患者の安心を支える「見えない努力」
スタッフ教育の現場をのぞく
楠原デンタルクリニック
(奈良市/近鉄奈良駅)
最終更新日:2026/04/06
- 保険診療
「現状維持バイアス」という言葉がある。変化や新しいことへの挑戦・失敗を恐れ、現状を維持しようとする傾向を指すものだ。この現状維持バイアスがかかっていると、急速に変化する時代においては後退につながる恐れがある。「楠原デンタルクリニック」では、そうした事態に陥ることがないよう、スタッフの教育に注力している。スタッフのスキル向上は、より質の高い診療の提供はもちろん、患者との信頼関係づくりにも良い影響を与えているそうだ。取材では、「一歩踏み出してトライすることを大事にしています」と語る楠原康平院長に、同院の特色ある教育制度やスキル向上が診療にもたらすメリットなどについて聞いた。
(取材日2026年3月12日)
目次
仕事に対する自信、そして患者との信頼関係の構築につなげるために、一人ひとりのスキルアップを重視
- Qスタッフ教育に力を入れているそうですね。
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A
▲予防歯科に力を入れ、新しい情報を丁寧に伝えてくれる
より質の高い診療を提供するためには、私を含めてスタッフ全員が、スキルアップし続ける必要があるからです。いくら「良い診療を提供したい」と思っていても、その思いを支える自信がなければ、患者さんの要望には応えられません。患者さんに親身に寄り添った診療も、自分がしっかりと対応できるという自信があって、初めて成り立つものでしょう。また、自信がないと一歩を踏み出しづらいもの。そこで、当院ではさまざまな知識・技術を身につけられる学びの機会を設けて、スタッフに自信を養ってもらおうと考えました。自信を持って働くことは、自身の仕事に対してやりがいや誇りを持つことにもつながると考えてのことです。
- Qクリニックではどのような教育体制を敷いているのですか?
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A
▲良質な医療を提供するため院内勉強会を定期的に実施
歯科医療に関する知識・技術や接遇など、業務に直結する内容の他、ライフプランニングや整体によるセルフケアなど、より良い働き方・生き方に関わるテーマを取り入れています。ライフプランニングを意識すると、将来の目標に向けてどのようなスキルが必要か考えるきっかけになると思い採用しました。また、整体の知識を習得して自身のコンディションを良い状態に整え、患者さんに接することも大切でしょう。当院では、勉強会は診療時間中に行います。診療時間後や休日に学ぶ方法は継続のハードルが高いですからね。加えて、皆が一斉に学ぶことで共通認識が生まれ、実際の業務に新しい試みなどを取り入れやすくもなると思ったからです。
- Qスタッフさんの成長が診療にどのように生かされていますか?
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A
▲定期的な勉強会でアップデートされた治療を患者に提供
学び続けることで、アップデートされた治療や情報を提供できるようになることが勉強会のメリットです。当院には多くの患者さんが定期的に通院されています。そうした患者さんに、毎回同じような診療やアドバイスを繰り返していると、患者さんは「またか……」と飽きたりうんざりしたりすると思うんです。場合によっては、定期通院を中断してしまうかもしれません。通院の度に診療がアップデートされ、新しい情報が聞けるのであれば、患者さんは新鮮さを常に感じることができ、健康への意識向上にもつながるでしょう。スタッフにとっても、積極的に新しい情報や技術を提供できる状況は、スキルのブラッシュアップになると思っています。
- Qスタッフさんの中には管理栄養士もいらっしゃるのですね。
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A
▲全身の健康を考えた食育指導を行っている
ええ。私と管理栄養士で、栄養や食事のアドバイスを行っています。歯科医院での栄養指導を求める患者さんは少ないでしょう。ですが、治療後の再発を防ぐためには、毎日の食事や栄養についての見直しと改善が不可欠なのです。また、毎日の食事は全身の健康とも深く関わっています。食生活を見直すことで、現在服用中の薬の減量につながるかもしれません。患者さんには、食事や栄養の大切さを専門的に指導できる管理栄養士という、素晴らしい職種があることを知っていただけたら幸いです。管理栄養士にも、自分の仕事にもっと自信を持ってもらえたら何よりですね。
- Q充実した教育体制の維持は、負担が大きいのでは?
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A
▲「継続的な学びにより診察の質を高めていく」と話す楠原院長
短期的に見れば負担になるでしょう。ですが、診療の質を高めることは、結果的にクリニックにとって良い影響をもたらしています。なぜなら、学び続けることでスタッフは仕事の大切さを深く理解でき、大きな自信につながるからです。そうした自信は患者さんにも伝わり、信頼していただけるきっかけになります。さらに「先生やスタッフさんが言うならやってみようかな」と、必要な検査や治療にも前向きに取り組んでいただきやすくなります。こうした良い循環によって、より良い診療環境を維持・発展させ、スタッフにも還元できる体制が整っていきます。これからも、スタッフ一人ひとりの目標や興味に合わせて学べる環境づくりに力を入れていきます。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

