佐藤 忠敬 理事長の独自取材記事
佐藤歯科
(市川市/本八幡駅)
最終更新日:2024/07/01

本八幡駅から徒歩約5分の場所で、先代から50年以上にわたって地域密着の歯科診療に取り組んでいるのが、「佐藤歯科」だ。木目を多用した明るくスタイリッシュな雰囲気の院内が印象的な同院。佐藤忠敬理事長は、小さな子どもから高齢者までの虫歯や歯周病の治療から予防歯科、インプラント治療、根管治療、親知らずの抜歯、訪問歯科診療まで、ゼネラリストとして幅広く対応。人々のQOLの向上に貢献することをめざしている。「かかりつけとして本当に何でも気軽に相談してほしいですね」と気さくに話す佐藤理事長に、同院のことや歯科診療にかける思いなどを聞いた。
(取材日2024年5月16日)
充実した設備を備え幅広い歯科診療を提供
最初にクリニックを紹介していただけますか?

私は二代目になりますが、父が最初に開業したのは、私が生まれる前のことです。そして、私が3歳になった1970年に、父は自宅兼診療所を作りたいと本八幡駅前からこの場所へ移転。2003年には、私が引き継ぎました。現在は、虫歯や歯周病の治療など歯科一般に加えて小児歯科、歯科口腔外科、インプラント治療やマイクロスコープを用いた根管治療、親知らずの抜歯、訪問歯科診療などに取り組んでいます。診察室は、プライバシーへの配慮と開放感を兼ね備えた半個室で、見えないけれど人の気配を感じられる造りにしてあります。ユニットはアメリカのメーカーのものを使っています。座り心地が良く、体勢も安定するので私たちも治療がしやすいのです。また、患者さんが車いすに座ったままで治療が受けられるよう機材を配置し、院内全体もバリアフリー設計にしてあります。
設備も充実しているそうですね。
最近では、CTを新しいものに入れ替えました。もともとCTはインプラント治療のために導入したのですが、実際に使い始めたら根管治療用に撮影する機会のほうが多いことがわかりました。それで、より根管の撮影に向いているCTに変えることにしました。これまでは、ぼやっと見えていた病巣がシャープに写って、ここにあるというのが事前に、ある程度鮮明にわかるので、より精密に治療ができるようになりました。私は治療がしやすいですし、患者さんが口を開けている時間を少しでも短くできるようになったのは大きいと思います。手術室は、6畳ほどあるゆったりとした空間で、複数台のモニターと手術用のライトを取りつけています。インプラント治療や親知らずの抜歯、マイクロスコープを用いた根管治療など、出血を伴う治療はここで行っています。手術中の血圧や心拍数を測る生体モニターも備えるなど、安全にも気を配っています。
衛生管理にも力を入れていると伺いました。

口腔外バキュームを20年以上前から導入するなど、以前から衛生管理には力を入れています。クラスNとクラスB、ハンドピース専用のオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)を使い分けたり、器具の洗浄機も2台使用したりすることで、厳しいとされるヨーロッパ基準の洗浄と滅菌をめざしています。私が衛生管理にここまで力を入れているのは、家族が感染症で亡くなったことがきっかけです。この出来事は私にとってのターニングポイントで、患者さんやスタッフ、そして私自身が院内で感染症にかかるようなことがないよう洗浄や滅菌に、それまで以上にこだわるようになりました。
どんなことにも対応できる「スーパーGP」をめざす
歯科診療に対する先生の基本的な考え方を教えてください。

私は、アメリカのように高い専門性を持つ診療は、日本には根づかないと思っています。日本の一次医療機関としては何かのスペシャリストではなくて、「スーパーGP(ジェネラルプラクティショナー)」と言われるような、患者さんの困りごとならどのようなことでも幅広く対応できる歯科医師であることが重要で、そのような姿をめざすのが、私の昔からの考え方です。本当に特殊なものは大学病院などに紹介しますが、すべての歯科診療ができて、レベルを底上げしていくことが大事だと思っています。私はもともと解剖学出身で、大学にも非常勤で勤めていたこともありますので、人の立体的な構造は一般的な歯科医師よりは理解していると思います。ですから、治療でもここは絶対に触ってはいけない、ここはもう少し大丈夫、というようなことは肌感覚としてわかるので、例えば親知らずの抜歯やインプラント治療などは、より安全に配慮して行えると考えています。
利用しているのは、どのような患者さんが多いのですか?
初診では、歯や歯肉の痛みを訴えている患者さんがほとんどです。治療後のメンテナンスや定期検診に通ってもらっている患者さんも多いですね。当院では予防歯科を重視しています。歯の健康は、治療だけでは保てませんし、むしろその後のメンテナンスが重要だからです。治療を終えた患者さんがメンテナンスをおろそかにしたことで、口の中が再び悪くなってしまうことが、特に新型コロナウイルス感染症が流行してから著しく増えています。私は、治療を終えた患者さんに、「あなたの口であっても、治療は私の作品だから壊さないでね」と話すんです(笑)。例えば、治療が終わった後はメンテナンスにだけ来て、私と「こんにちは」「さようなら」ぐらいしか話さなくなっても良いというか、そのほうが良いんです。しっかりとメンテナンスに通ってほしいというのが、私の希望ですね。
訪問歯科診療についても教えてください。

訪問歯科診療はこれまでも行ってきましたが、新しくポータブルのリクライニングチェアや治療ユニット、エックス線撮影装置などの機材もそろえて、外来診療とほとんど同じことができるようにしています。ただ、訪問歯科診療は機材がそろっていればできるというものではなくて、しっかりできる歯科衛生士がセットじゃないとうまくいかないと考えています。当院には、それができる歯科衛生士がいるのが自慢です。特に、訪問歯科診療は口腔ケアが主体で、私は虫歯の治療や入れ歯の調整ぐらいですから、私が助手みたいなものです(笑)。外来診療との兼ね合いもあってたくさんはできませんが、これからも取り組んでいきたいと考えています。
診察が終わった患者に笑顔で帰ってほしい
診療の際に心がけていることはありますか?

診察が終わった患者さんに、笑って帰ってもらうこと。それだけですね。私たちが診療しているのは、生死に関わる病気ではありません。いわゆるQOL(生活の質)を上げる仕事なので、そのためには体がだけが元気になってもしょうがありません。心身ともに元気にならないとQOLは上がってこないと思うので、患者さんに笑って帰ってもらうことは、とても大事だと思っています。私は、どうでもいいような話をしながら診察をしますし、スタッフにも患者さんとどんどん喋ってほしいと伝えています。そうすることで心の距離も近づいて、患者さんから質問も出てきて、それに対して答えることで理解も深まる。そういう意味では、最後の会計の時の受付も大切で、治療の後にお会計をしながら受付とも少し雑談して帰っていただいてもいいのです。そういうことは、どんどんやってほしいですね。
話は変わりますが、先生はなぜ歯科医師を志したのですか?
高校2年生の頃までは、自動車メーカーに入りたいと考えていましたし、父からも歯科医師になれと言われたことはありませんでした。きっかけは、父から聞いた「歯科医師は作る治療」という言葉だったように思います。自転車や車、バイクを組み立てて自分流にカスタムしていたほど、もともと作るという作業が好きでした。今は歯科を追求していくことに興味があって、病気のメカニズムや原因を探ることに面白さを感じています。
最後に読者へメッセージをお願いします。

長年この地で診療を続け、患者さんとの信頼関係も築けてきたと思います。そして、いわゆる一次医療機関のかかりつけ歯科医としてこれからもやっていきたいと思っていますので、本当に何でも気軽に相談してほしいというのが、一番の気持ちです。こんなこと聞いたらいけないのかとか、恥ずかしいというのがあるかもしれませんが、歯に関して患者さんは素人ですから、わからなくて当たり前です。それをちゃんとわかりやすく説明していくのが私たちの仕事であり、そこは大事にしていきたいなと思っています。また、患者さんが何を求めているのか。その思いに応えられているかを常に考えながら、その方のライフスタイルや予算に合った治療を提案していきたいですし、これからも患者さんにとって通いやすいクリニックでありたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/38万5000円~
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。