民上 良将 院長の独自取材記事
みかみ歯科クリニック
(北葛城郡広陵町/大和高田駅)
最終更新日:2024/05/15

近鉄大阪線の大和高田駅からバスで11分、大垣内停留所のすぐ前にある「みかみ歯科クリニック」。院長の民上良将(みかみ・よしまさ)先生の祖父が開業し母が継いだ歯科医院の名称を改め2023年11月、すぐ近くに移転開業したクリニックだ。院内は木目を基調とし、上品な和のテイストが印象的だ。待合室は、リビングルームに迎えられたようなリラックス感が漂う。民上院長は大阪歯科大学の歯周病学講座の助教として歯周病の研究や治療に携わっていた経験を生かし、患者自身の歯でしっかり噛んでもらえるよう予防を中心とした治療を行っている。「歯を抜いたら負け」と考え、穏やかな人柄ながらも歯科医療には熱い思いを持つ歯科医師だ。そんな民上院長に、クリニックのこだわりや、めざす診療について話を聞いた。
(取材日2024年4月17日)
できるだけ多くの歯を残すためのサポートをしたい
先生の経歴と、開業までの経緯を教えてください。

2001年に大阪歯科大学を卒業後、同じ大学の大学院で4年間学んで歯学博士を取得し、そのまま非常勤講師として1年間在籍しました。その後、大阪歯科大学の歯周病学講座の助教に採用され長年務めた後、父親が院長をしていた奈良市の「民上歯科診療所」を継いだのですが、そこは現在同じ歯科医の妻に任せています。私は祖父が広陵町で開業し母が継いだ歯科医院が老朽化したこともあり、2023年11月に移転開業しました。
こちらのクリニックのこだわりを教えてください。
歯科医院は削ったり抜いたりといった治療をすると思われがちですが、当院は歯周病治療を専門にしていた経験を生かし、できるだけ患者さんの歯を残して生涯、自分自身の歯で噛むお手伝いをしたいと考えています。ゆりかごから墓場までという言葉がありますが、歯科医療を通して患者さんの人生に関わっていきたいですね。往診にも力を入れていて、寝たきりなどで通院が難しい方の歯も、院内と同じスキルと設備で診させていただいています。また、当院には歯科衛生士が正社員とアルバイトを合わせて5人いるのですが、患者さんのメンテナンスを任せっきりにすることはしていません。まずは私と歯科衛生士で診療してから、歯科衛生士にケアの内容を指示します。そして、終わった後はどのようなケアをしたのか報告書を書いて提出してもらい、確認しています。
先生は予防歯科に力を入れていらっしゃるのですよね。

歯科医療は予防がすべてで、治療はそれに付随するものだと考えています。私は歯を削ったり、抜いたりするのは負けだと思っていますから。歯は削ると弱ってしまうため、虫歯や歯周病の早期発見と早期治療が大切です。歯が痛くなってから歯科医院を受診するのではなく、美容院にカットしに行くのと同じ感覚で、定期的に気軽に通ってほしいと思います。予防のために歯周病の原因となるプラーク(歯垢)や、細菌を取り除くことが大切です。メンテナンスのためだけに通うことをためらわれる方がいらっしゃるかもしれませんが、長い目で見たら歯を残すことにつながりますし、かぶせ物をするといった治療の費用も抑えられるかもしれません。「定期的に歯科医院に通って良かった」と思ってもらえるのが理想です。
清潔で、ほっとリラックスできる院内環境に
どのような患者さんが多いですか? また、患者さんと接するときに心がけていることを教えてください。

この辺りは古くから続く集落があるため高齢の方が多く、祖父の代から引き続き来院してくださっている患者さんもいます。その一方、田んぼが新しい住宅地に生まれ変わり人口が増え続けている地域なので、お子さんの患者さんも多いですね。患者さんと接するときは信頼関係を築くために、対話を大切にしています。わからないことがあればどんどん聞いてほしいですし、私もいろいろなことを説明させていただきたいです。安心して通っていただきたいと思っています。
院内は温かみがあって、とてもすてきですね。
歯科医院は怖いイメージがあるので、木を多く使ったり、油絵をたくさん飾ったりして家のリビングのようなリラックスできる雰囲気を演出しています。油絵はすべて母方の祖父の作品なんです。祖父は歯科医師をしながら絵描きもしていて賞を取ったり、個展を開催したりしていました。数ある作品から季節に合った、明るい作品をピックアップして飾っています。院内は衛生管理にも気を配っていて、治療に必要な器具はすべて超音波洗浄機で滅菌をし、個包装にしているんです。
こちらでこだわって取り入れている器具はありますか?

デジタルのエックス線撮影装置と歯科用CT、細菌を観察する顕微鏡、口腔外バキュームも置いています。中でも一番こだわって取り入れたのは歯科用超音波スケーラというメンテナンス用の機器です。歯垢をしっかり取り除くことが期待できる上、患者さんの口内の組織を傷つけにくく、従来の機器よりも痛みが少ないのが特徴です。歯周病治療を得意とし注力している当院としては、いいメンテナンス機器を導入するのが必須だと考えています。
歯科医療を通じて、一生の健康を支えたい
歯科医師になってから、心に残るエピソードはありますか?

大学を卒業して大学病院で勤務を始めた駆け出しの時に、歯周病の患者さんの担当になりました。その方の歯の状態はあまり良くない状態でしたが、諦めずに、根気強く治療に通ってくださったんです。治療が終わった時、とても喜んでくれたことが今も印象に残っています。しかも、奈良県在住の方だったので、私が大学病院を辞める時に「先生のところに通いたい」とまでおっしゃってくださって。もうかれこれ20年以上お付き合いさせていただいています。長年、通院していただけるのは、本当にうれしいものです。
先生はどのようにリフレッシュをされているのですか?
戦国時代の歴史が好きで、歯科の勉強会に参加した後、その土地のお城を巡るのを楽しみにしています。広大な山城が好きで、これまで行ったところでは石川県の能登半島にある七尾城の城跡が好きですね。新潟県上越市にある春日山城跡もお気に入りです。山城は自然の地形を生かして城を造っていて、山全体を見下ろせるのが良くて。そういったお城に行って、戦国時代の歴史に思いをはせています。また、休日は健康を考えて自宅近くの奈良公園を妻とウォーキングすることも多いです。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

これからも患者さんの歯は1本たりとも抜きたくないですね。どうしても抜歯しなければならない場合もありますが、先ほども申し上げたとおり基本的に「歯を抜いたら負け」と思っていますので。歯って意外と丈夫なんです。怪しいなと思う場合も、しっかりメンテナンスに通っていただくことで、抜歯を回避することができるかもしれません。患者さんの歯を守って一生の健康を支えていきたいと思っていますので、歯に関する悩みや不安ができたら、どんなことでも気軽にご相談ください。「歯を抜くと言われたけど、本当にそうしないといけないのだろうか」といった疑問にもお応えしますので、ぜひお越しください。