内藤 薫 院長の独自取材記事
東大宮歯科
(さいたま市見沼区/東大宮駅)
最終更新日:2025/08/08

JR宇都宮線・東大宮駅西口から徒歩1分の場所にある「東大宮歯科」。2025年3月、内藤薫院長が正式に院を継承し、新たなスタートを切った。「診療では、患者さんも私自身も楽しい時間を共有することをめざしています」と穏やかな笑顔で語る内藤院長。長年この地で診療を続けてきた経験をもとに、患者一人ひとりに寄り添った治療を行っている。特に力を入れているのは、義歯治療とスウェーデン式の歯周病治療。歯科治療に恐怖心を抱く患者には、治療内容を細かい部分まで丁寧に説明し、安心して受けられるよう配慮している。63歳になった今も「学びたい気持ちは尽きない」と語る内藤院長は、常に新しい知識や技術を吸収しながら、診療に還元している。そんな院長の歩みと、患者とともに歩む日々の診療への思いを聞いた。
(取材日2025年7月10日)
患者とともに歩み続ける、地域に根差した診療
今年の3月に院長に就任されたそうですね。経緯を教えてください。

もともと当院は義理の兄の名義で、私もここで何十年と診療を続けてきました。卒業後3年ほどで一人での診療を任されるようになり、義兄は週に1回か2回診る程度でしたので、ほとんどの患者さんは私が診てきました。この度、義兄が高齢で引退することになり、そのまま院長を引き継ぐことになりました。正直なところ、ここを閉めて他で働くという選択肢もありましたが、長く通ってくださっている患者さんたちを思うと、「最後までしっかり診たい」という想いが強くなり、引き継ぐことを決意しました。患者さんからしたら「いつもの先生」が院長になったという感じで、安心して通い続けていただけているようです。
歯科医師を志したきっかけは何だったのでしょうか?
医師を志した理由について「社会貢献をしたい」という想いは正直なところなかったんです。私の実家は父が大きな事業をしていて、私はその跡取りとして育てられてきました。ですが、どうしても自分には社長業が向いてないと感じていて……当時は父のもとから逃げたくて仕方なかったんです。中学生・高校生の頃に“自分が納得して、父も納得してくれる道”を考えた時、浮かんだのが医師や歯科医師でした。もともと手先が器用で、絵を描いたりものづくりが好きだったので、“知的な職人”というイメージに惹かれて歯科医師を選びました。獣医師も考えたんですが、私は喘息持ちなので断念しました。歯科医師になった今思えば、この仕事は本当に自分に合っていたと感じます。
こちらのクリニックにはどんな患者さんが多いのでしょうか?

長年診療を続けていることもあり、私と同じように患者さんも年齢を重ねてこられました。そのご家族やお孫さん世代まで通ってくださることもあり、代々お付き合いのある患者さんが増えているのもありがたいことです。 当院は特別な広告やホームページなどは出しておらず、基本的にはご紹介で来られる患者さんが多いです。皆さんとても穏やかな方ばかりで、私自身とも相性が合っているように感じます。 長い方では20年、30年と通ってくださっているので、診療に来るというより「先生の顔を見に来たよ」と言っていただけることもあって。そういう関係が築けているのは、医師としての何よりの喜びですね。
専門的な技術と丁寧な説明で、安心を与える治療を
特に力を入れている治療はありますか?

義歯治療には特に力を入れています。難症例の方や、合わない義歯に困っている方なども多く来院されています。自費診療では、クッション性に優れたシリコーン義歯を取り扱っており吸着も強く、硬いものも無理なく噛めることが期待できます。一回シリコーンを入れると、シリコーンの魅力を感じていただけると思います。ノンクラスプデンチャーにも対応しており、見た目を気にされる方にもお勧めです。もちろん、保険診療の義歯も一切手を抜かず、丁寧に製作・調整しています。 無理に自費診療を勧めることはなく、患者さんのご希望に応じて必要な場合は選択肢としてご説明し、納得いただいた上でご提案しています。
歯周病治療についても専門的に取り組まれているそうですね。
歯周病はずっと勉強していて、当院ではスウェーデン式でやっています。歯周病治療で精通した先生のもとで学び、10年以上にわたりセミナーにも通ってきました。最近は参加頻度が減っていますが、治療の基本は確立されており、現在もスウェーデン方式をベースに診療を行っています。以前は歯周組織再生療法やGTR法なども積極的に取り入れていましたが、患者層の高齢化に伴い、そうした治療のニーズは少しずつ減ってきました。それでも歯周病への対応は継続しており、定期検診にも力を入れています。ほとんどの患者さんは半年に一度のペースで来院され、長い方では数十年のお付き合いになります。定期検診で異常が見つかれば、スケーリングに加えて必要な治療を行う形です。歯科衛生士さんが検査とスケーリングを担当し、私は初診や急患を診るという流れで診療を進めています。
診療で心がけていることを教えてください。

歯科治療に不安や恐怖心を抱く患者さんは多いと思います。だからこそ、診療中は患者さんの表情を見ながら「今こういう処置をしています」といった説明を欠かさず行っています。 不安の多くは「何をされるかわからないこと」だと考えているので、細かいことでも丁寧に伝えるよう心がけています。例えばむし歯を削る処置のときには患者さんの表情・反応を常に注視して「痛みを感じたらすぐ手を挙げてください」といった声かけは欠かさず行っています。高齢の患者さんも多いため、チェアを倒した後に「首はつらくないですか」と確認したり、必要があれば立位で処置することもあります。私には少し負担もありますが、患者さんが少しでも楽になってくれればという思いで対応しています。いつも意識しているのは、診療中ずっと笑顔でいること。表情一つで、安心感ってずいぶん変わると思うんです。
楽しい時間を共有できる、温かいクリニックづくりを
スタッフの皆さんについて教えてください。

これまで長年一緒に働いてきた歯科衛生士さんが、定年で退職されたので、現在も募集はしていますが最近新しい歯科衛生士さんが入ってきてくれました。実はその方はもともと当院の患者さんだった方で、現在勤務している歯科衛生士と同じ学校の先輩でありママ友だったそうです。「この人、優しそうで雰囲気がいいな」と感じ、ご縁があって仲間になっていただきました。技術面ももちろん大切ですが、それ以上に“優しくて性格がすてきな人”と一緒に働きたいという思いが強くて。同じく歯科助手さんも以前から家族ぐるみで付き合いのある明るく優しい方にもお声がけして加わってもらいました。院内は和気あいあいとした雰囲気で、お互いに自然と助け合えるような、温かいチームワークが築かれています。現在は子育て中の方や育児経験のあるスタッフも在籍しており、それぞれのライフステージに合わせて働ける環境を整えています。
今後の展望をお聞かせください。
今通ってくださっている患者さんには、亡くなるまでずっと診ていきたいという思いがあります。おかげさまで多くの患者さんが通ってくださっているので、最後まで責任を持ってお付き合いしたいです。それと、私は“凝り性”で、今でも年齢に関係なく「もっと勉強したいな」と思っています。同級生の中には教授になった人もいて、刺激を受けながら、先進的な知識や新しい技術にも目を向けるようにしています。最近は興味を持った分野を少しずつ勉強しているところです。今こうして日々診療に向き合えているのは、妻や娘の支えがあってこそです。何かと忙しくなる日々の中で、いつも温かく見守ってくれて助けてくれる家族には本当に感謝しています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

患者さんには、健康に気をつけながら長く通っていただき、できる限り元気な姿を見せていただけたらうれしいです。当院は積極的な情報発信はしておらず、いずれホームページを持つことも考えていますが、声高に主張する形は望んでいません。ただ歯の治療にとどまらず、「ここに来るとホッとする」と感じていただける場所であればと思っています。初診の方は緊張されることもあると思いますが、小さな疑問や不安な想いも、遠慮なくお話しください。人生を通して豊かな食生活が送れるよう、しっかり支えてまいります。患者さんの希望を大切に、無理なく気持ちに寄り添った診療を心がけ、これからも患者さんとともに私自身も楽しく歯科人生を歩んでいきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはノンクラスプデンチャー/7万6000円~、シリコーン製義歯/14万800円~、金属床/15万円~