波多野 一 院長、大島 佳織 さんの独自取材記事
波多野歯科クリニック
(世田谷区/松陰神社前駅)
最終更新日:2023/10/18

東急世田谷線・松陰神社前駅から徒歩5分。世田谷区役所の向かいに「波多野歯科クリニック」はある。同院は1998年に開業し、一般歯科やインプラント治療、セラミック治療などを行う外来診療と、高齢者を中心とした患者への訪問歯科診療に長年力を入れている。2023年11月からは、訪問歯科診療への対応時間をさらに拡充する予定だという。インタビューでは院長の波多野一(はたの・はじめ)先生と、訪問歯科診療担当の歯科衛生士である大島佳織(おおしま・かおり)さんに話を聞き、同院の診療内容やクリニックの診療体制、今後の展望などについて詳しく教えてもらった。
(取材日2023年9月19日)
訪問歯科診療をさらに拡充予定
2023年11月より、以前から行われていた訪問歯科診療を拡充されると聞きました。

【波多野院長】はい。私は遡れば開業前の1996年から訪問歯科診療を始め、力を入れて取り組んできました。2023年9月現在も私と副院長、歯科衛生士とともに月曜日から金曜日まで、ご高齢の方のご自宅や施設に診療車で伺って訪問歯科診療を行っています。11月からは火曜日、木曜日、土曜日を外来診療にして、それ以外の時間は訪問歯科診療を行う予定です。訪問歯科診療を行う方は、介護保険を利用されているご高齢の方が中心です。
どういった体制で訪問歯科診療を行っているのですか?
【波多野院長】私と副院長、歯科衛生士3人の5人体制です。個人のお宅にはそれぞれ職員が分担して行きますが、週に1回、全員で介護施設に行き、たくさんの患者さんを一度に診ています。訪問先の介護施設の方にもたいへんご協力いただいていて、このような診療体制が成り立っています。
【大島さん】私はまだ当院に入職して1ヵ月ほどですが、最近まで勤務していた歯科クリニックでは訪問歯科診療に1年半ほど携わっていました。当院で訪問歯科診療に同行して感じているのは、体制が非常に充実していること。例えば何かトラブルがあって訪問先のお宅から連絡があったときは、基本的には当日中に対応可能です。お困りの患者さんにスピーディーに対応できるのは強みの一つではないでしょうか。
訪問歯科診療に力を入れるようになったのはなぜですか?

【波多野院長】学生時代、高齢になった祖母が入院した時に口腔ケアが行き届いておらず、かつ入れ歯も作ってもらえず訪問歯科診療をしている歯科医師にも応じてもらえず悔しい思いをしたから、というのが根底にあります。歯科医師になってからは、世田谷区の歯科医師や、内科やリハビリテーション科の医師など、訪問診療に意欲のある方々が参加する「在宅診療研究会」を立ち上げました。その後1996年に、開業に先立って訪問歯科診療の部署を設立しました。当初は、開業医だった私の両親に介護施設や療養型病院を紹介してもらい、訪問歯科診療の依頼を引き受けていました。現在もそうですが、訪問歯科診療においては、医科の先生とは連携する機会は多いですね。ご高齢の患者さんで抜歯が必要な時は、まず内科の先生に相談して、診断書をいただいてから行うようにしています。循環器の病気や糖尿病などの基礎疾患がある方は、抜歯に注意が必要になるからです。
訪問歯科診療では口腔ケアを特に重視
訪問歯科診療で行っている診療について教えてください。

【波多野院長】患者さんはご高齢の方が多いので、義歯を作ることなども多いですが、一番大切にしているのは予防歯科診療です。特に口腔ケアを重視していて、患者さんに専用の機械を使って歯のクリーニングと研磨を行うPMTCを実施することもあります。特にご高齢の方は、口腔内のお手入れをしていないとすぐに歯が弱ってしまう傾向があります。また、口腔内が汚れていることにより、誤嚥性肺炎を起こしてしまう可能性もありますから、定期的な口腔ケアが重要です。
【大島さん】介護はご家族の負担も大きく、特に老老介護のような状態だと、食事や着替えといった日常のサポートに時間が取られるので、なかなか口腔ケアまではサポートできないのが実情です。少しでも介護される方のご負担を減らしたいという気持ちで業務を行っています。
予防のために丁寧な口腔ケアに取り組まれているのですね。
【波多野院長】そうですね。PMTCの他にも、ご高齢の方には月1回、フッ素を塗布しています。実はフッ素による虫歯予防に関しては、日本は世界に比べて遅れているといえます。海外では水道水にフッ素が入っている国もあるんですよ。フィンランド人は歯を磨く習慣が日本人に比べるとあまりないそうですが、80歳で残っている歯は、日本人よりもフィンランド人のほうがかなり多いといわれています。この話だけでも、フッ素の重要性がわかるのではないでしょうか。当院では、外来診療でPMTCを受けられる方にもフッ素塗布を実施しています。継続的な予防のためには、4~5ヵ月に1回は通院していただき、クリーニングを定期的に行うことを推奨しています。
外来診療のお話がありましたが、外来の患者さんにはどのような診療をされているのでしょうか。

【波多野院長】外来診療では虫歯などの一般歯科治療はもちろん、矯正、インプラント治療、審美性に配慮したセラミック治療にも対応しています。セラミック治療に関してはCAD/CAMシステムを導入していますので、その日にかぶせ物や詰め物の作製が可能です。修復物を外注するとその分治療に時間がかかってしまうので、院内で完結すれば患者さんの負担も少なく済むでしょう。今後は訪問歯科診療に注力していきますが、私や副院長も週3回火曜日・木曜日・土曜日は外来診療を担当する予定です。
これからも地域の歯科医療に貢献
クリニックの今後の展望について教えてください。

【波多野院長】私には息子が2人いまして、現在2人とも歯科を学ぶ大学生です。いずれはその2人が当院を継ぐことになるかと思います。その際のリニューアルオープンに向けて、現在院内を改装中です。それまでは、訪問歯科診療に力を入れていきたいと考えています。私もある程度の年齢になりましたので、今後は外来診療を息子たちに任せて、好きな訪問歯科診療を中心にやっていきたいという気持ちもあります。
お忙しい毎日かとは思いますが、何かご趣味はありますか?
【波多野院長】隔週で、2週間に1回ですが、仏堂に通って大学や論語を勉強しています。好きな言葉は「仁」で、これは論語の根本にある「人を思いやる」という意味があります。ことわざの「医は仁術」の「仁」ですね。当院の待合室にも、以前気に行って購入した「仁」の文字の書を額に入れて飾っているんです。
最後に読者の方へメッセージをお願いします。

【波多野院長】私は「自分自身が受けたいと思う治療を患者さんにも提供していきたい」という想いで長年診療にあたってきました。これからも訪問歯科診療と予防歯科に力を入れて、地域の皆さんのお役に立てればと考えています。また、患者さんやそのご家族とも密にコミュニケーションを取りながら、「治療して終わり」ではなく、関係性を保って継続的な診療にあたっていきたいと思います。ご高齢で通院が難しい方をはじめ、訪問歯科診療が必要な方はぜひ当院までご連絡ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックインレー:1本5万5000円~、スタンダードなセラミックよりも強度のあるタイプのセラミック:1本6万6000円~、セラミックフルカバー:1本6万6000円~、インプラント上部構造:11万円~、インプラント本体:33万円~、マウスピース型装置を用いた矯正:上下88万円~、歯列矯正:88万円~、PMTC:5500円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供を行っております。
カスタムメイド矯正装置(マウスピース矯正)については、効果・効能に関して個人差があるため、 カスタムメイド矯正装置(マウスピース矯正)を用いた治療を行う場合は、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。