進機器の活用なども歯科技工士の協力のもと行っています。入れ歯については設計だけでなく、使い始めてからの調整が非常に大事です。例えば、患者さんが痩せたり太ったりと体型に変化があると、その変化は口腔内にも現れます。その微細な変化に迅速に合わせていくことも私たちの仕事ですね。
患者層を教えてください。

当院は補綴や入れ歯を中心に診療していますので、ご高齢の患者さんが多いです。昔と違い、とてもお元気な方が多いですね。ですから少しでも多く自分の歯を残して、少しでも長くしっかりと噛めるような治療とメンテナンスを心がけています。もちろんお子さんや働き世代の方もいらっしゃいますので、虫歯や歯周病など一般歯科で来院いただく方も多いです。患者さんと日々接していて痛感するのは、やはりメンテナンスと予防の重要性ですね。自分の歯を大事にしておけば、いつまでもおいしく食事を楽しむことができます。そのために当院では歯科衛生士がしっかりとメンテナンスを行い、ご自宅でも実践できるように歯の磨き方やフロスの使い方などをお知らせしています。口腔内の疾患は全身に影響する場合もあるので、これからも予防歯科の大切さをお伝えしたいですね。
患者の思いを最優先しながら、より良い治療を提供
ニーズに応じて、他院との連携も積極的に行っているようですね。

長くこの地で開業しておりますので、病院との連携や歯科クリニック同士のネットワークはかなり広いと思います。例えば、患者さんがインプラント治療を希望される場合には、私が信頼できるインプラント治療を専門とする歯科医師を紹介することができます。また、通勤、通学の都合や引っ越しなどで大阪府内の別エリアの方が都合がいいという場合は、患者さんが日常的に通いやすい場所にある歯科クリニックを紹介し、経過を連携していくこともできます。外科的な処置が必要な場合には、病院を紹介することもありますし、すべては患者さんファーストです。当院にいらしていただく場合には私が丁寧に診療しますが、患者さんのライフスタイルや症状に合わせて、より無理のない診療が受けられることが一番だと思っています。
診療の際はどんなことを大切にしていますか?
まずは「患者さんがどんな治療を受けたいか」をしっかりとヒアリングすることです。それが私の専門である補綴や入れ歯についてなら、日常生活に困らないような方法をご提案し、これからの長い人生を寄り添うような診療ができればと考えています。患者さんの話を聞く姿勢はクリニック全体に浸透しています。当院には若手の歯科医師も在籍していますが、私よりももっと丁寧で上手に説明しています(笑)。患者さんからの信頼も厚いですね。私たちがベストだと思うことと患者さんの希望は必ずしも一致しません。それを念頭に置いて、患者さんの生活背景や気持ちなどをしっかりとくみ取れるような雰囲気を、当院のスタッフ全員でつくっていくようにしています。
診療体制を教えてください。

歯科医師は私と若手の歯科医師の2人、歯科衛生士は3人が常駐しています。歯科助手は2人で受付が1人という体制です。長く勤務してくれているスタッフが多いので、それぞれの持ち場においては、信頼して任せている部分が多いですね。シフトや物品の管理、教育体制などはスキルの高いスタッフに安心して任せられるので、私たち歯科医師は診療に集中することができます。また、先程もお話しした歯科技工士の存在も大きいですね。開業当初からの付き合いですので、こちらの意図をすぐにくみ取ってくれて、精密な技術を提供してくれています。入れ歯については装着後のフィット感次第で、生活の質がかなり左右されます。長年の経験と技術で、緻密な調整や修正などが確実に対応できる体制も整っています。
地域のデンタルIQを上げて、口の中をもっと健康に
自らのクリニックのことだけでなく、南大阪の地域医療全体にも積極的に関わってこられたようですね。

そうですね。松原市歯科医師会や大阪府歯科医師会などの活動に、積極的に取り組んできました。歯科医師会で活動すると、勉強になるのはもちろん、たくさんの歯科医師の声を耳にすることができます。そうすると共通する課題が見えてくるわけです。それを行政とすり合わせていくことも、大事な職務の一つでした。地域医療はどうあるべきか、どうすれば地域の人たちがもっと健康で豊かな生活が送れるのかを広い視野で見ることのできる貴重な機会でしたね。クリニックの運営との両輪は大変なこともありましたが、歯科医師として、この地域のデンタルIQをもっともっと上げていきたいという思いで携わってきました。
デンタルIQについて教えてください。
歯に関心を持ち、正しい磨き方や歯科医院でのメンテナンスの仕方をしっかり理解すれば、デンタルIQはどんどん上がっていきます。現状では、歯は磨いてさえおけば良い、と思う方がまだ多いです。ご自宅でのケアは、歯ブラシで磨くだけでなく、フロスや歯間ブラシを使うことも大事ですし、正しい磨き方を実践して、隅々まで清潔に保つことが重要です。その意識を持って、毎日の歯磨きを丁寧に行っている方は、実は少ないように感じています。歯周病は、糖尿病のもとになったり心臓疾患を引き起こす原因になったりもします。全身疾患のもとになるかもしれないという観点で、もっと口の中に関心を持ってほしいと思っています。先端医療を取り入れるのも良いですが、その前に普段の生活からしっかり取り入れていける予防歯科もあります。歯科に関心を向けて、地域全体のデンタルIQを上げていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

歯科治療の選択肢が増え、良い治療を望む人が増えてきました。しかし、口の中への意識も高めていかないと、せっかくの治療が無駄になってしまうかもしれません。まずは毎日の歯磨きや予防歯科の意識をしっかり持ちつつ、定期的に歯科でメンテナンスしていくことが大事です。そういった日ごろのケアの必要性を、これからも広めていきたいと思っています。