楠原 康平 院長の独自取材記事
楠原デンタルクリニック
(奈良市/近鉄奈良駅)
最終更新日:2026/04/06
近鉄奈良駅から徒歩3分、商店街が続く三条通りに面した「楠原デンタルクリニック」。楠原康平院長は大阪歯科大学を卒業後、口腔外科での経験を経て、2016年に父の医院を継承する形で開業した。「歯医者は食べ物を通じて健康に特化できる」という言葉に出会ったことをきっかけに、治療から予防重視へと方針を転換。歯周病・むし歯の重症化予防、食育・栄養のアドバイス、口腔育成の三本柱を掲げ、「健康な人が通う歯科医院」として地域に根づいている。親しみやすい笑顔が印象的な楠原院長に、同院の診療ポリシーなどを聞いた。
(取材日2026年1月27日)
痛くなってからではなく「健康な人ほど通う」歯科医院
「健康な人が通う歯科医院」とはどういうことでしょうか?

当院では医療ビジョンとして3つの柱を掲げています。1つ目が歯周病・むし歯の重症化予防、2つ目が専門知識に基づく食育・栄養のアドバイス、3つ目が乳児期、小児期からのお口育てです。この三本柱をもとに、予防に注力した歯科診療を実践しています。よく「歯医者は痛くなってから行く所」と思われがちですが、実は病気になっていなくても通えるのが歯科医院の特徴なんですよね。医科の場合は症状がなければ受診しづらいかもしれませんが、歯科は定期的なメンテナンスという形でお越しになりやすいでしょう。その特性を生かし「口の健康を通じて、人々の幸福に貢献する」を理念に掲げています。痛くなってから駆け込むのではなく、健康なうちからお口の状態を一緒に守っていくことをめざす。そんな場所でありたいと思っています。
予防の重要性に気づくきっかけがあったのでしょうか?
勤務医時代にある講習会に参加したことが大きな転機になりました。食育を専門とする先生が「歯医者は食べ物を通じて健康に貢献できる」とおっしゃっていて、その言葉に衝撃を受けたんです。それまでの私は、悪くなった歯をどうやって治療するかということばかり考えていました。けれど、そもそも悪くならないようにするのが一番いいんじゃないか、と。まさに予防の考え方ですよね。しかもそれは医科ではなく歯科だからこそできるのではないかと考えました。その後、予防について勉強を重ねていきましたが、当時勤めていたのは治療中心の病院でしたので自分のやりたい診療を実践するために独立を決意しました。父が同じ地域で開業していたこともあり、その医院を継承する形で2016年に開業したという経緯です。
患者に特別感を味わっていただくための取り組みについて教えてください。

2階にホワイトニング専用のスペースを設けました。一般の診療スペースとは分けることで、患者さんに特別感を味わっていただきたいという思いがありました。特別な場所で過ごせると人はうれしいものですし、そうした体験が口の健康への意識を高めるきっかけにもなります。タオルやブランケットの掛け方一つにも気を配り、まるでVIPのような接遇を心がけています。こうした取り組みはスタッフにとってもプラスになっていて、専門職としての意識を持って診療にあたる姿勢が自然と身についていきます。患者さんの喜びがスタッフの自信につながり、それがまた患者さんに還元されるという好循環が生まれていますね。
削らない治療・栄養指導・口腔育成で健康寿命を支える
削らない・傷つけない治療に力を入れているそうですね。

当院では保険診療のメンテナンスにお越しいただいた際、すべての患者さんにエアフローという機器を使用しています。これは微細なパウダーを吹きつけて歯の汚れを落とすもので、従来のスケーリングや着色除去と比べて歯を傷つけにくいという利点があります。もう一つ大切にしているのは「むし歯=削る」という考え方からの脱却です。たとえむし歯が見つかっても、初期のものであれば削らずに維持管理していく方法があります。どうやって重症化させないか、そのための知識をお伝えし、患者さんご自身で管理していけるようサポートするのが私たちの役割。削って詰めるだけが歯科治療ではないということを多くの方に知っていただきたいと思っています。
栄養と口腔内の状態は関係性があるとお聞きしました。
栄養について専門的に学び、その知識をもとに栄養面からのアプローチも行っています。健康診断では異常がないと言われているのに体調が優れない方は結構いらっしゃるんですよね。そういう方の中には、栄養が足りていないケースがあると考えられます。歯茎の炎症がなかなか治まらない、むし歯になりやすい、食いしばりがあるといった症状も、実は栄養状態と関連していることがあるとされています。すべてが栄養だけで解決するわけではありませんが、そこからのアプローチも選択肢として持っておくことが大切だと考えています。当院には管理栄養士の資格を持つスタッフも在籍しており、健康診断の結果などをもとにアドバイスをお伝えすることができます。食生活という身近なところから健康を見直すお手伝いをしています。私自身も夜は子どもと同じ時間に寝て、朝は4時に起きて、健康を考えた朝食やお弁当を家族に作っています。
子どもの矯正が必要ないように育てる方法があるとか。

口腔育成というと矯正治療をイメージされる方も多いと思いますが、私が大切にしているのはその前の段階です。そもそも矯正が必要ないようにするためにどうやって育てていくかという情報を、妊娠中や生まれた直後からお伝えするようにしています。授乳の姿勢や抱っこの仕方など、何も知らないよりは知っておいたほうが明らかにメリットがあります。とはいえ、お母さんは忙しいですから、すべて理想どおりにはできません。ですので、理想ばかりお伝えするのではなく、個々の生活環境に寄り添った指導を心がけています。必要に応じて咬合の誘導のためにマウスピース型装置を用いたサポートも行いながら、それぞれのご家庭に合った形で支えていきたいと考えています。
人生を守る歯科医療と、学び続けるスタッフの存在
ホワイトニングが「予防」につながるとは……?

ホワイトニングは実は予防につながる取り組みなんです。白い歯をめざすこと自体は、言ってしまえばおまけのようなもの。本当の目的は、患者さんに自分の口の中に自信を持っていただくことにあります。白くなって嫌だという人はまずいません。自信が持てると「この歯を大事にしたい」という気持ちが自然と芽生えてくるんですよね。例えば高級車を持っていて、それに自信があったら、きれいに磨いて維持しようとしますよね。歯もまったく同じなんです。40代、50代の方が多いのですが、80歳以上の方から施術を希望する声もききます。歯さえあれば年齢は関係ありません。この施術で患者さんが喜んでくだされば私自身もうれしいですね。見た目の改善を図ることをきっかけに、予防への意識を高めることをめざす。そんな入り口としてホワイトニングを位置づけています。
非常にスタッフ想いな先生とお聞きしました。
院内での勉強会を月に2回のペースで実施しています。内容はホワイトニングや歯周病といった専門的なものから接遇まで多岐にわたり、ライフプランナーをお招きして人生設計について考える機会を設けたこともあります。スタッフには今就いている職業に自信を持ってほしいんですよね。なんとなく毎日を過ごすのではなく、20年後、30年後のことを考えながら今を生きるほうが絶対に充実した日々になります。そういった多角的な学びが、結果として患者さんへの還元につながると信じています。今後はさらに予防や健康のための取り組みを進めていきたいと考えていて、管理栄養士を増やしてスタッフ向けの食堂を作ることも構想中です。栄養を考えた食事で、まずはスタッフ自身が健康であることを大切にしたいのです。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

私の座右の銘は「医者は患者の命を救うことをめざす職業で、歯医者は患者の人生を救うことをめざす職業」です。歯がなければご飯も食べられないし、会話も楽しめない。長い人生を考えた時、食事というのは本当に大切なことです。そして、口の健康と全身の健康がつながっていることは証明されています。もちろん、人生において健康がすべてではありませんが、健康を失うとすべてを失ってしまいます。仕事や家族のために頑張ることは素晴らしいことですが、ご自身の健康を後回しにしてしまう方も多いのが現状ではないでしょうか。何も特別なことではなく、まずは身近なところからで良いと思います。歯科医師と一緒に口の健康を意識していただくことが、人生を守るための第一歩ですよ。
自由診療費用の目安
自由診療とはオフィスホワイトニング/1万5400円、ホームホワイトニング/2万8600円、マウスピース型装置を用いた咬合誘導/5万5000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

