倉田 修身 院長の独自取材記事
倉田歯科
(奈良市/富雄駅)
最終更新日:2021/10/28

奈良市でも有数の郊外住宅地として知られる富雄エリアにあり、開業以来およそ30年にわたって地域住民の歯の健康を守り続けてきた「倉田歯科」。富雄駅から歩いて約4分と立地も良く、院内は徹底したバリアフリーの設計だ。通路や診察室にも広さに余裕があり、車いすのまま受診することもできる。「患者の希望を断らずに診る」ことをポリシーにしているという倉田修身院長は一般歯科を担当し、日本小児歯科学会小児歯科専門医である院長の娘が小児歯科を診療。専門性の高い治療を受けることができる。通院困難な患者には訪問歯科診療で対応するなど、地域のかかりつけ医として尽力。「できる限り患者に寄り添った診療を続けたい」と語る倉田院長に、いろいろと話を聞いた。
(取材日2021年8月2日)
一般歯科を中心として小児歯科も専門的に診療
まず、この場所で開業された経緯をお聞かせください。

岐阜歯科大学を卒業して、大阪府の上本町にある勝間歯科医院に6年ほど勤務してから、こちらで開業しました。生まれも大阪ですが、結婚して奈良市に転居し、自宅の近所で開業するための場所を探していたんですが、大型スーパーがオープンするということでテナントを募集していたことから、開業に踏み切りました。そこで約20年診療していましたが、今から10年ほど前に、この場所に移転しました。当初は右も左もわからないような手探りの状態でしたが、開業すれば患者さんは来てくれるものだと思っていました。当時この辺は農家が多く、患者さんもそういったご家族の方がほとんどでした。その後宅地開発が進み、土地柄から患者さんの層などもだいぶ変わってきましたね。
年齢層や症状など、どんな患者さんが多いですか?
開業以来ずっと来てくれている患者さんも多いので、高齢の方も少なくありませんが、そういった方のお子さんなどご家族もいらっしゃるので、全体的な年齢層はさまざまです。小さかったお子さんも大きくなって親になり、自分のお子さんを連れて来られることもあります。昔は虫歯のお子さんが多かったですが、現在は予防のほうが主体になっていますね。ちなみに娘は歯科医師で、当院で小児歯科の診療を担当しているんです。
先生が力を入れている診療分野を教えてください。

僕自身は一般歯科診療を幅広く受け持っています。以前は小児歯科も自分で診ていましたが、お子さんが増えてきて1人では手が回らなくなってきたと娘に話したところ、自分が小児歯科を診ようかと言ってくれて、任せることにしました。患者さんにとっても小児歯科専門医に診てもらえるのならそのほうが良いだろうと思いました。特に歯が生え替わる時期など、診断が難しいケースもありますからね。それ以外の分野を私が診ています。診療の内容はさまざまですが、高齢の方の入れ歯の作製や調整などが多いかなという印象です。
できる限り患者の希望に沿った治療を心がける
診察時に心がけていること、歯科医師としてのポリシーをお聞かせください。

「患者さんの希望を断らずに診る」ということですね。できる限り患者さんの希望をお聞きして、それに沿った治療をすることを開業時以来のポリシーにしています。例えば「歯を抜きたくない」と希望する患者さんに対しては、できるだけ抜かずに済むように治療します。もちろんその中には、どうしても無理なこともありますが、「こうしてほしい」という希望があれば、できる限りそれに応えられるような治療を心がけています。
そういった診療の方針や姿勢などで影響を受けた先生はいらっしゃいますか?
大学卒業後初めて勤務した勝間歯科医院の勝間先生です。歯科とは、歯科医師とは、というところからすべて教えていただきました。患者さんへの対応の仕方やクリニックの経営のことなども含め、本当にいろいろなことを学びました。僕は矯正の先生に縁があるようで、勝間先生を紹介してくださったのも、大学の矯正の先生でした。勝間先生のもとでは、自分が当時学びたいと思っていた矯正について教えてもらいながら勤務医を務めました。幅広い診療を手がけるという姿勢も、勝間先生から受け継いだものです。
訪問歯科診療もされていますね。

訪問歯科診療は、この場所に移転してから始めました。それまでは2階だったので階段の上り下りが大変でしたが、ここは最初からバリアフリーにして、靴も脱がずに入ることができて、車いすのままでも診療できるように造りました。それでも来院が難しいという方がいらっしゃるので、訪問歯科診療にも対応することにしました。現在は月に1回、3ヵ所の施設に定期検診で行き、その施設内でできる治療はその場で行っています。それ以外の日は、診療の休み時間などを利用して行っています。歯科医師のいない病院からの依頼で入院患者さんの治療に行くこともあります。もちろん自宅で診てほしいという方には、お伺いして治療します。できることに限りはありますが、自分に可能なことはしたいと思っています。場所が遠いときなどは昼休みがつぶれてしまうこともあり、大変なこともありますが、患者さんに喜んでいただけることこそがやりがいなのです。
患者に寄り添った歯科診療を提供し続けたい
先生が歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。

高校時代は医学への道へ進もうと考えていましたが、本来手先が器用だったこともあり、その技術を生かせる歯科のほうが自分には向いているかもしれないと思ったことがきっかけです。生まれが大阪でしたから、大阪歯科大学も進路の候補に上がっていましたが、高校時代からアメリカンフットボールをやりたいと思っていたので、アメフト部のある岐阜歯科大学を選びました。親も仕事が医療関係ではなかったせいか、特に反対されることはありませんでしたね。
ご自身の体と歯の健康のために実践されていることはありますか?
もともとスポーツが好きでした。ただし、高校の部活動にはアメリカンフットボール部がなかったのでサッカーをやっていました。それもあって大学ではアメリカンフットボールがやりたいと思っていました。現在もスポーツは好きで、休日にはジムなどに行ってトレーニングはしています。あとは、何か食べたらすぐに必ず歯磨きをしています。毎日これでもかというくらい磨いていますよ(笑)。
今後の展望と、読者へのメッセージをお聞かせください。

これからもできる限り患者さんに寄り添った診療をしていきたいと思っています。ただ現在は新型コロナウイルス感染症の流行による制限があるので、難しいことも多いですね。クリニックの体制づくりとしては、うまくできているとは思っていますが、万が一ということもありますから念には念を入れています。歯科では電話やオンラインで診察してお薬を出すといったことはできませんからね。実際に患者さんに来てもらい、口の中を目で見て手で触って診療しなければいけません。それだけ院内感染のリスクがあるということですから、消毒などの衛生管理は徹底して、待合室も密にならないように予約数を調整しています。歯科医師としてやりたいことはまだたくさんあるんですが、僕自身も高齢になってきて、時間にも場所にも限りがあります。そういった制限の中でも、自分のできる限りは、地域のかかりつけ医として医療貢献をしていきたいと考えています。