中島 克己 院長の独自取材記事
中島歯科医院
(世田谷区/三軒茶屋駅)
最終更新日:2025/06/18

かわいらしいフラワーアレンジメントが飾られたドアを開けると、スタッフがにこやかな笑顔で迎え、思わずホッとする空間が広がる。そんなわが家に帰ったかのような安心感があるのが「中島歯科医院」だ。院長を務めるのは、若々しくはつらつとした表情が印象的な中島克己先生。約35年のキャリアを持つ地元育ちの中島院長は、祖父の代から続く同院を引き継ぎ、患者の気持ちに寄り添う診療に取り組んでいる。模型を使って噛み合わせについて詳しく説明する院長の姿からは誠実な人柄がにじみ出ており、多くの患者から慕われる理由がよくわかる。そんな中島院長の診療にかける思いを取材した。
(取材日2010年6月7日/更新日2025年6月11日)
三軒茶屋の町に根づいた歴史ある歯科医院
まずは先生のプロフィールをお聞かせください。

1990年に日本大学松戸歯学部を卒業し、その後は同大学病院の口腔外科に5年間勤務していました。そして30年前、実家でもある、母が院長を務めていた当院でともに診療を始めました。母が歯科医師で、父は歯科技工士。そして祖父も歯科医師をしていました。祖父・母・私と3代にわたって歯科医療に従事していることになります。母の兄弟も皆歯科医師で、それぞれの歯科医院をその子どもたちが継いでいます。つまり親戚のほとんどが歯科医師。お正月などの集まりは、「ミニ学会」といいますか、症例の発表会のようになっています。私には現在、東京歯科大学を卒業し歯科医師として歩み始めた息子がおります。いずれ4代目として地域の皆さまの健康を支えていってくれるとうれしいです。
長い歴史を築いてきた歯科医院なんですね。
はい。祖父が三軒茶屋で診療を開始した当初、当院は駅前の「すずらん通り」の中にありました。しかし、三軒茶屋がどんどん人気の街となり、大勢の人たちがやってくるにぎやかな場所となったため、この静かな住宅街へと移転しました。当院では一般歯科、小児歯科、予防歯科、口腔外科のほか、ホワイトニングにも対応しています。私は生まれも育ちも三軒茶屋の地元っ子で、母が亡くなった現在は私が院長を務めていますが、今もなお、母のいた頃から通院されている患者さまが大勢いらっしゃいます。私が生まれる前からの患者さまもいるぐらいですから、中には祖父に診てもらったという方もおり、昔からの患者さまなどは「先生、あの時の坊やなのね」と感慨深くおっしゃってくださる方もいますよ。
どのような患者さんが多く来院しますか?

三軒茶屋の町は若い人が多いですが、ご高齢の方も実は多いんです。当院の患者さまも、小さなお子さんや20代、30代の患者さまよりもご高齢の方のほうが多いですね。世田谷区では80歳以上で20本以上の歯が残っているご高齢の方を表彰しており、8020運動に力を入れている当院の患者さまの中にも表彰された人がいます。このような制度はご本人のやる気を引き出し、前向きな気持ちにしてくれます。歯というのは見た目年齢も大きく左右します。入れ歯が必要ないほど歯がしっかりしている90代の患者さまは、70代に見えることもありますからね。一概にはいえませんが、その元気な患者さまを見ていると、ストレスをできるだけためずに、おいしい物をしっかり自分の歯で噛んで食べ、質の良い睡眠を取っておられるようです。このような理想的な生活リズムをつくるのにも、「健康な歯」は不可欠ではないでしょうか。
患者の気持ちに寄り添い口だけでなく全身までを健康に
健康な歯というのは、歯を丈夫に保つということですか?

それはもちろんなのですが、歯の土台となる歯茎を守るためにも、歯周病予防をしっかり行う必要があります。若い人、ご高齢の方を問わず、誰しも自分の歯を抜かずに過ごしたいですよね。そのためには歯周病のチェックも含め、かかりつけの歯科医院でメンテナンスを受けることが大切です。また、噛み合わせにも留意しなければなりません。ブラッシング指導を受けるときなどに整った歯の模型をご覧になると思いますが、模型のようにバランス良く歯が並んでいる人は少ないので、いかに噛みやすい咬合をつくっていくかも求められます。ご高齢の方の歯の治療を行っていると、歯と健康の関係がいかに強いかを実感します。噛めなかったお年寄りが治療を終えた後、肌の色艶まで変わる人がおられます。まさに健康は口から始まるわけです。
「健康は口から」。高齢者だけでなく、すべての年代の人に言えることですね。
そうですね。そのためにも定期的なメンテナンスを受け、何か気になることがあれば、気軽に歯科医院を訪れてほしいです。以前、ある男性が虫歯の治療でいらしたのですが、診察すると少し違和感のある二重顎になっていました。やはりどこか様子がおかしい。そこで専門的な検査が可能な病院に紹介したところ、蜂窩織炎(ほうかしきえん)だと判明しました。これは放置しておくと入院が必要となる化膿性炎症なのですが、早期に治療できたため大事には至りませんでした。お顔もすっきりとされましたね。その患者さまからは随分感謝され、その後も定期的に通っていただけるようになりました。このように、場合によっては思わぬ病気の発見につながることもあるんです。
診療において心がけていることは何ですか?

患者さまの気持ちに寄り添い、心配事やお悩みに注意深く耳を傾けることを大切にしています。子どもの頃に歯科医院で嫌な思いをしたことがきっかけで、大人になっても通院がストレスになっていたり、敷居が高いと感じて緊張してしまったりする方も多いので、患者さまに安心して来ていただけるように、お一人お一人の気持ちに寄り添った診療をしたいですね。お手本となっているのは母の姿です。母は診療時間よりも患者さまとお話しする時間のほうが長く、今思えばとても上手に患者さまとコミュニケーションを取っていたと思います。数年間ですが母と一緒に診療して、大学病院では学べなかった、地域医療の根源を見た気がします。今でこそインフォームドコンセントという言葉が一般的に使われますが、おそらく母は患者さまから信頼を得る方法を自然と身につけていたんでしょうね。
仕上げ磨きは小学校4年生までは続けてほしい
先生も、お母さま譲りの聴き上手な印象を受けます。

おそらく、妻やスタッフのサポートが大きいのではないでしょうか。当院は2018年に内・外装とも大規模リフォームを行い、患者さまが利用しやすい歯科医院へと生まれ変わりました。患者さまに少しでもゆったりと過ごしてもらえるよう配慮し、終始気持ち良く過ごしていただけるように、スタッフ一同和やかな気持ちでお出迎えしています。ここに来て「なんだか癒やされるな」と感じてもらえたらうれしく思います。妻も手作りのフラワーアレンジメントを飾るなど細かな点まで気を配ってくれて、そんなムードが患者さまの心にも届けば幸いです。安心感に包まれた歯科医院であり続けたいですね。
患者さんとの記憶に残るエピソードはありますか?
大学病院に勤務していた頃、上下4本の親知らずを抱えたある女性の患者さまを担当しました。親知らずは簡単に抜ける場合もあれば、テクニックが必要な場合もあります。その方は難しい生え方で、しかも4本。そこで開業医の先生から大学病院へと紹介されてきたのですが、とにかくガチガチに緊張されていました。彼女にしてみれば、近所の歯科医院で済むはずが大学病院へ来ることになったわけですから、緊張するのは当たり前です。そこで、学生生活の話などで談笑しながらなるべくリラックスできる環境をつくり、無事治療を終えることができました。その後、彼女からお礼の手紙が届いて「最初は緊張したけど、先生のおかげで緊張が解けました。本当にありがとう!」と書いてありました。その手紙は今も大事に持ってますよ。
読者の方にメッセージをお願いします。

お子さんの虫歯を気にして、お菓子を一切与えないよりは、おやつを食べた後には歯を磨く癖をつけるようにすることが大切です。小学3、4年生ぐらいになると「もう本人に任せても大丈夫だろう」と思いがちですが、この年齢は歯の生え替わりの時期でもあるので、できればまだ仕上げ磨きはしてもらいたいですね。虫歯が大きければそれだけ治療の範囲も大きくなりますので、ぜひ親御さんの歯に関する意識を高めてもらいたいと思います。お子さんが怖がらないように治療のサポートをしたり、お母さんが治療に専念できるようにお子さんを見たりしていますので、安心していらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはホワイトニング(上8本・下8本)/2万2000円