坂本 有文 院長の独自取材記事
平和通り歯科口腔外科 全日空ホテル診療所
(広島市中区/袋町駅)
最終更新日:2022/10/12

「平和通り歯科口腔外科 全日空ホテル診療所」は、広島の中心地、ANAクラウンプラザホテル広島の1階にある。ホテル内にあるクリニックだけあって、大理石をあしらったエントランス、ホテルのロビーのような受付と、高級感あふれる造りだが、「Tシャツなどの普段着で大丈夫ですよ」と、笑顔で迎えてくれたのは坂本有文院長。法人理事長も務める坂本院長は、大学卒業後から前理事長の森田知夫先生のもとでインプラント治療などを研鑽。歯科用CTや手術専用の個室も設置し、長年インプラント治療を手がけてきた。同診療所の院長に就任後も、インプラント治療に力を注いできた。歯科医師として豊富なキャリアを持つ坂本院長に、診療に対するこだわりや、最近の気になる患者の症状について、幅広く話を聞いた。
(取材日2022年7月27日 )
長年の経験で患者の健康を口からサポートしていく
こちらの診療所の院長に就任された経緯をお聞かせください。

まず、大学で就職先を探していた時に教官に紹介してもらったのが、先代の理事長、森田知夫先生だったんです。当時はまだ医療法人ではなかったのですが、森田先生とお話をさせていただき、とても気さくな人柄に惹かれ、ここで働くことを決めました。怒られることもありましたが普段はとても穏やかな先生で、いるだけで診療所が明るくなるような先生でした。インプラント治療の技術のほかさまざまなことを指導していただいて、歯科医師としてのベースを築き、2012年に当診療所の院長、2014年に理事長に就任し、今日に至ります。
来院される患者さんの層を教えてください。
広島市の中心地という場所柄、近隣で勤務をされている方が中心で、お仕事をリタイアされた後、そのまま通っていただいている方も多いですね。通院されている方のお子さんやお孫さんなどもいらっしゃいますが、ファミリー層は少な目です。若い患者さんはインターネットを見て来られる方が多く、ご年配の方はクチコミや紹介でいらっしゃる方が多いように思います。
どのような症状の方が多いのでしょうか。

歯周病の方が多いです。初期の場合はブラッシングの指導のほかに、SRPと呼ばれる歯の表面・歯茎の中のクリーニングと歯石の除去するための処置を行います。もう少し進行してしまっている場合は、フラップ手術という歯肉を切開して、歯周ポケットの深いところにある歯石や歯垢を取り除きます。歯周病が進んでしまうと骨を失ってしまうことになるのですが、そうなってしまった場合は骨の再生を促す薬剤を患部に塗る歯周組織再生療法を施すこともあります。当診療所では保険適用の薬剤を使用しています。
最近気になる症状や増えてきた症状はありますか?
小学生や中学生のお子さんが、口臭が気になるということで保護者の方といらっしゃることが増えました。マスクをする生活が続いていることで口呼吸になってしまい、扁桃腺を痛めて口臭が生じているのだと思います。ほかには帯状疱疹になられる方が増えていますが、口腔内にも発疹ができることがあるんです。先日も口の中に帯状疱疹の発疹がある患者さんが来られました。帯状疱疹は治療を始めるのが遅れると神経痛が残ったりすることもあるため、耳鼻咽喉科か皮膚科を受診し、できるだけ早く治療を始める必要があります。
各分野の専門家が集まって、より良い治療を提供する
歯科医師をめざされたきっかけを教えてください。

進路に迷っていた高校生の時に、将来は歯科医師になりたいと書いた小学校の卒業文集を思い出したんです。おそらく、その頃に虫歯があって歯科医院に通っていたのでそのように書いたのだと思います。そのことを思い出したのがきっかけで歯科医師をめざすようになりました。大学卒業後はこちらで森田先生に指導してもらいながらインプラントの補綴物を作るなど、いろいろなことに対応をしました。インプラント治療は当時まだ珍しく、大学でもあまり教えていなかったので、こちらで働き始めてから詳しく知りました。当診療所はインプラント治療に早くから対応しており治療経験も豊富にあります。ですが、私はあくまで選択肢の一つとして捉えています。患者さんのメリットが大きいと判断した場合、きちんと良い点、悪い点の両方を説明して治療を行うようにしています。
立派な手術室がありますが、以前からあるのでしょうか。
はい。この手術室は森田先生のこだわりです。感染症対策で滅菌や消毒などに気をつける時代になりましたが、私がこちらに来た当時から、現在大規模病院で推奨されているのと同レベルの滅菌体制がとられていました。加熱圧力蒸気やガスによる滅菌処理などを行い、使用する器具などは常に清潔に保つようにしています。
こちらには8人の先生が勤務されているそうですね。

8人のうち常時在籍しているのは私を含めて4人ですが、交代で勤務をしてもらっています。複数人の医師の視線がある中で治療をすることで、常に緊張感を持ちモチベーションを持続させることができると思っています。異なる意見を聞くことができますし、直接治療をしない場合でもエックス線画像などを見て学ぶことができるので、メリットが大きいと思います。
広島大学から来られている先生もいらっしゃるとか。
がんなどの悪性腫瘍の対応など、どうしても専門の歯科医師の診察が必要な場合もあるため、口腔外科の専門の歯科医師を週に1回、矯正専門の歯科医師を月に2回、広島大学から派遣してもらっています。ほかにも、補綴物を作製している会社がすぐ隣のビルにあるのですが、こちらはもともと森田先生が経営をされていた会社で、何かあった場合は歯科技工士の方に来ていただいて患者さんの口腔内を見てもらうことができます。患者さんにとっても補綴物を作る人に実際に見てもらえるのは良いことだと思います。口腔外科、矯正、歯科技工と、それぞれの分野の専門家がサポートしてくださっているので、とても助っていますし心強いです。
歯科医師だけでなく、患者も含めたチームで治療
お忙しい毎日かと思いますが、休日などはどのようにリフレッシュされていますか?

年に数回ですが、山登りをずっと続けています。キャンプも好きで、子どもが小さい頃は月に1回くらいキャンプに行っていました。道具もたくさん集めていましたね。その後はボウリングに夢中になって、マイボールも作ったくらいです。あとはオートバイが好きで、以前はツーリングで山口県や島根県、鳥取県などによく行っていました。今は主に通勤に使用していて、オートバイに乗ることがストレスの解消になっています。一度事故で鎖骨を骨折したことがあるのですが、懲りずにやっぱり乗っています。
診療時に心がけていることを教えてください。
患者さんの立場になって考えるようにしています。例えば虫歯やインプラントの治療を勧める際、患者さんの希望するものと私たちが提供できるもの、あるいは最適だと思うものが違うことがあります。そのような時に説明して説得をするのではなく、一度患者さん側の立場に立って考えるようにしています。医療とは患者さんを含めたチームで行うものだと思っています。患者さんの気持ちを考えながら話を進めることが大切だと思っているので、気をつけるようにしています。
医療はチームで行うとはどういったことでしょうか。

治療はこちらから一方向でするものではなく、患者さんからも返ってくるものがあって進められるものだと思うんです。例えば歯周病の治療の場合、禁煙や糖尿病のコントロールなどが大事になってきますので、それを患者さん自身に理解していただくことが必要になります。あるいはブラッシングの指導をした場合、ほとんどの方が、最初はきれいに磨けていたのに数年たつとうまく磨けなくなってしまいます。つまり、技術だけをお伝えしてもダメで、気持ちの部分がついてこないとうまくいかないし、継続しないんです。歯科医師や歯科衛生士、そして患者さん、治療に関わる全員が協力して進めることが必要なので、患者さんご自身もお口のこと、全身の健康について考えていただきたいと思います。そして、ご自身の希望に近い治療は何なのか、どうするのが一番なのかを一緒に考えて診療をしていく。そんな治療をこれからも続けていきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/38万円~