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椎野 広巳 院長の独自取材記事

しいの歯科医院

(市川市/行徳駅)

最終更新日:2025/09/16

椎野広巳院長 しいの歯科医院 main

歯科医師として口呼吸改善にアプローチし、「鼻呼吸を日本の文化にしたい」と尽力するのが「しいの歯科医院」の椎野広巳院長。患者がつらい思いをしていれば深く共感し、症状が良くなったなら、ともに笑う。そんな情の厚い先生だ。椎野院長は一般歯科・口腔外科・小児歯科の診療を日々行う傍ら、自らの経験を通して口呼吸のリスクに着目。以来、長い年月をかけ、鼻呼吸に大切な「口腔内のあるべき状態」を追求してきた。その飽くなき探求心の裏には、「患者さんに喜んでほしい」という真っすぐな思いがあるという。患者が笑顔になる瞬間をうれしそうに見つめる椎野先生に、同院の歯科診療の特徴や、口呼吸改善に必要と考えている口腔状態などについて詳しく話を聞いた。

(取材日2024年12月20日)

口呼吸のリスクに歯科医師が着目。鼻呼吸を「文化」に

こちらのクリニックでは、どんな診療をされていますか?

椎野広巳院長 しいの歯科医院1

当院では、一般歯科・口腔外科・小児歯科を標榜し、虫歯や歯周病の治療から、根管治療、入れ歯治療など幅広く対応しています。特に根管治療では、感染部分の徹底除去はもちろん、歯の根っこに充填剤を詰める「根管充填」にこだわり再発防止に努めてきました。また、どの治療においても、患者さんの痛みの軽減や通院回数の低減に取り組んでいます。そんな中、特に力を入れているのは、口呼吸改善に向けたアプローチと、鼻呼吸の推進です。近年、コロナ禍の影響でマスクを着用される方が増えたこともあり、口呼吸をされている方が急激に増えたように思います。人は運動などをして、息が苦しくなると口呼吸になりやすいですよね。マスクをしているときも同様で、息苦しさから口で呼吸をする人が増えてしまったのでしょう。お子さんの中には、マスクをしながら体育の授業をされているケースもあるようです。

口呼吸のデメリットについて教えてください。

「口は命の入り口、心の出口」と聞いたことはありますか? これは「命の源となる栄養を取るのも、自分の気持ちを言葉で伝えるのも口である」という意味です。しかし、口から空気中に含まれるほこりや細菌、アレルギー物質などが入ってしまうと話は別。もし唾液が十分に分泌されていれば自浄作用によって口腔内の細菌叢がある程度保たれますが、口呼吸によって口腔内が乾燥するとこの作用が弱まり、虫歯や歯周病などのトラブルにつながってしまからです。もちろん口腔内に留まらず、風邪症状など全身の不調を招くケースもあるでしょう。昨今、感染症が流行している背景には、免疫力の低下も大いにあると思いますが、口呼吸も関連しているのではないでしょうか。そこで私は、鼻呼吸を文化にすることで、日本の公衆衛生に貢献したいと考えたのです。

口呼吸をしていることに気づいていない人も多いそうですね。

椎野広巳院長 しいの歯科医院2

ええ。周囲の人から指摘されて初めて気づいた……という方も少なくありません。例えば、「寝ている時に喉が渇き、いがいがする」「気づくと口が開いている」「おしゃべりが好き」「口臭が気になる」という方は注意が必要でしょう。また、歯科の観点で「虫歯や歯周病が多い」「歯が着色しやすい」「口内炎ができやすい」という方は口呼吸の可能性があると思います。なぜなら、口呼吸によって口の中が乾燥すると唾液が減り、先ほどお話しした自浄作用が弱まってしまうからです。その他に「知覚過敏や食いしばりに悩んでいる」という方も口呼吸かもしれません。これは、歯のすり減りによって口腔スペースが小さくなり、舌の喉奥への落ち込みから気道が確保しにくくなっている恐れがあるからです。もし、こうした状況が複数重なるようであれば、より口呼吸の可能性は高まるでしょう。

下顎や舌の位置、口腔内の容積が鼻呼吸実現の鍵

口呼吸を改善し、鼻呼吸をするためには、どんなことが必要と考えていますか?

椎野広巳院長 しいの歯科医院3

舌が上顎にぴたっと密着し、喉奥の気道が確保されている状態が望ましいと思います。ただ、口呼吸を続けていくうちに下顎が後退してしまうと、舌の付け根が喉奥に落ちこみやすくなり、口腔内の容積を小さくしてしまいます。そのため、下顎を前に、そして舌が上顎に密着した状態を維持できるよう筋肉を鍛えることが重要と考えています。また、歯ぎしりなどで歯がすり減ると、上下の高さが減り、やはり口腔内の容積が小さくなることがあるため注意が必要です。当院では、こうした口腔状態を維持するためのアプローチについて、数多く対応しています。

鼻が通る感覚を疑似体験するために、良い方法があるそうですね。

当院では、割り箸を使った方法をお勧めしています。まず、下顎を少し前に出し、箸1本を上下の前歯で軽く挟んでみてください。そして唇を閉じたら、舌の先を前歯の裏にあて、舌全体を上顎にぴたっと密着させます。ちょうど「ら」を発音するときのような舌の位置ですね。この姿勢を取ると、後退した下顎を前に移動し、喉奥に落ち込んだ舌が前に移動するのをサポートすることができ、喉奥のスペースを作るのに役立つのです。すると、気道の拡張とともに、鼻の通りが良くなることが期待できます。こうしたことから、私は「舌は呼吸器」と信じてきました。これは、割り箸が1本あればできますので、ぜひ皆さんもやってみてください。ただ、この姿勢によって顎関節に痛みを感じる方は症状の悪化につながることもあるため、無理に実践しないよう注意しましょう。

歯科医師である先生が、なぜ鼻呼吸に着目されたのですか?

椎野広巳院長 しいの歯科医院4

実は、私自身が口呼吸に悩んでいたんです。睡眠中はいびきがひどく、朝起きれば口が乾燥していて、枕元に飲み物がなければいられない……。そんな毎日を過ごしていました。また、来院される患者さんの中には、口呼吸に悩まれている方が非常に多いことに気づいたのです。そうした方々に「歯科医師として何かできないか」と考えたのが最初のきっかけでした。その後、鼻呼吸に関連しそうな医学書を買いあさり、さまざまな勉強会に参加し、知識を深めていったのです。まだまだ道半ばですが、もし患者さんが笑顔になってくれたとしたら、それが正解なんだと思っています。自分の診療が正しかったのかは、いつだって患者さんが教えてくれるんです。

顎関節症に悩む患者に、スプリント療法で対応

こちらでは、顎関節症にも対応されているそうですね。

椎野広巳院長 しいの歯科医院5

はい。歯科治療をするには、口を大きく開けていただく必要がありますよね。ですが、顎関節症によって、うまく口を開けられず、苦しまれている方も多いのです。そんな方をどうにかして差し上げたいと考え、口腔内装置を用いたスプリント療法に対応しています。これは、誘導版に沿って下顎を前後に動かしていただき、関節円盤のずれにアプローチするものです。顎関節症はどこに相談すれば良いかわからず、受診を先延ばしにして悩み続けている方が大勢いらっしゃいます。中には、頭痛や耳鳴りにまで発展している方もいるはずです。そうした人たちに「顎関節症は治療ができる」と伝えたいですね。ちなみに、この装置は顎関節症と歯ぎしりに対して保険が適用できます。

口腔内装置によるスプリント療法は、口呼吸改善にも役立つと考えているそうですね。

例えば、口腔内装置を装着している間は自然と口が閉じるので、口で呼吸することができませんよね。また、誘導版の上に舌を安定させることができれば、喉奥に舌が落ち込まないようにするのにも役立つのではないかと考えています。これによって気道が確保され、鼻呼吸をサポートすることができれば、いびきの改善や良い睡眠にもつながるかもしれません。一方で、スプリント療法を行う際、下顎を前後に動かす動作をしていただきますが、これにより唾液腺が刺激されるのではないかと考えています。もしそうであれば、唾液の分泌が促され口腔内の自浄作用の向上も期待できるでしょう。

最後に今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

椎野広巳院長 しいの歯科医院6

都内で暮らしている方をはじめとし、口呼吸に悩まれている方は日本中に大勢いるでしょう。情報感度は高いけれども、納得のいく解決方法と出会えていない。そんな方にも、鼻呼吸の大切さや口腔内のあるべき状態を知っていただきたいですね。また、鼻は匂いを感知するだけの器官ではありません。空気を浄化し加湿したり、脳を冷やしたりするほか、空気中の有害物質などを取り除くための機能も備えています。鼻呼吸が口腔内や全身に与え得るメリットは計り知れません。当院はこれまで、「患者さんに喜んでいただく」というポリシーのもと診療を続けて来ました。多くの方に「鼻呼吸で人生が変わった」と感じてもらえるような診療を追求したいですね。

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