関根 聡 理事長の独自取材記事
関根歯科医院
(北本市/北本駅)
最終更新日:2025/10/10

JR高崎線の北本駅から徒歩約10分。閑静な住宅街に「関根歯科医院」はある。エントランスを抜けた待合室はゆったりとしたソファーが置かれた明るい空間で、歯科医院であることを忘れてしまいそうだ。中庭に面した診療室も開放感があり、リラックスして治療を受けることができるだろう。理事長の関根聡(さとし)先生は「地域に寄り添い、患者さんに安心を提供できる歯科医院にしたいんです。ですから地域の皆さんが歯科医療に何を求めているのかを常に考え、少しでもお口の中の不安を取り除けるようにしたいと考えています」と言う。そんな関根先生に同院のコンセプトやリスクコントロールの重要性、将来の展望など、じっくりと語ってもらった。
(取材日2020年2月26日/情報更新日2025年10月3日)
院内の3つのエリアで、専門性の高い診療を行う
現在の場所に開業した理由をお聞かせください。

ここは僕が生まれ育った場所で、もともとは父が開業した歯科医院がありました。いずれは父の後を継ぐつもりで新潟大学歯学部に進学したのですが、僕が6年生の時に父が急逝してしまったんです。卒業後は開業のために学びたいことがあったので、東京医科歯科大学口腔機能再建学講座に入局して研鑽を積み2004年に継承開業しました。ただ最初のうちは、以前の設備を使って診療をしていました。この建物を新築したのは、2010年です。大学病院での口腔外科の経験はあっても、一般歯科やこの地域の歯科医療に関しては右も左もわかりませんでした。患者さんの年齢層や、どういうニーズでいらっしゃるかというのを、ある程度わかってから、新しい歯科医院をつくりたかったんです。
どのような患者さんが多いのでしょう。
当院にはお子さんから入れ歯が必要な年代の方まで、本当に老若男女、いろんな年代の方が来院されます。しかも、お子さんとお母さん、おじいちゃんとお孫さんなど、2世代、3世代のご家族で通院される患者さんもいらっしゃいます。治療に関しても、むし歯だったり、歯周病だったり、インプラントだったり、さまざまです。何か1つに特化するよりは、どんな年代の患者さんが来ても、その年代の方が必要としている歯科医療を提供できる、複数の受け皿がある地域のかかりつけ歯科医となる歯科医院が求められているのではないかと感じました。家族で通えて、その結果「歯のことでそんなに心配な思いをしなかったな」と思える歯科医院が地元にあったら良いんじゃないかなと思ったんです。
歯科医院を新築するにあたって、こだわったことはありますか。

開業時には、「5年後に新しい建物にしよう」と決めていたので、その間に、いろいろな歯科臨床の形を学ばせていただきました。予防、治療、小児歯科などを専門とする歯科医院を見学させていただくこともできました。先生方はスペシャリストとして質の高い診療をされており、僕はそれを北本の患者さんにもできたらと思ったんです。もちろん本来これらは別々に存在するものではなくすべてが必要なものですが、当院では、予防に特化したフロアでしっかりと予防処置を行う。治療に特化したフロアで治療をしっかりやる。そしてそれぞれの基準や教育は、専門にやっている歯科医院と同等をめざしたいと思いました。そのために院内を、治療や手術をする一般診療エリア、主に歯科衛生士がメンテナンスを行う予防エリア、子ども専用の待合室もある小児診療エリアの3つに分けたのです。
生涯自分の歯を使うため欠かせないリスクコントロール
力を入れている治療や得意分野はありますか。

私自身は成人の歯周治療やインプラント治療を担当することが多いですが、全体としてはこの治療に力を入れているということはなくて、患者さんに必要な治療をしています。僕は「患者さんのための歯科医院ってどういう歯科医院なんだろう」ということをずっと考えてきました。患者さんを主役として、必要な治療を選択できるようにしたかったのです。ですから、きちんとお話を伺って人間関係をつくった上で、歯科医療の受け皿として患者さんの安心のために必要なサポートをします。またリスクコントロールとメンテナンスがなければ、歯科治療は一時的なものになってしまうので、その点もしっかりとお話しして意識していただくようにしています。
リスクコントロールとメンテナンスについて、先生はどのようにお考えですか。
いったん傷んでしまった歯を治療して、できるだけ元の歯に近い状態にするわけですが、どんなに治療の技術が上がったとしても、詰め物やかぶせ物は人工物です。それをメンテナンスする、維持していくというのは難しいということを理解する必要があります。それよりエナメル質がしっかり残っていて歯周病もそんなに進行していない時期から、リスクを最小化して生涯自分の歯で過ごすことが理想的ですし、患者さんにとってもそれが一番楽なんです。けれども残念ながら30代、40代で人工物がいっぱい入っている方もいます。それが50代、60代になると、歯の欠損につながるわけです。それを少しでも食い止めるために必要なのが、リスクコントロールです。なるべく小さい時期から始めて、無傷の永久歯列がつくれればとても有利ですね。
乳歯のうちからむし歯予防をすることが重要だということですね。

僕は学校検診にも行きますが、残念ながら生えて間もない永久歯が修復されているとか、中には神経を取られているケースもあります。小さい子どもたちは、親御さんと一緒に生活習慣などをつくっていくじゃないですか。その時期に予防についてしっかりと啓発できるようにしていきたいと思っています。大人の歯が生えそろうスタートラインまでに生活習慣、ブラッシング習慣、歯科医院への来院習慣など、歯に対しての意識や健康感が備わっている。なおかつ無傷の永久歯列だったら、ものすごい底上げができます。ですからお母さんと一緒に、子どもたちの生活習慣から見直すことで、健康な永久歯列を完成させて、そこからメンテナンスだけでキープしていくようにしたいのです。そのために当院では「ピースクラブ」というキッズクラブを設立して、歯磨き教室を開催するなど、楽しくむし歯予防ができるようにしています。
小児歯科の充実で、子どもの健やかな成長を見守りたい
診療の際には、どのようなことを心がけていらっしゃいますか。

当院の理念は「安心」です。歯科医療を通じて、患者さんにいろんな安心を提供できるような歯科医院にしたい。ですから患者さんは何が不安なのか、どうすれば安心できるのか、また、どういうことを望んでいるのかをお聞きして、その気持ちを共有した上で歯科医療の専門家として、サポートやアドバイスをしています。そのためには、患者さんを知ることと、準備をすることは欠かせません。患者さんに頼まれたり、任されたり、期待されたことに対して結果を出すのが仕事ですから、常にできる限りの準備をして診療に臨みたいと思っています。
現在特に注力されていることを教えてください。
小児歯科に力を入れています。小児棟も増築をしました。ユニットの台数を増やして小児担当の歯科医師やスタッフも増員しますし、待合室も大きくなります。子どもたちのお口の健康をみんなで守り育てていけるように、ピースクラブの活動も積極的に行っていくつもりです。今後この取り組みを続けていく中で、例えば20年後、歯が欠損した患者さんや、歯周病が重症化した患者さんではなく、ある程度健康な歯を維持している方の小さなほころびを軌道修正して、メンテナンスしていく歯科医院になっていると良いですね。
では最後に、読者へのメッセージをお願いします。

先ほどもお話ししたように、むし歯の治療は基本的には人工物で代替しているだけなので元の状態には戻りません。むやみに治療をすればするほど、歯を弱くしてしまう可能性があります。最初に初期のむし歯ができた原因は、さまざまなリスクのある環境だと考えられます。いくら治療をしてもリスクがある状況では、削って詰めてを繰り返すことになり、最終的に歯を失うことになります。ですから、今現在ある健康な歯に問題が起きるのを防ぐためにも、リスクを意識してみてください。唾液が減っていくなど、年齢を重ねていくことによるリスク増加はやむを得ません。しかし、それ以外の、磨き残しや食生活といったリスクをコントロールしていくことで、一生ご自分の歯で食事をし、会話をし、ほほ笑んでいただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/33万円~、矯正治療(成人)/77万円~、セラミック治療/6万6千円~