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柳沢 初美 院長、仲 かよ 副院長、宮岸  晴美 さんの独自取材記事

助産院バースあおば

(横浜市青葉区/青葉台駅)

最終更新日:2019/08/28

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1996年の開院以来、助産師である柳沢初美院長と仲かよ副院長が中心となり、多くの命の誕生に立ち会ってきた「バースあおば」。妊娠期から出産、産後まで、切れ目なく赤ん坊とその家族を支える方針は、模倣する自治体も多いとされるフィンランドで行われている育児支援サービスのスタイルに近い。「人と人がつながり続ける温かさこそバースあおばの魅力。誰もが気軽に足を運べる、そんな施設であり続けたい」と語るのは、自身も同助産院で出産を経験し、後継者として期待される宮岸晴美氏だ。妊産婦への愛情と慈しみにあふれた三人に、「助産院で産む」「助産院とともに育てる」ことについて話を聞いた。
(取材日2018年9月26日)

まるで実家のような温もりと一体感が魅力

閉鎖した自然分娩施設に代わる存在として、バースあおばが誕生したと伺いました。

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【仲副院長】私と柳沢さんは、もともと「神奈川県立母子保健センター」という、妊娠から出産、育児までをケアする施設で働いていました。ところが、1990年に県から廃止案が出たんです。同センターで出産した母親たちが中心となって反対運動を起こしましたが、残念ながら実らず、2年後に施設は閉鎖されてしまいました。その後、同センターの流れをくむ分娩施設の必要性を訴える助産婦と妊産婦の声に押される形で、「バースあおば」が誕生したのです。

開院当初と比べて、妊産婦さんを取り巻く環境に変化はありますか?

【柳沢院長】なんといっても、出生率が減少して、お産の数が減ったことでしょう。医療法改正などで規制が厳しくなって、助産院での出産自体も減っていると思います。そんな中でも、ここで生まれて、自分自身の出産のために戻ってきてくれる子が少しずつ出てきているのはうれしいですね。20数年かけて積み上げてきた信頼の賜物だと思っています。
【宮岸さん】助産院というと、なんとなく「自然派志向の人の場所」というイメージがあると思うんです。普通に産みたい、という人には敷居が高いというか……。でも、「看板が目についたから」とふらっと立ち寄ってくれる人もいるんですよ。助産院は、決して特別な人たちのためにあるわけではないということを知って、より多くの人に利用していただきたいですね。

助産院と病院の一番の違いと、その魅力はどんなところだとお考えですか?

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【仲副院長】病院との一番の違いは、やっぱり温かさじゃないかしら。私たちは、出産に何時間かかったとしても、妊婦さんを一人にはしません。背中を撫でたり、声をかけたり、交代で妊産婦さんに寄り添います。2人目、3人目を生むために戻ってきた人は、よく「実家に帰ってきたみたい」って言いますね。
【柳沢院長】助産院は、畳の部屋に布団を敷いて、好きな体勢で産むフリースタイルで出産をするんです。だから分娩台がないという点も違うし、基本的に医療処置は少ないという点も病院とは違います。そういう環境のせいか、妊産婦さんの意気込みも違うわね。「自ら頑張ろう」っていう気持ちが強くて、すごく前向きな人が多い。助産院に通う中で妊産婦さんたちの仲間ができ、相談相手も増えるのでとても心強いですよ。

お産だけでなく、体をつくり仲間をつくる場所でもある

経産婦さんと触れ合う機会が多いのも特徴的ですね。

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【宮岸さん】経産婦さんたちが赤ちゃんを連れてここに遊びに来ることも多いので、その元気な姿を見て「育児って楽しそう」「私も頑張ろう」と思う人も多いと思いますよ。
【柳沢院長】お産を控えた人に、経産婦さんが経験談を伝えたり、アドバイスをしたりということも多いんです。初産の人も、出産前に先輩たちの赤ちゃんをたくさん抱っこしているから、自分の子どものときにはもう慣れっこという人が多いんですよ。

お産をするだけではなくて、お産に向かう体をつくり、子育て仲間をつくる場所でもあるのですね。

【仲副院長】保健指導の一環として、お産に向かうためのアドバイスなども行っています。体づくりでは、出産時に必要な骨盤底の筋肉を鍛えることを目的として、薪割りのご紹介も。昔の女性たちは、ああいう動きが日常生活のなかに組み込まれていたから、自然と体が鍛えられていたんでしょうね。今でも、しっかり運動をした妊婦さんほど帝王切開になる確率が低いといわれていますので、何も異常がなければどんどん運動するように勧めています。
【柳沢院長】自分の力で産みたい、という気持ちが強い人が多いので、体づくりの企画にはたくさんの妊産婦さんが参加していますね。マタニティビクスやヨガのほか、マタニティウォーキングというのもあるんです。近くをみんなでお散歩したり、春と秋にはお花見や紅葉狩りにちょっと遠くまで足を延ばしたり。せっせと体を動かすうちに、自然と仲間ができていくんでしょうね。

産後のケアにも注目されているそうですね。

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【仲副院長】核家族化などで家族の支援を受けられない妊産婦さんが増えていることもあって、最近は特に産後ケアが注目されるようになってきています。その一環として、横浜市が行う産後母子ケア事業や、通院型のデイケア、宿泊型のデイケア、訪問型母乳相談などが行われています。こうした取り組みが、孤独なお母さんを助け、虐待の予防にもつながればいいな、と思っています。

女性たちの一生とともに歩き、ともに考える

一人ぼっちのお母さんにとって、バースあおばの存在は一筋の光になるような気がします。

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【仲副院長】赤ちゃんを連れて外出するのは勇気がいるし、周囲の目も気になります。世の中に自分と子どもの二人きりしかいないような気がして、孤独感を募らせているお母さんもいるでしょう。私たちの活動が自立のきっかけになればいいですね。
【柳沢院長】少し前、産後うつのようになって、本当に苦しんでいたお母さんがいたんです。でもね、赤ちゃんと一緒にお散歩する会に参加して帰ってきたら、もう表情が全然違いましたよ。周りのお母さんたちのたくましさに触発されたんでしょう。赤ちゃんが泣いたり、人に迷惑をかけたりするのが不安でなかなか外出できないと言っていたのに、帰りはバスで元気に帰っていったことが印象的でした。

今後の展望をお聞かせください。

【仲副院長】これまでやってきたことを継続しながら、後継者にきちんとバトンを渡すことが大切だと思っています。宮岸さんなど、どんどん若手の助産師さんが活躍できるようにしていきたいですね。
【宮岸さん】私も、これまでと違うことをやろうとか、何かを大きく変えようとかいうことは一切考えていません。むしろ、ここにしかない温かさや、病院にはない妊産婦と助産師の一体感、そういうものを変わらず受け継いでいきたいですね。

最後に、助産院での出産を考えている方にメッセージをお願いします。

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【仲副院長】助産院を選ぶ人は、できるだけ自然に産みたいという考えをお持ちの方が多いですが、「もしものとき、医療設備がなくても大丈夫?」という不安もあると思います。ご本人だけでなく、ご主人やご家族も心配している、という場合は、近隣の病院との連携や、お産に備えた体づくりについてご説明すると、納得していただけることが多いですね。
【宮岸さん】妊娠・出産に向けた助産師による健康チェックなども行っているので、妊娠前から来ていただけるんですよ。気軽に見学や相談の予約をしてもらえたらと思います。
【柳沢院長】私たちの役割は、妊産婦さんがどんなときも孤立しないよう、そばで支えること。「女性同士、いつも一緒に歩いて行こうね」っていうスタンスね。産前から産後まで、女性の人生を一緒に考える……。そんな存在でありたいですね。

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