田崎 修平 院長の独自取材記事
田崎胃腸科内科
(世田谷区/駒沢大学駅)
最終更新日:2025/09/19

世田谷区深沢にある「田崎胃腸科内科」は、胃や食道、大腸、膵臓など、消化器を中心に内科全般の診療に対応するクリニックだ。開業から30年を経た同院で院長を務める田崎修平先生は、日本内科学会総合内科専門医や日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を有する、消化器内科と内視鏡検査のエキスパート。がんの早期発見に貢献するため、精密な内視鏡検査やエコー検査に注力している。2011年に現在の場所に移転し、院内はユニバーサルデザインのトイレやエレベーターを設置し、バリアフリーに配慮した造りになっている。また、論文投稿などにも力を入れ、より幅広く先端の医療にも目を向けている。地域住民の健康のために心血を注ぐ田崎院長に、内視鏡検査や力を入れている研究などについて尋ねた。
(取材日2025年7月14日)
内科の専門家として知見と経験を蓄積
先生が消化器内科を専門とされたのはなぜでしょうか?

父が産婦人科のクリニックを開業しており、幼い頃から診療室に顔を出していました。父の背中を見て育ったので、医師になる道は自然と歩み始めていましたね。消化器内科に進むことになったきっかけは、産婦人科や外科で当時使われていた薬剤がどうしても肌に合わなかったことと、ちょうどその頃家族が大腸の病気を患ったことです。また、医学部で学んでいる頃、「今後は大腸がんをはじめとした大腸疾患の罹患率が高まるだろう」と予想しました。なぜなら、食事の西洋化が進んでいたからです。ハムやソーセージといった加工肉は、大腸がんのリスクを高めるといわれています。実際に、日本の女性の部位別がん死亡数の1位は大腸がんです。
日本内科学会総合内科専門医とはどのような資格ですか?
総合内科専門医とは、幅広い分野での医療知識と臨床能力を評価する資格です。血液内科や神経内科、膠原病内科、内分泌内科、また循環器や呼吸器など、総合的かつ専門的に学ぶ必要があります。受験の際にも条件がありますが、5年ごとの更新の際には勉強会の参加と講習を受講し、毎回セルフトレーニング問題に合格しなければなりません。
お忙しいかと思いますが、休日はどのように過ごしているのですか?

少し前までは、体力づくりも兼ねてマラソン大会に出場していました。東京で3回、ホノルルで1回、ハーフマラソンは11回完走しました。また、13年ほど前から絵画教室に通っていまして、油絵を描いています。待合室に飾っている絵も私の作品です。それから週1回、オンラインで英会話も習っています。現在は英検準1級をめざして勉強中です。割とコツコツ続けるのが好きなほうですね。
患者の負担に配慮した丁寧な検査で、病原の探知へ
内視鏡検査に注力されているのはなぜでしょうか?

もともと内視鏡専門の教授のもとで学んでいましたし、消化器病専門医と消化器内視鏡専門医の資格も有していますので、より専門的な検査ができるよう努めています。というのも、内視鏡写真の質は、撮影の仕方によって大きく変わるからです。当院では長いときは30分ほどかけて丁寧に観察します。見つけるつもりで探さなければ、見つかるものも見つからないのです。以前に比べて内視鏡検査の機器も技術も発達していますが、やはりある程度の負担を感じられる患者さんが多いため、楽な状態に保つため鎮静剤を使っています。検査中は常に酸素飽和濃度と覚醒度を注視し、終了後は覚醒を促すため拮抗剤を投与して、安全に帰宅できるよう配慮しています。
研究活動も積極的に行われているそうですね。
開業後も休診日に病院で内視鏡を行い、がん研有明病院で学び、勉強会での発表や論文投稿に力を入れ、最近では年2回ほど発表をしています。2011年には、胃底腺ポリープという悪性度の低いポリープからがんを3例発見したことを英文の論文としてまとめました。また、消化器内科の専門誌にも、専門の先生からご推薦いただき、「開業医における胃炎の京都分類」に関する論文を16ページにわたって掲載していただいています。日々の診療の中でも努力を続け、好酸球性食道炎や自己免疫性胃炎といった珍しい症例も、当院で見つけられるよう努力しています。他院では見逃されてしまうような症例でも見つけられるよう、引き続き精密な検査を行っていきます。
他に、こちらではどのような検査が可能なのでしょうか?

腹部や頸動脈を診ることができるエコー検査装置や血圧脈波検査装置、エックス線検査機器を備えています。内視鏡は管状の臓器の検査をするものなので、胃や食道、大腸の検査に用います。背面側にあって見つけにくい膵臓の疾患はまずエコー検査や血液検査で調べ、異常や疑いが認められる場合は、大学病院や画像検査・診断を行う専門機関でMRIやMRCPなどを受けていただきます。消化器内科を専門とする総合病院や医師とのパイプもあるので、必要に応じて適切な医療機関にご紹介しています。
地域の医療機関と連携し、がんの早期発見に貢献
がんの早期発見への取り組みについて、詳しく伺います。

「駒沢・深沢地域から胃がん、大腸がん、膵臓がんで亡くなる方を減らしたい」というのが、私の開業医としてのポリシーです。もし食道がん、胃がん、大腸がんを早期に発見できれば、開腹手術ではなく内視鏡手術で切除することできます。発見が難しい膵臓がんであれば、早期であれば先に手術、ある程度進行していたら抗がん剤治療の後に手術などの方法があり、がん研有明病院、昭和医科大学病院とも連携しています。現在は世田谷区医師会と玉川医師会の先生方と一緒に、膵臓がんの早期発見プロジェクトの立ち上げに携わっています。県や市、大学病院では例がありますが、区単位でこのような取り組みをしている所はあまりないと思います。
がんを告知する際に意識していることはありますか?
早期であれば「信頼できる先生にご紹介します。早く見つけられて良かったですね」と伝えて、安心してもらえるようにしています。今では進行がんでも治療できるようになり、諦めずにがん研有明病院など、適切な医療機関で治療できるよう連携しています。
どんな方にがん検診を勧めているのですか?

40歳を過ぎたら一度受けていただきたいですね。中でも、がんのリスクが高い方には特に定期的ながん検診をお勧めしています。例えば、ピロリ菌の感染履歴がある方は胃がん、お酒を飲むことが多い方は食道がん、糖尿病を患っている方や肥満気味の方や親族に膵臓がん患者がいる方は膵臓がんのリスクが高いといえます。むやみやたらに検査を勧めることはしていませんが、少しでも違和感を感じたら早めに検査にお越しいただきたいと思います。
読者の皆さんへメッセージをお願いします。
がん検診率の向上をめざして呼びかけを行ってきましたが、残念ながら現在のところ、世田谷区のがん検診の受診率は低いと言わざるを得ません。いうまでもなく、がんは早期発見が何より大切です。進行する前に発見できれば治療につなげられます。何かあれば最後までフォローいたしますので、ぜひ積極的に検診を受けていただきたいです。たとえ病状が進行し、ステージ4であっても、諦める時代ではありません。患者さんご自身やご家族のためにも、希望を持って治療に取り組めるよう、私自身も日々研鑽を重ねてまいります。