江畑 典幸 院長の独自取材記事
江畑歯科クリニック
(苫小牧市/苫小牧駅)
最終更新日:2021/10/12
「江畑歯科クリニック」は、開業から50年、親子3代で診療を行う老舗の歯科医院だ。苫小牧駅から徒歩10分ほどのオフィス街にあり、近隣で働く人たちはもちろん、長年通い続ける患者も多いという。現在院長を務める江畑典幸先生は、大学院時代にカナダ留学を経験しており、広い視野と知識を持った歯科医師。同院は専任の歯科技工士が常勤しているのも特徴で、入れ歯やインプラントなどの治療で、患者の要望を受け入れながらスムーズな対応が可能となっている。今回は、江畑院長に歯科医師をめざしたきっかけや、日々の診療に対する思いについて詳しく聞いた。
(取材日2021年6月17日)
3代にわたり苫小牧市で歯科医院を開業
歯科医師をめざしたきっかけや開業の経緯を教えてください。
1971年に祖父が苫小牧市表町で「江畑歯科医院」を開業し、父と叔父の3人で営んでいました。その後それぞれが独立し、現在の理事長を務める父は同市内の春日町(旧・緑町)で「江畑歯科緑町医院」を開設。家族が歯科医師なので私も歯科医師をめざすのは自然な流れでしたし、家業を継がなければいけないという思いがありました。私は北海道大学・大学院の口腔外科教室に7年在籍し、口腔外科を専門としています。抜歯や膿の袋「歯根嚢胞」を取る手術、インプラントなどの外科的な治療をメインに学びました。カナダに留学をした後は勤務医として1年ほど働き、2004年に祖父が開業した歯科医院の地を引き継ぎ「江畑歯科クリニック」を開業しました。
カナダにも留学されていますが、印象に残っていることはありますか?
日本と海外では、治療費が全然違うことに驚きました。日本には国民皆保険制度があるので、治療費はある程度抑えられています。しかし、そのような保険制度のないアメリカやカナダでは、ちょっとした虫歯の治療でも高額になってしまうのです。お金がないと治療を受けられず、「帰ってください」と言われてしまうこともあります。本当に治療費を支払えない人は大学病院で無料で診療を受けられるのですが、そこは若い歯科医師が臨床経験を積む場になっていました。そういう医療事情もあり、予防に力を入れている人が多いという印象を受けました。また同時に、日本の歯科材料がとても優れているということにも気づきました。カナダの歯科材料のほとんどは日本製で、「日本の製品はこんなに良いのに、カナダになぜわざわざ学びに来たのか?」と聞かれることもありましたね。日本を離れてみたからこそ、学べることがあったと思います。
インプラント治療についても学ばれているのですね。
父の時代はまだインプラント治療が存在せず、入れ歯にお悩みの患者さんが多くいらっしゃいました。調整してもなかなかうまくいかず、困っている患者さんをどうにかしてあげたいと思案していた時期に、インプラント治療が一般に広がり始めたのです。口腔外科の出身の私としてはすぐに学んでみようと思い立ち、インプラント技術を勉強させていただきました。
専任の歯科技工士と連携。精度にこだわった治療を提供
来院されるのは、どのような方が多いですか?
いろいろな世代の方が来院されています。市役所や警察署などの官公庁をはじめ、たくさんの企業がある苫小牧の中心地的なオフィス街に立地しているクリニックなので、お勤めされている方がよくいらっしゃいます。また一方で、当院は親子3代で長年診療していますので、昔から通い続けてくださる患者さんもいらっしゃいます。昔からの患者さんは父が診察することが多く、約4割が新規で、6割が昔からの患者さんやそのご家族です。厚真町や白老町、新ひだか町など遠方から来てくださる方もいます。診察時のお悩みで多いのは、歯が痛い、歯茎が腫れた、ものが噛めない、顎が痛い、といった内容ですね。半年に一度のペースで定期的にメンテナンスに来てくださる患者さんも多くいらっしゃいます。
クリニックの特徴を教えてください。
虫歯治療、歯周病治療、入れ歯、小児治療など、多様な診療に対応しており、常に先進の治療や機器を取り入れて処置しています。例えば、歯のクリーニングで歯石を取り除く場合、パウダーを吹きかける・レーザーを照射するなどの、新しい方法を採用しています。また当院には専任の歯科技工士が常勤していますので、外注するよりもスムーズに、そして患者さんのご要望にもこまやかに対応ができるというのが大きな特徴です。入れ歯が壊れてしまったり前歯の治療で歯を外した場合の処置も、その場で技工士が仮の歯を作りその日のうちにセットし、見た目などの違和感も少なくご帰宅いただけます。父の時代から勤務している信頼のおける歯科技工士で、インプラント治療の際の対応でも非常に助かっています。歯科技工士がいないとインプラント治療はできないと言っても過言ではないですね。歯科医師と歯科技工士がチームを組んで、患者さんのご要望にお応えしています。
こちらで行っているインプラント治療について、詳しく教えてください。
当院では、歯が抜けてしまった場合の治療の選択肢の一つとして「インプラント治療」を推奨しています。もちろん無理に勧めるようなことはありませんが、インプラントにはほかの入れ歯やブリッジといった治療法にはない、優れた特徴があります。例えば歯が抜けてしまった場合、隣の歯を削る必要があるブリッジとは違い、インプラントは歯を削る必要がありません。また、通常の入れ歯は歯茎の上に乗せているだけなので、使用していると動いて痛みが生じたり、ものが噛めなかったりすることがあります。ですが、インプラントの場合は人工歯を固定するので入れ歯のように動くことがなく、噛みやすさを期待できる利点があります。多くの歯を失ってしまった方には、4本のインプラントだけで片顎の義歯を支えるという治療方法もあり、体への負担が少なく処置できる方法としてお勧めしています。
日々のブラッシングで虫歯や歯周病をしっかり予防
歯の健康のために、どのようなことが大切と思われますか?
日々のブラッシングで歯と歯茎を磨き、きちんと汚れを落とすことが大切です。歯と歯茎の隙間や境目の部分には、いわゆる「ばい菌」がたまりやすく、きちんとブラッシングされていないと歯槽膿漏になりやすくなります。比較的磨きやすい前歯よりも、奥歯は磨きにくく汚れが残ることが多いので、特に注意してブラッシングしてください。ただ、毎日の歯磨きですべての汚れを取るのは難しいので、定期的に歯科医院で診察してもらうことも大切です。また、普段から口にする物も重要です。砂糖の多い食品を取りすぎると虫歯になりやすいですし、栄養状態が悪いと体全体の免疫力が落ちて歯周病になりやすくなります。口の中も体の一部。体全体の調子が良くならないと、局所である口の中も回復しませんから、適度な運動をするなどの健康づくりも心がけましょう。
診療の際に心がけていることはどのようなことですか?
「痛くない」治療をしようと心がけています。やはり、治療の痛みは患者さんにとって一番の不快要因となりますので。特に麻酔の仕方には気をつけています。歯科の治療は基本的に外科処置になるので、ほとんどの場合で麻酔が必要になります。当院では、電動の注射器を用いたり細い針を使ったりなど、痛みの軽減に努めています。また、治療内容を患者さんにわかりやすく丁寧に説明することも心がけています。麻酔を使う場合にも「なぜ使うのか、麻酔を使うとどうなるのか」など、しっかりと説明するようにしています。
最後に、患者さんにメッセージをお願いします。
歯科医師として、大切な歯はなるべく削りたくありません。歯を削ると歯が傷んでしまいます。ですので、歯を削るほどひどく悪化する前に治療を受けてほしいです。そして予防を心がけてください。きちんと歯をブラッシングすることで、虫歯や歯周病を予防できます。同時に歯茎をブラッシングすることも忘れないでください。歯茎を磨かないと歯石がたまり、そこから歯槽膿漏が進んでしまいます。また今後は、虫歯以外の歯槽膿漏・歯周病についても、皆さんに知ってほしいことをお伝えしていこうと思っています。小さなお子さんは、家庭環境に影響されやすい部分もあり一概には難しいのですが、学校検診などで予防についてきちんと伝えていきたいです。歯のお悩みや気になることがあれば、遠慮せずになんでも相談してください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/35万円~、4本のインプラントで片顎の人工歯を支える方法/220万円~