多名部 光代 院長の独自取材記事
和田歯科医院
(芦屋市/甲南山手駅)
最終更新日:2026/02/04
1970年の開業以来、地域に密着しながら診療を続けてきた「和田歯科医院」。ピンクベージュの壁紙がやわらかい印象の待合室から診察室へ向かうと、多名部光代(たなべ・てるよ)院長が明るい笑みで迎えてくれる。前院長である父から受け継いだ昔ながらの診療方針を重視する、実直な人柄の歯科医師だ。同院は歯科衛生士が在籍しない代わりに、多名部院長が治療から定期検診、入れ歯の調整まで何でもこなすスタイルが特徴的だ。また、できるだけ早く患者の要望に応えるべく、院内技工所で入れ歯が割れるなどの即日の入れ歯の修理にも対応している。「自分にしかわからないこともあるので、些細なことでも話してみてください」と語る多名部院長に、患者への思いや同院を守り続ける決意について、じっくりと話を聞いた。
(取材日2024年1月10日)
患者の声を受け止められる歯科医師でありたい
まずは、診療方針についてお聞かせください。

できる限り抜歯を避けて天然歯の保存をすることと、予防歯科が基本方針です。また、基本的にまずは主訴の解消を図るようにしています。できるだけ早く患者さんの苦痛を取り除いてあげたいと思っているのです。逆に症状がない場合は、積極的に治療介入はせず様子を見るという選択肢を提案することもありますね。患者さんと相談しながら、その方に合った選択に努めています。また、予防歯科では継続が大切ですから、患者さんのペースを守ることを心がけています。当日の駆け込み受診も受け入れられるよう調整したり、都合に合わせて柔軟に通院間隔を延ばしたり、忙しい方が多い子育て世代や働き世代でも、継続的に通院していただけるような体制にしました。口腔内のトラブルは、事前に察知できるものでありませんからね。何かあれば相談していただきたいです。
前院長であるお父さまから継承した方針はありますか?
父は何でも自分でやる人で、歯科衛生士や歯科技工士の仕事もこなしていました。私もそのやり方に倣っていますね。また、診療椅子をほとんど倒さない「座位スタイル」も父から引き継いでいます。水や唾液、治療材料が喉にたまりにくく、圧迫感が少ないので、患者さんの不安感の軽減につながると考えてのことです。父の代から通院し続けてくださっている患者さんも多いので、これからもこのスタイルを変えずにいこうと思っています。
現在、主訴はどのようなものが多いでしょうか?

当院は地域密着の歯科医院なので、虫歯や歯周病、入れ歯など、一般歯科の主訴がメインですね。子育て中の方や社会人の方は、「痛みがあるから治療してほしい」という急ぎの理由が多い印象です。痛みを取り除いた後は、定期検診に移行することが理想だと考えています。そのためにも、治療も定期検診も、すべて私が対応するスタイルを父から継承しましたので、頼りにしていただけましたら幸いです。また、父の代から通ってくださっている患者さんは高齢の方が多いため、口腔機能の低下も出始めてくるでしょう。ですから、今後は嚥下や舌の筋肉の鍛え方などのアドバイスに注力しようと思っています。ちなみに、より専門的な治療が必要だと判断した場合は、口腔外科や矯正歯科を専門とする先生をご紹介しています。
院内技工所で迅速に入れ歯の修理が可能
こちらの設備・機器について教えてください。

パノラマエックス線撮影装置や口腔外バキューム、レーザー治療器などを導入しています。口腔外バキュームとは、治療中に飛び散る唾液や金属の破片を吸い込む機器です。空気中のウイルスも吸引するので、院内感染対策にも有用とされているんですよ。レーザー治療器は、歯周病や腫れのある患者さんに使用しています。出血や炎症、痛みを抑える効果が期待でき、早期回復も望めるので、患者さんへのメリットが大きいと考え導入しました。また、入れ歯などの技工物を製作する際は、院内技工所と外注技工所を、併用したり使い分けたりしています。初めて作る場合は外注技工所と相談しながら進め、簡単な入れ歯の修理は院内技工所で対応する、といった感じですね。
院内と外注の技工所をうまく使い分けているのですね。
ええ。入れ歯の簡単な修理は院内技工所で対応できますので、即日にお返しすることが可能です。修理に数日ほど日数を必要とする場合、入れ歯がないことから舌が痛くなったり、食べ物をしっかりと噛めずに困ったりするでしょう。当院であれば、そうした心配をすることなくお過ごしいただけますよ。また、外注技工所の場合、20年以上の付き合いになる歯科技工士さんと相談しながら技工物を作ります。信頼関係があるので細かなオーダーが可能ですし、「ここはどう削ったらいいですか?」と綿密な相談も行えています。今後もうまく連携しながら、患者さんの食事が楽しくなるような入れ歯を作りたいですね。
診療の際に気をつけていることは何でしょうか。

患者さんと丁寧にコミュニケーションを取りながら、一緒に治療方針を決めるようにしています。「あなたにはこの治療がいいですよ」と、はっきりおっしゃる歯科医師もいると思いますが、私の性格上、患者さんのご意見も聞きながらご提案するほうが合っていると考えてのことです。状況に併せていくつかの選択肢を用意し、順番にご説明。そして、患者さんと一緒に悩み、納得できる治療を選んでもらうスタイルを採用しています。また、治療時のこまめな声かけも心がけています。特に麻酔を伴う治療では、痛みの感じ方は人それぞれですからね。痛みに強い方も痛みが苦手な方もいらっしゃるでしょう。患者さんの反応を見ながら麻酔液を注入する圧力を調整して、できるだけ苦痛の少ない治療をめざしています。
スタッフや患者に恵まれて、今の歯科医院がある
ちなみに歯科医師をめざしたきっかけは何ですか? また、継承の経緯も教えてください。

父が開業歯科医師だったことから、私も自然と歯科医師をめざしていましたね。大学を卒業した後は、父のもとで診療を行いつつ、他の歯科医院にも在籍し、歯科医師としての研鑽を積みました。継承については、父からは特に何かを言われたわけではありません。父を尊敬する思いと、患者さんのためにもこの歯科医院を残したいという思いから、この時も自然と継承をしようと決めていました。そのことからも、今でも昔ながらの父のスタイルを守っているのです。一方、子育て世代や女性の患者さんにももっと来ていただきたいと考え、内装をピンクベージュの壁紙に改装し、通院しやすい雰囲気をめざしました。
子育てをしながら診療をされていたそうですね。
そうなんです。私の夫も歯科医師ですが、それぞれ診療スタイルが違うことから、別の歯科医院で働いています。また、夫は私が仕事を大好きなのを理解してくれており、「仕事を辞めたらいけない。続けていきな」と後押ししてくれました。さらに、子育て中は母もそばにいてくれたのです。そうしたことから、子どもは2人いますが、ほとんど休むことなく仕事を続けることができましたね。ずっと支え続けてくれている家族や周りの方には感謝しかありません。
スタッフさんとの連携はいかがでしょうか。

当院はスタッフにも恵まれています。受付兼助手のスタッフは熟練で、患者さんとの関係も良好ですね。「今日初めて人と話します」という高齢の患者さんに対し、親身になって話を聞いてくれるので頼りになります。また、土曜日は大学生になる私の娘が受付を手伝ってくれています。父を知る患者さんからすると、親・子・孫と3代目になりますから、喜んでくださっているようです。患者さんが娘に父の話をしてくださるので、「患者さんからおじいちゃんの話を聞けてうれしい」と娘も言ってくれています。患者さんとの距離が近い歯科医院ならではの温かさがあるのかもしれませんね。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
今後も患者さんに寄り添いながら「来て良かった」と思われる歯科医院をめざしています。その一環として、痛みに恐怖感のある患者さんの苦痛軽減のため、表面麻酔の導入や自動の麻酔注射針の導入を検討しています。また、私自身も50代になった今、ふとした時にむせてしまい、口腔機能の維持の大切さを実感しているところです。高齢の患者さんに嚥下などの指導ができるように、私自身も勉強を続けていきたいです。自分の痛みや症状を一番理解しているのは患者さん自身です。「こんなこと相談してもいいかな?」と思うことでも、遠慮せず話してみてください。歯科医療に限らず、子育ての悩みなどに寄り添うこともできますので、困ったことがあればお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは義歯/35万円~、ホームホワイトニング/3万円~

